大城, 政一 古謝, 瑞幸 前当, 正範 宮城, 盛時 Oshiro, Seiichi Koja, Zuiko Maeto, Masanori Miyagi, Seiji
亜熱帯環境下飼育黒毛和種の生理的適応現象を明らかにするため, 黒毛和種を供試し, 畜舎-人工気候室内(20℃・85%-30℃・85%)の実験における3環境条件区の生理諸元, 血液及び第一胃内液等を測定し, 比較検討した。畜舎内29℃・86%-人工気候室内20℃・85%-30℃・85%の3実験区における, 直腸温, 心拍数及び呼吸数において, 畜舎内でそれぞれ38.60±0.16℃, 70.4±2.1回/分及び38.7±4.2回/分であったが, 人工気候室内20℃・85%で38.19±0.12℃, 59.2±3.2回/分及び19.4±2.8回/分と有意に減少した(P<0.01)。また, 人工気候室内30℃・85%で38.88±0.20℃, 79.0±1.9回/分及び64.2±6.1回/分と有意に上昇を示した(P<0.01)。赤血球数, 白血球数, Ht値, Hb量, 赤沈速度, 血糖値, FFA, 血漿アルブミン量, 血漿遊離コレステロール量, 血漿サイロキシン量, 総蛋白質量, 尿pH, 第一胃内液pH及び採食量において, 3実験区間に有意な差異はなかった。第一胃内プロトゾア数は旋毛類, 全毛類及び両者の総数において, 3実験区共に9 : 00の値より21 : 00の値の方が有意に高かった(P<0.01)。以上のことから, 亜熱帯地域沖縄県下で畜舎内飼育黒毛和種は主に心拍数, 呼吸数及びその他の物理的調節作用によって, 生体恒常性の維持を保って, 高温・多湿環境(8月)下に適応していることが示唆された。