新里, 孝和 呉, 立潮 西端, 統宏 新本, 光孝 Shinzato, Takakazu Wu, Lichao Nishihata, Osahiro Aramoto, Mitsunori
亜熱帯西表島の森林資源回復に関する二次遷移について,1985年6月に天然林皆伐後,今回13年目における固定プロットの毎木調査の結果を用や宇する。実験林は西表島のやや内陸部,標高60m,緩傾斜面,面積0.869haで,4試験区に分割され,各試験区内のほぼ中央部に10m×10mの固定プロット(計4個)を設定した。4試験区のうち2試験区は対照区,残り2試験区は焼畑区である。生活形別の基底面積,立木本数は樹種の萌芽力に依存し,萌芽力の高いイタジイ,ホルトノキ,タブノキ,エゴノキ,フカノキ,シャリンバイ,シシアクチ,ボチョウジなどの数値が高い。樹高1m以上の個体の出現種で伐採後消滅した樹種は少なく,未発生の樹種はオオシイバモチ,モッコク,オオバルリミノキ,イヌマキなどである。侵入種には落葉性高木種のアカメガシワ,ハマセンダン,カラスザンショウ,イイギリなどがみられるが,これらの発生,成長は低下し,常緑性高木種の優占度が増大している。階層構造は未分化の状態にあるが,基底面積分布は常緑性高木種が上層に,立木本数分布では常緑性の低木種と小高木種が下層に増大し,また胸高直径分布でもややL字型となり,階層構造はやや複雑になりつつある。これら固定プロットにおける二次遷移の結果は,対照区でオキナワウラジロガシが増大し,焼畑区でアカメガシワが多いなど,多少の違いが見られるものの,対照区と焼畑区との間で明瞭な差異はないと考えられた。亜熱帯林における樹種の萌芽更新,雑木林,里山林の再生,利用について考察を加えた。