人文系サイエンスマップ
検索
タイトル
すべての結果
前方一致
完全一致
著者
すべての結果
前方一致
完全一致
発行年
すべての結果
前方一致
完全一致
抄録
すべての結果
前方一致
完全一致
グリッド
クラスタ
頻度グラフ
281 件中
1 〜 20 件
分散表現を利用した日本語歴史コーパスにおける語義曖昧性解消の通時適応
古宮, 嘉那子 田邊, 絢 新納, 浩幸 KOMIYA, Kanako TANABE, Aya SHINNOU, Hiroyuki
語義タグ付きコーパスを用いた現代日本語の語義曖昧性解消の研究は数多い。しかし,入手可能なタグ付きコーパスが少ないため,日本語の古典語の語義曖昧性解消を高性能に行うことは難しい。そのため,現代日本語文を用いて通時的な領域適応を行うことは,古典語の語義曖昧性解消の性能を高めるひとつの解決方法であると考えられる。本研究では,日本語の古典語の語義曖昧性解消において,領域適応手法のひとつである,分散表現のfine-tuningの効果について調べる。現代文の分散表現であるNWJC2vecの古典語によるfine-tuningや,古典語によって作成した分散表現の現代文によるfine-tuningなど,様々なfine-tuningのシナリオを検証した。さらに,NWJC2vecを古典語でfine-tuningする際には,時代順に段階的に分散表現をfine-tuningする手法についても試した。語義曖昧性解消の対象語の前後二語ずつの単語の分散表現を素性とし,Support Vector Machineの分類器に用いて分類を行った。シナリオは(1)現代文のコーパスの全用例と古典語のコーパスの用例8割を訓練事例とし,残りの2割の古典語の用例をテストとして利用する場合,(2)古典語の用例だけを利用して五分割交差検定を行った場合,(3)現代文のコーパスの全用例を訓練事例とし,古典語全用例をテストする場合の三通りを比較した。最高の精度となったのは,(2)古典語の用例だけを利用したシナリオで,古典語によって作成した分散表現に現代文によるfine-tuningを行った場合であった。
書物で見る 日本古典文学史
落合, 博志 神作, 研一 恋田, 知子 金子, 馨 OCHIAI, Hiroshi KANSAKU, Ken'ichi KOIDA, Tomoko KANEKO, Kaoru
国文学研究資料館では、上代から近代(明治時代初期)までの文学を書物(古典籍)によってたどる、通常展示「書物で見る日本古典文学史」を毎年開催しています。本冊子はその展示の概要を収録したもので、教科書でなじみの深い作品を中心に据えて、文学史の流れを示しました。ささやかながら、日本古典文学の豊かな世界への手引きとなることを願っています。
古典籍商逸聞―― 鹿田松雲堂そのほか
山本, 和明
古典籍商と蔵書家との交流は、かつて新聞紙面を彩り、多くの人の知るところであった。思い出話として語られたそれらの逸話を紹介し、当時、京阪で実施された古書交換会の様子を探るとともに、実際に古典籍商鹿田松雲堂と交わされたやりとりの一端を、書翰などから確認したい。
俳諧の確立と『荘子』 : 日本詩歌古典重視の伝統の観点からの分析
丘, 培培
江戸時代の俳諧と『荘子』との深い関わりは早くから研究者たちの関心をよんだが、その理由解明について、まだ解けていない謎が残っている。なぜ十七世紀の日本の俳人たちは千年以上も前に他の国で作られた、文学作品でもない『荘子』という本に、俳諧の本意を見つけようとしたのか。本稿は、その謎を日本詩歌の古典重要視の伝統に探る。 日本詩歌の古典趣味は詩歌の理論付けにのみならず、作詩の方法と表現体系にもはっきり現れている。本研究は、『古今和歌集』の序から季吟の俳論までのほとんどの歌論俳論が中国の『詩経』から六義を借りて論をはじめるという現象の意義を探究し、典故、本歌、本説の発達に見られた日本詩歌表現の古典への依存を分析して、その古典重視の伝統の末端に生まれた、短詩形と座の文学を特徴とする俳諧がどうして因習を超えようとしていながら、それでもなお古典にたよらなければならなかったかを明らかにする。そして、江戸時代の三大流派、貞門、談林、蕉門の作品から例を引いて、現代記号論の概念を分析の参照系に入れて、十七世紀の俳人たちはどのように『荘子』という古典を基にして、「下位的なもの」と思われる俳諧の文学的地位を確立し、その表現体系を更新させ、俳諧の表現力を豊かにしたかを解明する。江戸俳諧における『荘子』の成功は日本詩歌の古典重要視の伝統に深く関わった。貞門の実用的『荘子』寓言論から、談林の形式的『荘子』本位論を経て、『荘子』という異文化の古典は芭蕉の世界に創造的に生かされ、言葉の遊びに源を発した俳諧を芸術性のたかい、表現力の極めて豊富な詩に昇華させる過程に重要な役割を果たしたと結論づける。
「書物で見る 日本古典文学史」解説
落合, 博志 神作, 研一 恋田, 知子 OCHIAI, Hiroshi KANSAKU, Ken'ichi KOIDA, Tomoko
本展示では、上代から明治初期までの文学を、書物(古典籍)によってたどります。最近の研究動向にも配慮はしましたが、むしろ教科書でなじみの深い作品を 中心に据えて、文学史の流れを示しました。写本の表情や版本の風合いに触れながら、豊かな日本古典文学史の諸相をお楽しみください。
上海図書館の古典籍の収蔵および整理について
陳, 先行 陳, 捷 CHEN, XIANXING CHEN, Jie
上海図書館は、数多くの貴重な古典籍と古文書とを収蔵する世界トップ10に位置する公立図書館である。本稿は上海図書館の古典籍コレクションの歴史、現状と蔵書の特徴を説明し、これらの古典籍に対する整理、保護、および研究について紹介する。
【講義11】日本古典籍総合目録データベース・新日本古典籍総合データベース概要
飯沼, 邦恵 IINUMA, Kunie
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
新日本古典籍総合データベース ――ver.1――
国文学研究資料館古典籍共同研究事業センター National, Institute of Japanese Literature Center for Collaborative Research on Pre-Modern Texts
新日本古典籍総合データベースのクイックガイドです。国文学研究資料館が長年蓄積した豊富な書誌と国内外のさまざまな機関が所蔵する古典籍のデジタル画像を利用できます。
中国における日本古典文学研究の現状及び動向
張, 龍妹
本稿では、中国で行われている「中国日本学研究『カシオ杯』優秀修士論文賞」の受賞作と中国の各大学に提出された博士論文から、大学院における古典文学研究の一斑を紹介する。さらに、中国で唯一の日本研究に関する専門誌『日語学習与研究』に発表された論文と国家社会科学基金の助成を受けた研究プロジェクトの内容を分析する。それらに基づき、中国における日本古典文学研究の現状と動向を把握したい。
古典原本のイメージノイズ除去に関する一考察
原, 正一郎 HARA, SHOICHIRO
古典原本の電子化の障害となるイメージ雑音除去アルゴリズムの研究を行った。本研究の特色はカラー情報を利用した点にある。研究資料として白色系の和紙に黒色系の墨で書かれた古典原本を用い、イメージ処理として「朱文字」と「裏写り」の除去を試みた。研究成果の概要は以下の通りである。1)古典原本イメージのカラー情報:古典原本のテキスト・イメージをカラー・イメージスキャナ(100dpi,赤(R)緑(G)青(B)各基本色256諧調)で取り込んだ後、各ピクセルデータをRGB表色系へ展開し、資料のカラー構造を考察した。これより、(a)多くのピクセルは直線R=G=Bの周辺に分布する、(b)朱文字のような特別な色彩のピクセルは(a)とは異なった位置に分布する、(c)RGBの各輝度分布は2峰性を示す傾向があること、が分かった。2)領域の分割:「和紙」領域と「表文字」領域の分割は、上記(c)の性質より、RGBの各輝度分布に対して「判別閾値選定法」を適用することで達成できた。また(a)及び(b)の性質より「朱文字」領域の分割も可能であった。しかしこの方法では、(a)「表文字」の周辺部が脱落してカスレやすい、(b)「和紙」と「裏写り」の分離が不十分である、という問題点があった。そこで、教師情報なし判別法の一法であるクラスタ分析を適用して分離精度の向上を試みた。本法ではある程度の分離精度の改善を得たが、(a)計算コストが高い、(b)画一的な手法やパラメータの適用では多様な古典原本に対処できない、などの問題点も明確になった。以上の研究から、古典原本のイメージ雑音処理にカラー情報の利用が有効であることが確認された。
【講義12】日本古典籍総合目録データベース概要
飯沼, 邦恵 IINUMA, Kunie
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義17】国⽴国会図書館における古典籍資料の電子化
国立国会図書館利用者サービス部人文課 National, Diet Library Reader Services and Collections Department Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義19】日本古典籍資料の材料の基礎知識
国⽴国会図書館収集書誌部資料保存課和装本保存係 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義15】日本古典籍資料の材料の基礎知識
国⽴国会図書館収集書誌部資料保存課和装本保存係 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
研究の沿革
相田, 満
哲学用語「存在論」に由来する「オントロジ」は、情報学においては「概念間の関係の明確な定義の集まり」として、それを実装する「トピック・マップ」とともに、情報リソースから独立した上位層に位置付けられ、情報を意味的に組織化、検索、ナビゲートするための新しいパラダイムとして注目を集めている。しかしこれはまた、有史以来、日本や中国で幾度も編纂された、類概念(分類概念語曇)によってまとめられた古典的な辞書・辞典(=類書)が、きわめて継承性の強い、良質な「オントロジ(知識概念木)」の宝庫となっているように、伝統的な発想にのっとったものでもある。古典的類書に使用される分類概念語錘の1/4は、現代日本でも使用され、自然景物・年中行事・人事関係の語彙に集中している。そこで、本研究では、我々研究グループが蓄積する40タイトル約10万件の、このような特性を持つ古典的な典籍に取材したオントロジを整理・分析するための「分析型データベースシステム」を構築することにより、次の3点の目標を設定し、古典と現代とを文化的・理念的に接合することに取り組みたい。
研究の沿革
相田, 満
哲学用語「存在論」に由来する「オントロジ」は、情報学においては「概念間の関係の明確な定義の集まり」として、それを実装する「トピック・マップ」とともに、情報リソースから独立した上位層に位置付けられ、情報を意味的に組織化、検索、ナビゲートするための新しいパラダイムとして注目を集めている。しかしこれはまた、有史以来、日本や中国で幾度も編纂された、類概念(分類概念語曇)によってまとめられた古典的な辞書・辞典(=類書)が、きわめて継承性の強い、良質な「オントロジ(知識概念木)」の宝庫となっているように、伝統的な発想にのっとったものでもある。古典的類書に使用される分類概念語錘の1/4は、現代日本でも使用され、自然景物・年中行事・人事関係の語彙に集中している。そこで、本研究では、我々研究グループが蓄積する40タイトル約10万件の、このような特性を持つ古典的な典籍に取材したオントロジを整理・分析するための「分析型データベースシステム」を構築することにより、次の3点の目標を設定し、古典と現代とを文化的・理念的に接合することに取り組みたい。
研究の沿革
相田, 満
哲学用語「存在論」に由来する「オントロジ」は、情報学においては「概念間の関係の明確な定義の集まり」として、それを実装する「トピック・マップ」とともに、情報リソースから独立した上位層に位置付けられ、情報を意味的に組織化、検索、ナビゲートするための新しいパラダイムとして注目を集めている。しかしこれはまた、有史以来、日本や中国で幾度も編纂された、類概念(分類概念語曇)によってまとめられた古典的な辞書・辞典(=類書)が、きわめて継承性の強い、良質な「オントロジ(知識概念木)」の宝庫となっているように、伝統的な発想にのっとったものでもある。古典的類書に使用される分類概念語錘の1/4は、現代日本でも使用され、自然景物・年中行事・人事関係の語彙に集中している。そこで、本研究では、我々研究グループが蓄積する40タイトル約10万件の、このような特性を持つ古典的な典籍に取材したオントロジを整理・分析するための「分析型データベースシステム」を構築することにより、次の3点の目標を設定し、古典と現代とを文化的・理念的に接合することに取り組みたい。
【講義17】国立国会図書館における古典籍資料の電子化
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 Diet, Library Reader Services and Collections Department Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room National
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義13】国立国会図書館における古典籍資料の電子化
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 National, Diet Library Reader Services and Collections\nDepartment Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義13】国立国会図書館における古典籍資料の電子化
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 National, Diet Library Reader Services and Collections Department Humanities Division National Diet Library Reader Services and Collections\nDepartment Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義14】国立国会図書館における古典籍資料の電子化
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 National, Diet Library Reader Services and Collections Department Humanities Division National Diet Library Reader Services and Collections\nDepartment Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義5】蔵書印について
青田, 寿美 AOTA, Sumi
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義8】江戸の出版文化
入口, 敦志 IRIGUCHI, Atushi
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義9】近代本の残りかた
多田, 蔵人 TADA, Kurahito
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義9】明治の出版文化
多田, 蔵人 TADA, Kurahito
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義8】江戸の出版文化
入口, 敦志 IRIGUCHI, Atushi
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義6】装訂・料紙について
落合, 博志 OCHIAI, Hiroshi
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義7】表紙の文様について
齋藤, 真麻理 SAITO, Maori
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義10】資料保存の考え⽅と実践
青木, 睦 AOKI, Mutumi
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義2】くずし字について
粂, 汐⾥ KUME, Shiori
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義7】表紙の文様について
齋藤, 真麻理 SAITO, Maori
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義6】装訂・料紙について
落合, 博志 OCHIAI, Hiroshi
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義2】くずし字について
粂, 汐⾥ KUME, Shiori
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義5】蔵書印について
青田, 寿美 AOTA, Sumi
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義10】資料保存の考え方と実践
青木, 睦 AOKI, Mutumi
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義4】版本について―刊記・奥付を中心に
木越, 俊介 KIGOSHI, Shunsuke
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義3】写本について―奥書・識語を中心に
海野, 圭介 UNNO, Keisuke
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義15】歴史的典籍 NW 事業の概要について
藤村, 涼子 FUZIMURA, ryouko
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義3】写本について―奥書・識語を中心に
海野, 圭介 UNNO, Keisuke
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義14】国⽂学研究資料館における和古書目録の作成
堀野, 和子 HORINO, Kazuko
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義2】くずし字について
恋田, 知子 KOIDA, Tomoko
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義13】国文学研究資料館における和古書目録の作成
小島, 歩 KOJIMA, Ayumi
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義4】版本について―刊記・奥付を中心に
木越, 俊介 KIGOSHI, Shunsuke
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義5】印影について
青田, 寿美 AOTA, Sumi
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義11】国⽂学研究資料館における資料利用と資料管理について
堀池, 尚明 Horiike, Naoaki
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
中国語訳『源氏物語』の実態と問題――「桐壺」を中心に――
張, 培華 Zhang, Peihua
日本で古典中の古典と言われている『源氏物語』は、世界文学の名著として、英語、フランス語、ドイツ語、中国語などの多くの外国語に翻訳されている。しかも同じ言語の中でも様々な訳者の新たな翻訳が出版されている。そのうち、翻訳の種類が最も多いのは中国語である。現時点で見られる四種類の英語訳より、倍以上となる十数種類の中国語訳が見える。周知の如く、中国経済発展のおかげで、中国の書籍の装丁も以前より良くなっている。しかし、翻訳の中身はいかがであろう。続々と出版された新たな翻訳はどういうものなのか。
【講義9】江戸の出版文化
入口, 敦志 IRIGUCHI, Atsushi
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義11】日本語の歴史的典籍のデータベースについて
松原, 恵 MATSUBARA, Megumi
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義4】くずし字について
恋田, 知子 KOIDA, Tomoko
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義2】装訂・料紙について
落合, 博志 OCHIAI, Hiroshi
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講演】古典籍の魅力―蔵書印を中心に
堀川, 貴司 HORIKAWA, Takashi
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義3】表紙の文様について
齋藤, 真麻理 SAITO, Maori
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義6】絵入り本について
小林, 健二 KOBAYASHI, Kenji
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義5】蔵書印について
堀川, 貴司 HORIKAWA, Takashi
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義8】表紙の文様について
齋藤, 真麻理 SAITO, Maori
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義2】くずし字について
岡田, 貴憲 OKADA, Takanori
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義10(1)】幕末明治の出版文化
山本, 和明 YAMAMOTO, Kazuaki
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義10(2)】幕末明治の出版文化
山本, 和明 YAMAMOTO, Kazuaki
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義10】国文学研究資料館和古書目録 データベースの作成
増井, ゆう子 飯沼, 邦恵 MASUI, Yuko Iinuma, Yoshie
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義5】版本について-刊記の読み方を中心に
木越, 俊介 KIGOSHI, Shunsuke
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義6】写本について―奥書・識語を中心に
海野, 圭介 UNNO, Keisuke
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義8】江戸の出版文化について―近世初期を中心に
入口, 敦志 IRIGUCHI, Atsushi
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義11】日本語の歴史的典籍のデータベースについて
松原, 恵 MATSUBARA, Megumi
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義9】近代文献について―奥付の読み方
谷川, 恵一 TANIKAWA, Keiichi
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義16】国⽴国会図書館における和古書書誌データ作成
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 National, Diet Library Reader Services and Collections Department Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義18】図書館における資料保存
国⽴国会図書館収集書誌部資料保存課和装本保存係 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義3】写本について―奥書・識語を中心に
海野, 圭介 UNNO, Keisuke
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義4】版本について―刊記・奥付を中心に
木越, 俊介 KIGOSHI, Shunsuke
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義12】日本語の歴史的典籍のデータベースについて
松原, 恵 MATSUBARA, Megumi
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義9】蔵書印について①-蔵書印の見方・読み方(概説)
堀川, 貴司 HORIKAWA, Takashi
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【実習1】蔵書印について②-蔵書印の見方・読み方(実習)
青田, 寿美 AOTA, Sumi
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義14】図書館における資料保存
国⽴国会図書館収集書誌部資料保存課和装本保存係 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義10】国文学研究資料館和古書目録データベースの作成
増井, ゆう子 飯沼, 邦恵 MASUI, Yuko IINUMA, Kunie
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義7】版本について―刊記・奥付の読み方を中心に
木越, 俊介 KIGOSHI, Shunsuke
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義14】図書館における資料保存の考え方
国立国会図書館収集書誌部資料保存課 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【実習2】国文学研究資料館和古書目録の作成
増井, ゆう子 和田, 洋一 飯沼, 邦恵 MASUI, Yuko WADA, Youichi Iinuma, Yoshie
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【実習3】簡易帙の作成・四つ目綴じ
国立国会図書館集書誌部資料保存課 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義16】国立国会図書館における和古書書誌データ作成
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 Diet, Library Reader Services and Collections Department Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room National
本テキストは、「第20回日本古典籍講習会(2022年度)」(2022/7/12-15:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【実習1】国文学研究資料館和古書目録の作成
増井, ゆう子 和田, 洋一 飯沼, 邦恵 MASUI, Yuko WADA, Youichi IINUMA, Kunie
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義12】国立国会図書館における和古書書誌データ作成
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 National, Diet Library Reader Services and Collections\nDepartment Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room
本テキストは、「第15回日本古典籍講習会(平成29(2017)年度)」(2018.1.16-19:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義14】図書館における資料保存
国立国会図書館収集書誌部資料保存課和装本保存係 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【実習2】四つ目綴じ・簡易帙の作成
国立国会図書館収集書誌部資料保存課和装本保存係 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
インド音楽の近代化とマスメディア : ラジオ放送が北インド古典音楽と音楽家の生活世界に与えたインパクト
田森, 雅一
19 世紀末期以降の英国植民地支配下におけるナショナリズムの高揚のなか,北インド古典音楽(ヒンドゥスターニー音楽)の改革者たちは,その音楽を国民音楽化するにあたって,伝統的な流派であり社会組織であるガラーナーに伝わる音楽財産を収集・分析してその理論と歴史を体系化しようと試みた。そして,ガラーナーに伝わる口頭伝承としての音楽財産の記譜化や出版活動,全国的な音楽会議や学校教育活動などを展開していった。一方,ガラーナーの音楽を育んだ宮廷の庇護を失った楽師とその末裔たちは,新たなパトロンを探していた。 本稿は,そのような古典音楽の国民音楽化の流れと時期を同じくするマスメディアと音楽産業の変化,とくに20 世紀中葉において飛躍的に発展を遂げたラジオ放送(All India Radio)が音楽家たちの新たなパトロンとして,ヒンドゥスターニー音楽とガラーナーの近代化,そして音楽家の社会生活に与えたインパクトについて整理と検討を試みる。
【講義11】国文学研究資料館和古書目録データベースの作成
飯沼, 邦恵 堀野, 和子 田中, 梓 IINUMA, Kunie HORINO, Kazuko TANAKA, Azusa
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義13】国立国会図書館における和古書書誌データ作成
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 National, Diet Library Reader Services and Collections\nDepartment Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義15】図書館における資料保存
国立国会図書館収集書誌部資料保存課和装本保存係 National, Diet Library Acquisitions and Bibliography Department Preservation Division
本テキストは、「第17回日本古典籍講習会(令和元(2019)年度)」(2019.7.2-5:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
【講義12】国立国会図書館における和古書書誌データ作成
国立国会図書館利用者サービス部人文課古典籍係 National, Diet Library Reader Services and Collections Department Humanities Division National Diet Library Reader Services and Collections\nDepartment Humanities Maps Rare Books and Old Materials Division Rare Books and Old Materials Room
本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
論文に引用する古典籍にDOIを明示しましょう――検証可能な学問に向けて――
山本, 和明 YAMAMOTO, Kazuaki
DOI(ディー・オー・アイ)って何:Digital Object Identifier の略。恒久的にデジタル情報を特定できる、国際的な識別子、それがDOIです。対象は、書籍や論文にとどまらず、研究データ、さらに映画やテレビ番組などの情報資産にも、広がり続けています。インターネット上にあるデジタルコンテンツの所在情報は、一般的にURLによって示されています。しかしページやコンテンツの場所などが変わるたびにURLも変更になり、わずか数年で、対象のサイトに行き着けないということがしばしば。そこで、デジタルコンテンツへの永続的なアクセスを実現するため考案されたのが、DOIです。日本では、大学図書館や国立情報学研究所、国立国会図書館が古典籍のデジタル画像へのDOI付与に先進的に取り組んでいます。国立国会図書館では、博士論文(14万件)等への付与に加えて、2015年2月から、約9万件の古典籍画像にもDOIが付与されました。DOIは、いま研究者が知っておくべき識別子なのです。
国文学研究資料館春季通常展示 和書のさまざま ――書誌学入門――
国文学研究資料館 National, Institute of Japanese Literature,
日本の文学・歴史・思想は、《本》という形で受け継がれて来た、といっても過言ではないでしょう。本書では、《和書》のさまざまな形態を体系的に紹介しながら、日本の古典籍がどのように読み伝えられて来たのかを紹介します。
古典文学のPOPULARIZATION――江戸時代庶民文芸の再評価――
山下, 則子 YAMASHITA, Noriko
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01878)の助成を受けたものである。
教員志望学生に向けての古典文学教育授業実践
阿尾, あすか AO, Asuka
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01883)の助成を受けたものである。
古典と現代をつなぐ――自主ゼミ活動と二次創作の試み――
石井, 倫子 ISHI, Tomoko
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01884)の助成を受けたものである。
初中等学校における古典教育――表紙、緒言、目次、奥付――
小山, 順子 KOYAMA, Junko
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01875)の助成を受けたものである。
古典の普及活動への取り組み
小山, 順子 KOYAMA, Junko
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01886)の助成を受けたものである。
国語史教育と古典教育
山中, 延之 YAMANAKA, Nobuyuki
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01885)の助成を受けたものである。
アクティブラーニングによる古典教育
平野, 多恵 HIRANO, Tae
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01879)の助成を受けたものである。
古典の知識普及のための実践例
入口, 敦志 IRIGUCHI, Atsushi
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01877)の助成を受けたものである。
柿谷文庫蔵能因本枕草子零本紹介
山本, 和明
相愛大学図書館「春曙文庫」には田中重太郎が主にあつめた、数多くの古写本が所蔵されている。近年、田中重太郎の門下生で、相愛女子短期大学名誉教授の柿谷雄三の所蔵する古典籍も収蔵された。その中には、観応元年道甚奥書を有する枕草子の零本も存在する。その資料のもつ価値を踏まえ、翻刻をし紹介したい。
シンポジウム報告: 松平定信の伊勢物語筆写活動とその周辺
一戸, 渉 ICHINOHE, Wataru
幕府老中首座として寛政の改革を主導し、将軍家斉の補佐役を務めた、白河藩第三代藩主松平定信(一七五八~一八二九)は、文政六年(一八二三)頃に執筆した『修行録』のなかで、以下のように述べている。源氏ものがたり計も七部かき、廿一代集二部、八代集一部、万葉集は両度、三代集のたぐひ、さごろも、いせものがたりなどいくつかきけん、忘れにけり。六家集も五度ばかんもかきにけん。定信の古典愛好の深甚さを語るものとしてしばしば参照される文章だが、これまでに果たして何度まで書写に及んだのか忘れてしまうほど慣れ親しんだ古典のひとつに伊勢物語が挙げられているのは、注意されてよい。事実、定信が筆写した伊勢物語とその注釈書は一定数が現存している。晩年の定信は寸暇を見つけては古典の書写に励んでいたようだ。文政元年(一八一八)十月十二日、当初の予定よりも早く『源氏物語』の筆写(生涯六度目にあたる)を終えた定信は、「又何をかゝんと、この比よりかうがへぬるも、げに写病とかいふやまひ也けり」と自嘲気味につぶやいている(『花月日記』)。この「写病」(「うつしやまい」と訓読みすべきか)なる語は、管見の限り同時代の他の文献に一切見えず、定信の造語かと思われる。本稿では定信晩年における、こうした「写病」の症候のひとつである伊勢物語の筆写活動について俯瞰的な検討をおこない、それら一連の営みを近世期の学芸史上に定位してみたい。
日本語の歴史的典籍のデータベース構築計画
人間文化研究機構国文学研究資料館 National, Institute of Japanese Literature,
このパンフレットは、平成25年(2013)度から国文学研究資料館が取り組んでいる重点事業を紹介した小冊子です。古典籍研究の意義と魅力をわかりやすく紹介しています。なお、計画名は、平成26年(2014)度から「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」へ変わりました。
伊勢物語のかがやき――鉄心斎文庫の世界―― 第1章 名品
山本, 登朗
古くから多くの人に愛され、楽しんで読まれてきた『伊勢物語』だが、平安時代の写本は、娯楽の対象と見なされ保存されなかったためか、残っていない。鎌倉時代になると、『伊勢物語』は、和歌をよむための典拠、つまり研究の対象となる古典文学へと姿を変えていった。そのため、重要な写本は大切に残されるようになった。鎌倉時代の初めにはさまざまな形の『伊勢物語』があったことが知られているが、異なった種類の本の章段を巻末に補ってすべての『伊勢物語』を集成しようとする試みや、諸本の間の本文の違いを見比べて校訂する試みなども行われていた。それらさまざまな本の中で、すぐれた歌人であるとともに優秀な古典研究者でもあった藤原定家が校訂した本、すなわち定家本が次第に広まっていった。現存する『伊勢物語』写本のほとんどは、百二十五の章段を持つ、この定家本に属する本である。
観相から見る日本文学史の試み 序説 ――特設コーナー展示資料解説から――
相田, 満 高野, 純子 AIDA, Mitsuru TAKANO, Junko
国文学研究資料館通常展示「書物で見る日本古典文学史」の一角に設置している特設コーナーにて、平成二十六年一月二十一日から三月十日の間、本稿標題に掲げるテーマで観相に関する資料を紹介した。これは、観相が人物・キャラクター造型に与えた影響の可能性を確かめるために、その営みの跡をとどめる文学・絵画、それに関連する言説や相書に残された記述の一端を示したものである。「観相」とは、人の身体・容貌・声・気色(オーラのようなもの)を観察して、その性質・禍福を見通すことをいい、いわゆる人相見である。かつては、大いに普及していた知識体系が、文芸・絵画等の創作活動に影響を与えていたであろうことは想像に難くない。そこで、当該展示においては、観相書の記述と、その営みが、古典作品や記録、また様々な表現活動に及ぼした影響箇所の例示も試みた。本稿はそれを記録として残す意味でしたためたものである。
寛政~文政期の書物編纂と序跋
山田, 直子 YAMADA, NAOKO
寛政〜文政期の書物編纂に見られる特徴は古典文献(一次資料)を割裂し、事項、綱文等の見出しのもとに配列、再編成していることだが、これを文献整理の手法ととらえ「二次資料化」という観点から考察した。具体的には屋代弘賢『参考伊勢物語』、『古今要覧稿』、堀田正敦『水月文藻』等の序跋を検討した。
『日本語歴史コーパス(CHJ)』の教育利用の実践報告 : 高校の古典の授業における活用例
宮城, 信 江口, 遼至 EGUCHI, Ryoji
本稿は、日本語歴史コーパス(CHJ)を活用した学校現場での実践報告である。CHJを学校現場で利用するためには、様々な制約がある。一方でCHJの教育利用は始まったばかりであり、電子教科書の普及や教室でのインターネット環境の整備が進みつつある現在、CHJは質的量的に見ても教材・資料としての価値は高く、今後様々な場面での活用が期待される言語資源である。ここでは高等学校でCHJを活用した古典の授業の実践報告を行い、その利点と今後の課題について言及する。
『日本語歴史コーパス』のための書籍活字の電子化 : 小学館新全集『今昔物語集』を事例として
須永, 哲矢 堤, 智昭 SUNAGA, Tetsuya TSUTSUMI, Tomoaki
国立国語研究所で計画されている『日本語歴史コーパス』の構築にあたっては活字書籍化された古典資料のコーパス化を基本とし,その際には国内規格JIS X0213文字集合を用いて活字を電子化することが予定されている。本稿ではJIS X0213を古典資料の活字書籍に適用した場合の効果を検証するため,小学館新全集『今昔物語集』での漢字活字を調査し,のべ字数にして99.86%の活字がJIS X0213でカバーできることを明らかにし,JIS X0213の有効性を確認した。また,JIS X0213では表現できない活字に関しては,コーパスとしての利便性を鑑み,「〓」表示せずJIS X0213の範囲内の別字で代用しつつ,原資料での字形の情報を保持する方針を考案した。別字代用によりほぼ9割の外字は解消されるが,「〓」表示を完全になくすためには,文字レベルではなく,語の表記というレベルでの代用を考えなければならなくなる。末尾には小学館新全集『今昔物語集』で代用処理の対象となる特殊活字の一覧を付した。
古典資料・古文書の展示におけるAR技術の利用 ――《古典AR》の紹介――
北村, 啓子 KITAMURA, Keiko
長年当館デジタル展示を開発してきた。当初は高精細モニタを使い原本を展示スペースの制約で見せられない箇所の原本を補完することを目的とし、古典資料らしい見せ方を追求してきた。高密度ディスプレイ技術によりモニタの再現性が格段に向上し、可逆圧縮形式の画像を使うことによりさらに原本画像の品質・美しさを活かせるようになった。最近の画像認識技術の向上を背景に拡張現実(AR: Augmented Reality)技術が登場した。ARマッチングによりデジタル情報へアクセスする技術を利用し、原本とデジタル画像との境界なく原本の鑑賞をより豊かにすることを実現しようと考えた。本稿では、AR技術を利用したデジタル単眼鏡(ギャラリースコープ)をはじめ新しいデジタル展示のアイデアと具体的に当館展示のために開発・運用してきたデジタルコンテンツを紹介する。
正宗家における学問の系譜
石川, 一
岡山県備前市に、正宗敦夫先生が丹精込めて蒐集した古典籍・文書・短冊などを中心として創設された正宗文庫に関する事柄を扱い、そして「正宗文庫を通して正宗家」の学問の系譜を述べてみたい。併せて、本稿は特に正宗家三代に亘って姻族として嫁いだ讃岐多度津藩岡田家周辺に関する調査報告を取り扱い、正宗家の学問の系譜についても考察してみたい。
『政事要略』所引『論語義疏』の性格について
髙田, 宗平 Takada, Sohei
旧稿「『令集解』所引『論語義疏』の性格に関する諸問題」では、『令集解』を始めとする日本古典籍所引『論語義疏』と旧鈔本『論語義疏』は唐鈔本に由来する本文を遺存しているが、唐鈔本である敦煌本『論語疏』とは、本文の系統に関して一線を画す区別が必要であり、唐代には少なくとも『集解』所引『義疏』の本文に近いテキストと、敦煌本『論語疏』系のテキストが存在したことを明らかにした。旧稿で得た結論を確実なものにするためには、他の日本古典籍所引『義疏』の性格を旧鈔本『義疏』、敦煌本『論語疏』と比較検討する必要があり、本稿では、新訂増補国史大系『政事要略』が底本と定めた大阪市立大学福田文庫本をテキストに用い、『要略』所引『義疏』の性格を考察した。その結果、以下の結論を得た。第一に、『要略』所引『義疏』も『集解』所引『義疏』と同様に唐鈔本に由来する本文と見なすことができるが、敦煌本『論語疏』の本文とは一線を画す必要がある。第二に、『要略』所引『義疏』と『小野宮年中行事裏書』所引『義疏』は字句の相異が極めて少なく、『要略』と『小野宮年中行事裏書』の親近性が窺われる。
欧米における日本中世文学の研究と紹介
福田, 秀一 HUKUDA, Hideichi
欧米における日本文学の研究や紹介(翻訳等)の状況を見ると、いわゆる古典文学の分野では、中世文学に対する関心がかなり強いように見受けられる。今回はそれについての若干の統計やデータを示した上で、欧米において日本の中世文学がどのように研究・紹介されているか、多少の解説と考察を試みた。特に、日本文学の時代区分に「中世」の語を用いているものが少いことは注意される。
江戸堂上派和歌資料考 ―亨弁と石野広通―
松野, 陽一 MATSUNO, Yoichi
江戸堂上派武家歌壇資料の紹介整備に関しては従来とも意を用いてきたが、学統図『関東歌道系伝』の二条系、冷泉系それぞれの最有力歌人たる亨弁、石野広通については、『江戸堂上派歌人資料 習古庵亨辧著作集』(新典社 昭55。以下『著作集』と略称)、『霞関集』(古典文 庫昭57)の両解題に補訂の必要が生じてきているので、その後管見に入ったところを報告しておきたい。
国文学研究資料館蔵黒本『〔四天王〕』について ―『頼光 金臣 本末記』―
高橋, 則子 TAKAHASHI, Noriko
国文学研究資料館蔵黒本『〔四天王〕』は、『補訂版国書総目録』・『古典籍総合目録』・国文学研究資料館「マイクロ資料・和古書目録データベース」に未載である。これは、宝暦六年(一七五六)刊黒本『頼光 金臣 本未記』ではないかと思われ、現在のところ他での所蔵を見ない。本書の内容は、源頼光の四天王の一代記であり、『前太平記』から直接取材したものと思われる。
草案集とその研究
山崎, 誠 YAMAZAKI, Makoto
小稿は建保四年(一二一六)書写で転写本ながら、当時の説経の息づかいを伝える資料として甚だ著名な「草案集」貴重古典籍刊行会の影印(一九五八年刊)を底本に、全文の釈文を作成したものである。漢字片仮名は底本の原文で([ ]内は不読字)、ひらかなと( )内は全て校訂意見である。改丁は影印本の頁数に従い、表裏を示した。字音を示す圏点は省略し、欧文小文字は別途の論考のための分段を示したものである。
和歌代作論
松村, 雄二 MATSUMURA, Yuji
古典和歌の世界に多く見られる代作歌という現象について、主要なものを例示しながら、次のような問題点と考え方を提示した。①代作歌は近世後期にまで時代を通貫して見られ、近代以前の文学観を反映する。②権門が下位の職業歌人に代作を依頼するケース、歌に未熟な者が依頼するケースの二大別に従って、それぞれの問題点に触れた。③前者の中では特に、天皇が女房に歌を作らせる行為を特異なケースとして取り上げ、天皇と女房の古代的関係から来ることを説いた。またそれが以降の代作歌人の系譜につながるものであることを指摘した。④代作の淵源として中国詩に触れ、一方でその中の他人や動物に成り代わって歌う系列が、万葉から新古今集へ至る仮構的想像歌の流れに影響したことを述べた。⑤代作歌における作者の二重性(公的作者と実際の作者)という問題点を取り上げ、古典時代にあっては、作者の創造性や個性などという近代的なオリジナリティという問題はさほど重視されず、歌は個人に還元されない普遍性を追求する点に目的があったから、代作歌も、誰それの歌という個人の範囲を超えて許容されたのであるという論を展開し、結論とした。
国文学研究資料館特別展示目録 五 ――館蔵貴重書展――
国文学研究資料館 National, Institute of Japanese Literature
この目録は特別展示「館蔵貴重書展」(昭和55年11月10日~15日)の展示書目を改訂増補し当館所蔵の貴重書の解題目録としたものであって大方の御利用を期待する。ささやかな小冊子ではあっても、この解題目録によって国文学研究資料館が共同利用機関として保存する日本古典籍原本(貴重書)の詳細が世に知られ、大学を中心とする多くの利用者の研究の進展に寄与するところがあれば幸いである。
畑中荷沢書誌〈華字著作編〉 ―附、〈翻刻〉『滕太問答』―
松野, 陽一 MATSUNO, Yoichi
仙台藩の儒者畑中荷沢の漢文著作の書誌解題である。荷沢(通称多沖、名盛雄)は和漢兼作の人であり、近世中期の同藩の公的文業としての和文古典(源氏物語、勅撰和歌集、釈教歌)の注疏に成果を残している。その和文著作について別稿を作成(片野達郎編『日本文芸思潮論』平成3.3、角川書店所収)したが、その姉妹編として私的活動の所産である漢文著作について作成した書誌が本稿である。
Digital Humanities の実践例――国文学研究の裾野を広げるために――
福田, 智子 FUKUDA, Tomoko
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01880)の助成を受けたものである。
デジタル世代に和本のアナログ文化を伝える
小林, 一彦 KOBAYASHI, Kazuhiko
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01882)の助成を受けたものである。
〈共同研究プロジェクト紹介〉通時コーパスの設計 日本語通時コーパスの設計について
近藤, 泰弘 KONDO, Yasuhiro
国立国語研究所共同研究プロジェクト(基幹型)「通時コーパスの設計」では,日本語の史的研究に用いることができる本格的な「通時コーパス」を構築する準備段階として,コーパスの設計にかかわる諸問題について研究している。その中で,「選定した資料をどのように電子化しどのような情報(アノテーション)を付与するか」「古典テキストに対応した形態素解析等をどのように行うか」など,通時コーパス設計のための重要問題を中心に,基礎的な研究を展開している。
<研究ノート>森鷗外と中国文化 : その漢詩から見て
陳, 生保
森鷗外は日本近代文学の草分であり、文豪であり、二本足の学者でもある。 鷗外は生涯中国文化と深いつながりを持っていたと言える。 鷗外は五つの時から漢籍の教育を受けている。上京してからもずっと漢詩文の教育を受けた。それで漢詩文の力を身につけることができた。 鷗外には二百二十四首の漢詩が現存している。鷗外の漢詩を読むと、彼の中国古典経史の素養の深いこと、またその漢詩の表現技巧のうまいことに驚かされる。
「小学校向け和本レクチャー」実施報告――鶴見大学図書館・神奈川県立図書館による――
久保木, 秀夫 KUBOKI, Hideo
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01876)の助成を受けたものである。
富士ゼロックス京都のCSR活動伝統文化推進をテーマにした社会貢献――複製古文書作成での文化推進活動――
富士ゼロックス京都, CSRグループ・文化推進室 Fuji Xerox Kyoto.Co,Ltd., CSR group, Cultural Promotion Office
本報告書は、国文学研究資料館の歴史的典籍NW 事業・国文研主導型共同研究「青少年に向けた古典籍インターフェースの開発」(研究期間:2015 〜17 年度、研究代表者:2015年度・田中大士、2016 〜17 年度・小山順子)の成果の一環である。なお本共同研究は、JSPS科学研究費補助金(基盤研究(A))「日本古典籍における表記情報学の発展的研究」(研究期間::2015 年4 月~ 2020 年3 月、代表者:今西祐一郎、課題番号:15H01881)の助成を受けたものである。
周作人訳『枕草子』の経緯と実態――「未出版」を中心に――
張, 培華 Zhang, Peihua
中国現代名人である魯迅の本名は周樹人(一八八一~一九三六)である。周作人(一八八五~一九六七)は魯迅の弟である。本稿では、周氏兄弟の関係から、周作人が日本古典文学を翻訳するまでの経緯を述べ、特に人民文学出版社から一九五九年に依頼された『枕草子』の翻訳は、周作人が一九六一年に完訳したにも拘らず、なぜ当時出版しなかったのか。この点について、近年公開された周作人の日記や友人の手紙から、その原因と理由及び実態を考察してみたい。
愛媛大学鈴鹿文庫・鈴鹿連胤関係資料について
福田, 安典 FUKUDA, Yasunori
鈴鹿本『今昔物語』の旧蔵者、鈴鹿連胤は香川景樹門の歌人であり、神道研究者としても高名であるが、その古典書写、蔵書家としても名だたる存在である。その曽孫である鈴鹿三七氏も蔵書家として聞こえているが、彼の家の蔵書は「鈴鹿文庫」として愛媛大学附属図書館に収まり、『大和物語』『日次紀事』『新撰字鏡』などが収容されている。しかしながら、連胤の事績については従来触れられることが少ない。本稿では、鈴鹿文庫及び連胤についての整理と、若干の報告を目的とする。
蔵書家の夢
山本, 和明 YAMAMOTO, Kazuaki
枕草子の研究で知られる春曙庵主こと田中重太郎は、蔵書家としても有名であった。その蔵書の主なものは、現在、相愛大学の「春曙文庫」に収められている。古典籍を購入し、時にはその愛書を売ることで一人前の蔵書家と認められるとするならば、田中もそうした蔵書家の一人であった。一九七〇年代に田中が記した蔵書リストがある。それをみると、枕草子研究以外にも構想としてあったものを確認できる。こうした資料が埋もれることを憂え、その資料を公開するとともに、少し贅言を重ねてみたい。
立川の研究者たち 国文学研究資料館編 ――インタビューで知る「国文研」の人と仕事――
人間文化研究機構国文学研究資料館 有限会社えくてびあん National, Institute of Japanese Literature ECOUTEZBIEN, Lmd.
国文学研究資料館(以下、「国文研」)は、今なお日本各地に残されている国文学に関連する古典籍(明治以前に著作、出版された本)の調査とマイクロフィルムによる収集・保存を行い、それを活用して全国の大学の研究者と共同で日本古典文学研究を推進することを目的とする、大学共同利用機関です。 その業務・成果の一端は、展示室における「和書のさまざま」と「日本古典文学史」という二種類の通常展示や、「くずし字で読む百人一首」のような公開講座によって、研究者だけでなく広く学生、一般市民に公開されています。 しかし、実際にそこで研究を行っている教員が、どのようなことをしているのか、は館外の方々にはほとんど分からないと思います。もちろん私たちは「概要」や「年報」という公的刊行物を毎年制作し、その中で各教員の専門分野や業績の紹介をしていますが、たとえば誰かが「○○の研究」で「△△△△について」という論文を書いているといったことが分かっても、専門家以外には研究ならびに研究者のイメージは湧いてきません。 そのような思いを抱いていたところに、立川の情報フリーペーパー「えくてびあん」の編集部から、国文研の教員のインタビューを毎号連続で掲載したいという、願ってもない申し出をいただきました。そして、本年三月までに、見開き二頁を基本とする合計二十三回の詳細なインタビューを掲載していただきました。 清水恵美子編集担当の真摯にして巧みな問いかけと五来孝平カメラマンの精彩な写真で、インタビューは国文研の研究者たちの研究内容と素顔とをあますところなく伝えることに成功しています。 幸にこのインタビューは好評で、バックナンバーをお求めになる読者もおられたと聞いています。しかし、私たちは編集部肝いりの充実したインタビュー記事が、フリーペーパーの宿命とはいえ、多くは読み捨てられていくことを残念に思い、それを一冊にまとめることはできないかと、編集部にご相談したところ、快諾をいただき、また出版に際しては地元立川の文化振興に多大な貢献をしておられる立飛ホールディングスのご支援をいただくことができました。 御高配を賜ったえくてびあんならびに立飛ホールディングス御両社に心より御礼申し上げます。
俳諧と見立て : 芭蕉前後
光田, 和伸
日本の近世において大いに発達した表現手法である「見立て」は「俳諧」においては、ジャンルの芽生え以来深く宿命づけられた手法であった。和歌・連歌の作者の余技・余興として始められた俳諧は、それら先行の文学を参照しつつ、それを異化することで、ジャンルを樹立したのである。その結果、重頼(一六〇二―八〇)の編集になる俳諧作法書『毛吹草』(一六四五)には、「見たて」の条をはじめ「云立」「取成」「たとへ」などの項目を細かく列挙するまでになる。今日の目からすれば、相互の差異を容易には見出しがたいこの精細な分類に、ジャンルの表現の洗練にかける当時の状況がうかがわれる。芭蕉(一六四四―九四)はこのような時代に生まれ、当時の常套的な作風をいちはやく摂取していくが、次第に「和歌世界の見立て」であるという俳諧の表現世界の限界に気付きはじめる。しかし「見立て」は俳諧というジャンルが存立するための基盤であった。彼は逆に表現主体自らを古典作者の「見立て」と見なす方法によるならば、俳諧というジャンルの制約をまもりながら、表現世界の限界を脱して、対象を一挙に時代の全域にまで広げることが可能であるということに目覚めてゆく。表現主題自身を「見立て」と化し、先行の古典作者と自身とを貫くものの自覚へと沈潜することによって、ジャンルの二律背反から脱出した芭蕉は、その原理を、絶えずより広く、深めることで、今日「不易流行」「高悟帰俗」の語によって象徴される新しい文学の方法へと到達したのである。
堀内新泉の宇宙探検―― 科学小説の起源が語るアンチ・ミメーシス
ストリッポリ, ジュセッペ
明治後期に活躍した作家堀内新泉は、立志小説と植民小説というジャンルの枠組みの中で論じられてきたが、明治末期に冒険雑誌に載せられた探検小説群は注目されてこなかった。本論では彼の探検小説の一部を占め、現代のSFの作品として認められる宇宙探検を語る「三大冒険雑誌」の二つである『探検世界』と『武侠世界』という雑誌に掲載された「水星探検記」(一九〇六)、「金星探検記」(一九〇七)、「月世界探検隊」(一九〇七)、「少年小説昇天記」(一九一〇)という四つの短編小説を扱う。確かに明治時代では科学小説(SF)は文学ジャンルとしては確立されていなかった。しかし、堀内新泉の作品が示すように、科学小説的な物語が全く存在しなかった訳ではない。彼の宇宙探検を扱った作品は、明治から戦後に至るまでの多種多様な文学作品から成る、いわゆる「SF古典」の一つの例として捉えることができる。このような視点から彼の宇宙作品群を分析することで、SF古典作品が探検小説、冒険小説、科学小説などの枠組みで認知されていた明治時代まで日本SFの起源を遡って考えることができる。日本近代文学が確立されはじめた明治期に、思弁的な空想を取り扱うSFというジャンルを設定することにより、日本近代文学の一つの特徴が浮かび上がる。それは、坪内逍遥が『小説神髄』で確かなものにした、文壇の中心を占める現実主義文学に対する、ありのままの現実から距離を取る「アンチ・ミメーシス」という特徴である。
伝後伏見院筆歌集残簡 ―京極派歌人の贈答歌集―
久保木, 秀夫 KUBOKI, Hideo
東大史料編纂所蔵写真帳のうち「(伝)後伏見天皇宸翰」(六一三一―二○)と題される一冊は、従来知られていなかった歌集の残簡である。巻子本一軸、もとは列帖装の六半本の零葉とみられる。文献操作によって、その一紙四面分の料紙三枚の状態にまで復元することが可能である。そうして得られた復元案から知られる作者は、頼成朝臣(=伏見院)・中将(=永福門院)・藤大納言典侍(=為子)・為兼・中宮大納言の計五名。ほとんどが著名な京極派歌人である。一方、都合三十三首分ある所収歌は、いずれも二首一組の贈答歌であるとおぼしい。贈答歌そのものは他文献には検し得ないが、大変興味深いことに、各々に付された詞書の方が『後撰集』『和泉式部集』『和泉式部続集』の中に見出せるのである。このことなどから当該歌集は、ある時期に伏見院周辺の京極派歌人の間で開かれた、贈答歌を詠み合う類の催しの記録であると考えられる。そしてその贈答歌というのは、彼らの好尚に適った古典作品の詞書を引用し、そこに示されたシチュエーションに基づいて、自由な発想で詠み合っていくという、擬似的・創作的なものであったとみられるのである。当該歌集の内部徴証から、その開催時期はほぼ正応・永仁年間に限定される。それは岩佐美代子氏によって、前期京極派の第一次模索期と定義される重要な時期である。当該歌集はその頃の資料的空白をわずかながらも埋めるものとして、また古典摂取や和歌活動の様相を具体的に示すものとして、位置づけることができそうである。
コンテクストと自由 ―バーリンの自由論にかんする解釈を中心に―
小柳, 正弘 Koyanagi, Masahiro
自由とはなにか。この問は、一般にはしばしば、自由がいかなるものであるべきかを問うものとみなされており、それゆえ、自由論もまた、自由の本質をあきらかにするものとされてきたのではなかろうか。しかし、ある場合にある自由が自由であることが、別の場合に別の自由が自由であることをかならずしも否定するわけではないように、実際のところ、さまざまな自由はそれぞれなりに自由としてうけいれられている。小論は、現代自由論の古典ともいうべきI.バーリンの自由論の解釈を中心に考察して、自由の概念は、コンテクストとのかかわりで、そのような多様性と自明性の事実にすぐれてみあったものとなることをあきらかにした。
撥音(の解析)は機械(UniDic)にとっても簡単ではなかったんだ! : BCCWJを中心に
劉, 志偉
日本語の撥音は種々雑多であるゆえ、日本語学習者にとっては学習しにくい項目である。本発表では、BCCWJの非コアデータも視野に入れて、撥音の解析に関しては解析精度が98%に到底及ばないことを提示するとともに、具体的に「一般名詞」「オノマトペ」「漢語副詞」「漢字読み」「慣用句」「近畿方言」「呼称」「古典」「語尾」「固有名詞」「ぞんざい表現」「駄洒落」「同音異語」「動詞連用」「特定」「入力ミス」「話し言葉」「表記仮名」「表記仮名遣い」「表記漢字」「フィラー」「複合語」「(近畿以外)方言」「略語」「若者表記」「若者言葉」等の単純誤解析が多いことを明らかにする。
永井洵美と鍋島直郷
進藤, 康子
中川文庫(祐徳稲荷神社蔵)には、佐賀鹿島藩の歴代藩主が蒐集した貴重な古典籍類や草稿群などが多く収められている。特に六代藩主鍋島直郷は、祖父の四代藩主直條の文事を家学として継承し、更なる文事興隆のため心血を注いだ。直郷の文事を顕彰するにあたって、その直郷を支えてきた人々のひとりに、大坂の永井洵美(文安)がいる。洵美は、当時高名な香道指南であったが、一方で、直郷の文事を支えた重要な人物としては、その活動はほとんど知られていない。今回、中川文庫の蔵書群から、今まで明らかになっていなかった直郷のもとでの洵美に関連する文事と活動の跡を年譜形式にして採り上げ紹介しその基礎資料とする。
和書のさまざま――国文学研究資料館通常展示図録(2017年版)――
国文学研究資料館 National, Institute of Japanese Literature
和書すなわち日本の古典籍は、千二百年以上に及ぶ長い歴史を持ち、その種類の多様さと現存する点数の多さは世界的にも稀です。国文学研究資料館では、和書のさまざまな姿や特色を紹介するため、通常展示「和書のさまざま」を毎年行っています。本冊子は、その展示内容の概要を収録したものとして作成しました。ささやかながら、和書の豊かな世界への手引きとなることを願っています。*本冊子の掲載資料はすべて国文学研究資料館所蔵です。*項目番号は実際の展示と一致しますが、紙面の都合で一部の項目を割愛したため、番号が飛んでいる箇所があります。*本冊子の掲載資料が実際に展示されているとは限りません。
和書のさまざま――国文学研究資料館通常展示図録(2018年版)――
国文学研究資料館 National Institute of Japanese Literature
和書すなわち日本の古典籍は、千二百年以上に及ぶ長い歴史を持ち、その種類の多様さと現存する点数の多さは世界的にも稀です。国文学研究資料館では、和書のさまざまな姿や特色を紹介するため、通常展示「和書のさまざま」を毎年行っています。本冊子は、その展示内容の概要を収録したものとして作成しました。ささやかながら、和書の豊かな世界への手引きとなることを願っています。*本冊子の掲載資料はすべて国文学研究資料館所蔵です。*項目番号は実際の展示と一致しますが、紙面の都合で一部の項目を割愛したため、番号が飛んでいる箇所があります。*本冊子の掲載資料が実際に展示されているとは限りません。
テキストから「かな表記の語彙」を抽出する試み ―コーパスを利用して古典語彙を収集するために―
北村, 啓子 KITAMURA, Keiko
古文のテキスト処理をしようとすると、表記のゆらぎは切実な問題であり、これをカバーするシソーラスや異表記辞書、読み辞書、固有名詞辞書などの語彙に関する電子辞書の構築が待望されている。古文のテキストデータ化が研究者個人で活発に行われるようになり十年を数え(国文学資料館でも二十年近く前から実験されていた)、大規模にテキストデータベースとして構築するプロジェクトもいくつか興っている。これらの活動で作られてきた古文テキストは、古文を対象にした一種の大規模コーパスを形成している。この生データであるコーパスから直接古典語彙を抽出するというアプローチは、トップダウンに作られた辞書にはない古文のテキスト処理に実際に役立つ語彙集の抽出が期待できる。特に古文を扱う上では、「もののあはれ」の例を出すまでもなく「かな表記の語彙」に重要な語彙が多く存在する。ここでは、この「かな表記の語彙」を抽出することに狙いを定め、現在利用できるテキストを分析することにより、コーパスから語彙を抽出する手法を検討し、いかに抽出できるかを試みる。
最適採食戦略 : 食物獲得の行動生態学
口蔵, 幸雄
本稿は行動生態学で発達した最適採食理論を人間の食物獲得活動へ適用した研究のレヴューである。最適採食理論に基づく食物獲得活動の研究では,利用可能な戦略(行動)の中でどのような戦略が進化するかを予測する最適化分析が用いられる。ここでは最適採食モデルとして,食餌幅,パッチ選択とパッチ内時間のモデル,およびこれら古典モデルの仮定を緩和することによって修正されたモデルとして中心点採食,資源の変動や食物分配とリスクの関係,複数の「通貨」を取り入れた線形計画法と無差別曲線分析などがあつかわれる。現在までのところ,最適採食モデルの人間行動への適用事例ではモデルの予測と実際の観察がうまく一致しないことが多いが,むしろそこから人間行動の特性を引き出し,モデルを改良することが重要である。
資料画像公開・利用の国際化と高度化の取り組み : 「日本語史研究資料[国立国語研究所蔵]」の事例
高田, 智和 福山, 雅深 堤, 智昭 小助川, 貞次 TAKADA, Tomokazu FUKUYAMA, Masami TSUTSUMI, Tomoaki KOSUKEGAWA, Teiji
昨今,デジタル技術の進歩,学術政策におけるオープンサイエンス・オープンデータの推進と相まって,世界各国の様々な機関が所蔵する資料(主に古典籍)のデジタル画像化とインターネットを通じた公開が進んでいる。従来の公開では,単純な閲覧を目的とした場合,JPEG形式やTIFF形式のデジタル画像を提供する方式や専用ビューアを提供する方式が採用されてきた。また,アノテーションが付与された画像を表示する場合や,複数画像を比較表示するような場合,提供画像と専用ビューアを合わせて用意する方式が採用されてきた。本稿では,従来の公開方式による「日本語史研究資料[国立国語研究所蔵]」に,IIIF規格に準拠した画像公開システムを導入した事例と,コーパス検索結果からの画像参照への実装を報告する。
玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りもぞする―古典和歌の探究・研究が持続可能になるリノベーション―
江戸, 英雄
拙論は中高大の教育を連結するブリッジを考えながら古典和歌の探究と研究が持続可能になるように教授法をリノベしてみた事例的研究である。ついては、式子内親王の「玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りもぞする」という歌を中心に、儀同三司母の小倉百人一首の歌や式子内親王の家集の歌等を取りあげた。背景の伝記的な事柄より題詠歌であることを先ずきちんと押さえるべきだとの考えに基づき、「忍ぶる恋」の歌としての特色についてまとめた。題詠歌では恋愛初期の、表面上は恋していないが胸の内では恋愛の葛藤が抑えがたく生じたという構造の歌が基本だが、式子内親王は恋愛の初期の一点よりその全てにわたる比重を取るように詠む。その型破りな特色を、俊成卿女の同題の歌と比較したり伊勢物語・源氏物語等の歌を押さえたりして確認した。末尾に、謡曲定家が題詠歌としての特色を押さえて引用していることや、八代抄により定家の「玉の緒」の理解が通解と異なることにも言及した。
国文学研究資料館において作成してきたデジタル展示―プログラミングの労なく作成するために―
北村, 啓子 KITAMURA, Keiko
古典資料(歴史的な研究資料)のデジタル画像を展示する場合の資料の形状・見せ方などから錦絵・巻子・書写本・検索のタイプに分類し、それぞれの共通する見せ方を分析して、汎用性の高いデジタル展示のソフトウェア開発を行った。これにより、毎回新たに開発することなく、展示原本を撮影したデジタル画像(・翻刻データ・調査研究データなど)を準備するだけでデジタル展示が完成することを可能にした。これは展示企画者である人文系研究者やキュレータなどコンピュータの非専門家が、プログラミングすることなく直接デジタル展示を作成することができることを意味する。これらの汎用的なソフトウェアを使って、国文学研究資料館の展示において、これまで作成してきたデジタル展示の紹介を行う。最後に、開発したデジタル展示の評価と、最近進化が著しいタブレット環境にフォーカスを当て、今後のテーマについて述べる。
近代北インドにおける音楽財産の伝承形態と社会関係の変化 : サロード・ガラーナーを事例として
田森, 雅一
本稿は,北インド古典音楽に特徴的な社会音楽的組織であるガラーナー(gharānā)の考察を通して,社会/共同体とその音楽文化との関係を探究しようとする社会人類学的試みである。本稿において問題とするのはガラーナー形成期におけるサロード・ガラーナーの婚姻関係と師弟関係の相関であり,ポスト形成期におけるこの二つの社会関係の変化が「音楽財産」の伝承に与えた影響である。 サロードはシタールと並び,北インド古典音楽を代表する弦楽器の一つであり,今日4 つのガラーナーが認められる。これらガラーナーの中核的家系あるいは家族はすべてムスリムで,このうち3 つのガラーナーの子孫は自分たちのルーツをムガル帝国期にアフガニスタンから北インドにやってきた軍楽家あるいはパターン人軍隊と結びつく馬商に求めている。彼らの流祖は,アクバルの伝説的宮廷楽師であったミヤーン・ターンセーンの子孫で音楽的権威となっていたセーニヤーからラーガ音楽を学び,サロードの演奏スタイルを別個に確立した。ある音楽集団がガラーナーと呼ばれるためには,この独特の演奏スタイルの源泉となる音楽財産が父から息子,師匠から弟子へと3 代に渡って受け継がれる必要があった。本稿では19 世紀中葉からインド独立に至る英領インド帝国期と重なるこの時代をガラーナーの形成期と呼び,インド独立から今日に至る時代をガラーナーのポスト形成期と呼んで区別する。 本稿においては,最初に秘匿の対象となった音楽的知識および音楽財産の内容,そして伝承形態について素描する。次にサロード・ガラーナーの起源と系譜および婚姻関係と師弟関係について把握する。そして最終的に,ガラーナーの形成期においては内婚関係と師弟関係の二重の結びつきの中で音楽財産が管理・伝承される一方,ポスト形成期においてはこの二つの社会関係の間に相関関係がほとんど見られないことが明らかになる。このような社会関係の変化は近代インドにおけるマクロな社会文化的システムの変化と対応しており,音楽財産の伝承形態とガラーナーの盛衰に大きな影響をもたらしたと考えられる。
『江戸名所図会』にみる隅田川名所と流域の地域特性
鈴木, 章生 Suzuki, Shosei
本稿のねらいは、『江戸名所図会』の挿絵のなかで、従来あまり紹介されていない隅田川流域の挿絵を取り上げ、隅田川名所の特徴を都市江戸の歴史と隅田川流域とのかかわりを視野に入れながら理解しようとするものである。該当する名所絵は四十図。そのうち「隅田川上流」「隅田川西岸」「隅田川東岸」「隅田川両岸」という共通の表題を持つ二十一図(便宜的に隅田川シリーズと呼ぶ)を分析対象に、それぞれの構図や名所として描かれた図様の特徴を細かく分析する。さらに、「隅田川」を冠した名所絵がどのような背景のもとで成立し、またなぜ大川橋(吾妻橋)より北の隅田川上流部に集中したか、さまざまな観点から検討を試みるものである。これまで隅田川の描写は、「江戸図屏風」などの江戸前期の都市図で、川の全域が描かれても古典的な名所が描かれる以外、詳細な情報は皆無に等しかった。天明元年(一七八一)に刊行された鶴岡蘆水の「隅田川両岸一覧」は、隅田川の流域を連続画面で構成した絵巻仕立てで大きなインパクトを与えた。天保五年・七年(一八三四・三六)に刊行された『江戸名所図会』では、版本の挿絵という性格から、個々の名所を単体の俯瞰図によって把握させることに主眼があった。しかも、大川橋以北から千住大橋までに限って隅田川名所を連続画面を用いていくつか展開させていることが把握できた。隅田川シリーズが隅田川上流に集中して展開した理由は、寛政改革の一環で三派中洲が撤去されたことを契機に、文人や知識人たちの関心が当該地域に集中したことが要因のひとつとしてあげられる。自然あふれる田園地帯で古典と歴史の多く残る向島地域。三囲稲荷社の開帳、百花園の開園、七福神の成立、文芸や芝居での隅田川物の隆盛など、当該地域を舞台に数多くの文化的な活動が展開された。このことが隅田川上流部の名所を可視化させ、『江戸名所図会』で展開する背景となったと考える。
スマホで古辞書 : 『篆隷万象名義』のIDS検索を例に
劉, 冠偉 李, 媛 池田, 証壽 LIU, Guanwei LI, Yuan IKEDA, Shoju
近年,スマートフォンやタブレットのようなモバイル端末が普及し,日常生活を変えつつあり,日本語教育・日本語研究にも使えるようになると予想される。しかしながら,構築・公開が盛んである古典籍・古文書のデータベースはPC 向けが多く,PC以外の端末で利用する際は表示サイズのずれや機能障害がしばしば発生する。そこで,モバイル端末でデータベースを利用しているユーザを想定した利便性が高い言語資源データベースのWeb インターフェイスを開発したい。漢字字形の構造情報を用いて古辞書のテキスト・画像を検索することによって文字の同定に利用できるWeb アプリはまだないので,篆隷万象名義の掲出字についてIDS 検索と画像表示を可能にするツールを試作した。本アプリによって,漢字のパーツで篆隷万象名義に掲載している文字の画像をスマートフォンなどの携帯端末で検索でき,写本の解読・翻刻する際に役立つと期待している。
近世の後摺り本の問題 ―四谷怪談の正本写し合巻―
高橋, 則子 TAKAHASHI, Noriko
歌舞伎『東海道四谷怪談』の正本写し合巻として、文政九年刊『名残花四家怪譚』、文政十一年刊『東海道四ツ家怪だん』、天保三年刊『東海道四ツ谷怪談』、天保八年刊『東街道四ツ家怪談』が存在する。これらは、『名残花四家怪譚』の板木を利用しつつ、表紙を変え、前年上演歌舞伎の役者似顔の象嵌をしたり、演出の変化を反映させたりしながら、後摺り刊行されたものである。これらの後摺り本の相違は、歌舞伎演出上の変化や、浮世絵と通底する社会事情等を反映させているが、『国書総目録』・『古典籍総合目録』の表記では諸本は混在している。諸本間の違いは、全板本の全丁写真版を詳細に比較検討することによって初めて知り得る。同外題板本で、一見同一本と見られるものであっても、調査収集の必要性を説かれる近世板本の、特殊な刊行事情が窺われる一例と捉えることができよう。
【《UH・UR合同シシポジウム》報告】繰り返しがえし : 琉球舞踊の精神
高嶺, 久枝 Takamine, Hisaye
琉球王国時代、朝貢関係にある中国皇帝の使いである冊封使を歓待するために創られた御冠船踊り(宮廷舞踊・古典舞踊)。私を踊り手として解放してくれるきっかけを与えてくれたのが、普天満宮先代宮司で、舞踊家の故新垣義志氏の創作、神楽舞「初穂」でした。この踊りは湛水流(古典音楽の古型)の音曲にのせ、祭式作法を取り入れ、かつて沖縄の村々の祭りを司った神女の姿で踊ります。そして稲穂を持ち、豊作は神の恩恵によるものとして‘初穂'を神に捧げます。祈りの舞を踊る時、私の想いのベクトルは神聖な対象に向かい、精神の浄化を求め、かつ求められ、透明化していきます。舞の透明化をめざすべく、身体は観客に向かっている時でも、私自身の想いのベクトルは私自身の魂へ向き、または崇高なものへ向かいます。そして自分自身を内視します。その繰り返す行為が純化された精神的な世界へと導いてくれます。文字のない社会における島の女達は、時として神人になり、白い衣裳をまとって幾日も龍もり、心の内から発する歌と祈りの所作で男達を、子供達を、すべての人々を愛で包み、島の繁栄を祈りました。そして現世と来世をつなぎ、生を豊かに謳歌してきたと思います。文献にみる「舞踊」に関する言葉には、三つの系列があります。(1)「遊び」(神女の歌舞や船遊び、祭事における神事的な歌舞、行事をさす)・(2)「なより」(身振りのつく踊りで手の舞いはこねり)・(3)「舞い」の三つです。古代から「舞う」は鳥や蝶が飛翔するさまを表わすときに使います。それらは兄弟の航海を守護する「おなり(姉妹)神」の化身でもあると信じられています。神女達は果報を寄せる霊力を持つとみられ、「舞い合い」「群れ合い」によって波風を和めんとし、鷲の羽でつくった「風直り」を髪に挿し、薄衣装をはためかしてその飛翔するさまを舞います。神女達が御嶽の庭に降臨し、「なよる」のは、島を「直」す、すなわち和め、繁栄をもたらすためでした。「遊び」「なより」「舞い」は、言葉は違っても、「祈り」という点では、共通の意味合いをもっています。私は現代に生きる者として、女性(姉妹オナリ)のもつ霊力を表現した作品『風なおり』を1991年に発表し、先達の思いを、祈りの心を舞いに映し出してみました。現代に生きる古典舞踊は、時と場所を超え人々の生への共通のテーマを表現していると思います。舞う側の無駄を削ぎ落とし、昇華され、透明化された表現は、人々のもつ精神世界に触れ、蘇らせ、心の綾を象徴すると思います。私は生命あるものすべてに神の心が宿り、その神に生命養われたことへ感謝し、歌と踊りを神々に献じた先人達の智慧と愛に満ちた心を学びたいと思います。さらに、芸能に宿る今もむかしも変わらない愛と祈りの精神性を受け継ぎ、これまで培ってきた身体に宿る技と心のリズムで難な表現を可能に出来るようにし、創造・継承の使命を持ちつつ、日々の精進を怠らないように心がけたいと思います。
南北朝期の『孟子』受容の一様相 ―二条良基とその周辺から―
小川, 剛生 OGAWA, Takeo
南北朝時代の文芸・学問に、四書の一つである『孟子』が与えた影響について探った。『孟子』受容史は他の経書に比し著しく浅かったため、鎌倉時代後期にはなお刺激に満ちた警世の書として受け止められていたが、この時代、次第にその内容への理解が進み、経書としての地位を安定させるに至った。この時代を代表する文化人、二条良基の著作は、そうした風潮を形成し体現していたように見える。良基の連歌論には『孟子』の引用がかなりあり、これを子細に分析することで、良基の『孟子』傾倒が、宋儒の示した尊孟の姿勢にほぼ沿うものであったことを推定し、もって良基の文学論に与えた経学の影響を明らかにした。ついで四辻善成の『河海抄』から、良基の周辺もまた尊孟の潮流に敏感に反応していたことを確認し、『孟子』受容から窺える、この時代の古典学の性質についても考察した。
伊勢物語のかがやき――鉄心斎文庫の世界―― 第5章 遊ぶ
二又, 淳 藤島, 綾 谷川, ゆき
江戸時代はパロディの時代であった。その中でも、古典類が出版文化の上で花開いた十七世紀は、『枕草子』をもじった『犬枕』『尤之 双紙 』、『徒然草』をもじった『犬つれづれ』などが出て、そして日本文学史の上でも最も優れたパロディ文学『仁勢 物語』が登場する。パロディ文学の流行は、散文の小説類(仮名 草子 )に限った現象ではなく、とくにこの十七世紀には、俳諧・狂歌・漢詩文にも及び、ジャンルを超えた流行を見せていた。まさに「パロディの世紀」といってもよい時代であった(今栄蔵「パロディの世紀」『初期俳諧から芭蕉時代へ』笠間書院、二〇〇二年)。そして本テーマで展示している『伊勢物語』のパロディ『にせものがたり』『いくのゝさうし』『戯男伊勢物語』は、それぞれ『仁勢物語』の影響を強く受けつつ、新たなる『仁勢物語』をめざした作品群で、その影響は明治初期まで続き、版本『仁勢物語』自体の需要も明治時代にまで及んだのである。
一般的な日本語テキストにおける助詞比率の規則性
森, 秀明 MORI, Hideaki
日本語のテキストでは名詞比率に連動して自立語の動詞や形容詞などの比率が規則的に変化することが知られている。しかし付属語については明らかにされていないため,BCCWJ固定長と日本語歴史コーパスの長単位データを使用し,助詞比率の規則性を観察した。コーパスのサンプルの中には,例えば商品名と値段が羅列されるなど,ほとんど助詞が使用されないものが存在するため,名詞比率45\\%未満のサンプルを仮に「一般的な日本語テキスト」と認定して調査した。この結果,連体助詞(格助詞ノ)には名詞比率と正の相関が,接続助詞には負の相関があった。また会話が一定数含まれる図書館サブコーパスでは,終助詞には負の相関が,(ノ以外の)格助詞には正の相関があった。注目すべきは助詞の中分類ではこのように名詞比率との連動性がありながら,それらを合計した大分類では,ほとんどのテキストの助詞比率は34\\%前後とほぼ一定で,その比率は古典語でも同じであった。
西洋人宣教師の造った新漢語と造語の限界 : 一九世紀中頃までの漢訳洋書を中心に
孫, 建軍
本論は一九世紀中頃までの漢訳洋書を対象に、その中に現れた社会科学関係の内容を紹介し、中国で活動した西洋人宣教師の翻訳、造語活動について分析を行ない、宣教師の造語における限界を指摘した。一九世紀初頭から中頃までの漢訳洋書は自然科学や宗教関係のものが圧倒的に多いが、西洋国家の政治制度や社会制度を紹介する内容もわずかながら見られた。宣教師の造語は「新造語」と「転用語」の二種類に分けることができる。「新造語」は音訳語のほかに、「上院、下院、議会、国債」のような直訳語もある。そして「国会」のように、短文をさらに短縮した語も見られる。それに対して、中国では古典法律用語が発達したため、「転用語」が比較的数が多いといえる。「選挙、自主、領事、自立、民主」などがその例である。宣教師の造語は積極的に行なわれたものの、様々な限界も存在した。専門知識の欠如、「口述筆録」といった翻訳方法、方言の違い、宣教グループ間の対立などが原因となって、宣教師の造語に限界をもたらしたと考えられる。
CD-ROM による国文学研究材料データベースの配布
北村, 啓子 KITAMURA, Keiko
計算機による国文学研究支援の中でもパーソナル環境の支援として,研究材料を研究者の手元に配布することに取り組んだ。配布媒体としてはCD-ROMを選び,配布材料としては,(1)目録型データ(2)フルテキストデータ(3)マルチメディアデータの3種類に分けて,順次取り組んで行くことにした。(1)目録型データでは,高速インデックスサーチと高速表示を目的としてデ-タ構造を設計し,マイクロ資料目録データベースの評価版を作成した。また,試用者によるアンケートを実施し,その分析によると良好な結果が得られた。特に,ツールとしてはもちろんアイデアプロセッサ的な真の意味での研究システムとしての要素もあるという喜ばしい結果も得られた。(2)フルテキストデータでは,高速文字列検索のためにデータ構造を設計し,日本古典文學大系の中から6作品を選んでテスト版を作成した。またこの検索システムには,日本語固有の縦書き文化に合わせた縦表示機能を開発し組み込んでいる。(3)マルチメディアデータでは,4種類の実際の応用例について考察したのでその紹介を行う。
貝原益軒の養生論における音楽
光平, 有希
人間が治療や健康促進・維持の手段として音楽を用いてきたことの歴史は古く、東西で古代まで遡ることができる。各時代を経て発展してきたそれらの歴史を辿り、思想を解明することは、現代音楽療法の思想形成の過程を辿る意味でも大きな意義を孕んでいるが、その歴史研究は、国内外でさかんになされてこなかった。 この音楽と治療や健康促進・維持との関係については、日本においても伝統芸能や儀礼の中で古くから自国の文化的土壌に根付いた相互の関連性が言及されてきた。しかしこのような伝統芸能や儀礼だけでなく、近世に刊行された養生書の中には健康促進・維持に音楽を用いることについていくつかの記述があることが明らかとなった。その中から本論では、養生論に音楽を適用した貝原益軒に焦点を当て、(1)貝原益軒における音楽思想の基盤、(2)貝原益軒の養生観、(3)貝原益軒の養生論における音楽の役割、(4)貝原益軒の養生論における音楽の効果と同時代イギリスの「非自然的事物」における音楽の効果との比較検討、と稿をすすめながら、益軒の考える養生論における音楽効果の特徴を解明することを研究目的とした。 その結果、『養生訓』『頤生輯要』『音楽紀聞』を中心とした益軒の著作の分析を通じて、益軒の養生論における音楽の適用の基盤には、『礼記』「楽記篇」を中心とした礼楽思想と、『千金方』や『黄帝内経』など中国医学古典に起源を持つ養生観があるということがわかった。そして、その基盤上で論じられた音楽効果に関しては、特に能動的に行う詠歌舞踏に焦点を当て、詠歌舞踏の持つ心身双方への働きかけが「気血」を養い、それが養生につながるという考えを『養生訓』から読み解くことができた。また、同時代イギリスにおいて書かれた養生論における音楽療法思想と益軒の思想とを比較してみたところ、益軒の音楽効果論には音楽の「楽」の要素を重視し、音楽が心に働きかける効果を特に重んじているという特徴が見られた。 このように益軒の養生論における音楽効果は、古代中国古典の思想を基盤としながらも、その引照に終始するのではなく、益軒の生きた近世日本の土壌に根付いた独自の観点から音楽の持つ心理的・生理的な効果を応用して、心身の健康維持・促進を図ることを目的として書かれているという点で、重要な示唆を含んでいると考えられる。
学校のなかの八重山芸能 : 人の移動と八重山芸能の成立過程に注目して
呉屋, 淳子 Goya, Junko
近年,学校教育のなかで民俗芸能が積極的に行われている。学校教育で教えられている民俗芸能を見てみると,その在りようは,年々多様化している。特に,2006(平成18)年の教育基本法改訂に伴い,『新学習指導要領』のなかで「伝統の継承」に関する文言が明記され,正規の教育課程でも「伝統と文化」に関わる教科・科目の導入が顕著となってきている。本稿で取り上げる沖縄県八重山諸島石垣島に所在する3つの高等学校で導入された八重山芸能も,『高等学校学習指導要領』改訂に伴う教育課程の再編成によって実施されている。また,学校教育で民俗芸能の教育が導入される状況は,地域によってもさまざまである。たとえば,地域社会を主体として民俗芸能の継承を行うには,困難な状況となり,学校教育が民俗芸能の継承の一翼を担っている場合がある。本稿が対象とする八重山諸島は,地域社会だけでなく,八重山諸島の3つの高等学校のそれぞれの学校が主体となり,地域社会と相互に関わり合いながら民俗芸能の教育が行われている。そして,民俗芸能が地域と切り離されて教授されてきた訳ではなく,むしろ地域社会と密接な関わりを保ちながら行われていた。このようなことから,本稿では,八重山諸島の歴史的,社会的,文化的背景を踏まえて,現代八重山における八重山芸能の継承の現状と展開を,現在,3つの高等学校で行われている八重山芸能の教育の事例から明らかにする。その際,近世琉球期に八重山諸島と沖縄本島を行き来した人々がもたらした影響を通して,今日の八重山芸能がどのような人的交流を経て確立され,学校教育に取り入れられてきたのかについてみていく。具体的には,まず,廃藩置県以降,琉球王府に仕えた元役人の琉球古典芸能家が八重山諸島の人々へもたらした影響と,琉球古典芸能の八重山諸島への流入が八重山芸能の確立に与えた影響とその展開について検討する。次に,戦後の沖縄と八重山で芸能の普及に大きな役割を果たした「研究所」に着目しながら,芸能を継承する場の変化について指摘する。それらを踏まえて,現在,八重山の3高校の生徒および教員が八重山内外を移動することによって受ける沖縄本島や日本本土からの影響について検討し,八重山芸能が創造される過程について明らかにする。八重山の高等学校の事例を通して,今日の八重山芸能の継承と創造の過程について考察する。
研究報告:国文学研究資料館蔵 田安徳川家旧蔵 入木道伝書 解題 (世尊寺家篇)
金子, 馨 海野, 圭介 KANEKO, Kaoru UNNO, Keisuke
国文学研究資料館所蔵田安徳川家資料のうち、田藩文庫に所蔵される入木道伝書の解題を報告する。田安徳川家は、八代将軍徳川吉宗(一六八四~一七五一)の二男宗武(一七一五~一七七一)を祖とする家で、一橋家・清水家とともに御三卿と呼ばれる家系の一つである。宗武は、江戸時代中期の歌人・国学者で、舞楽・有職故実を中心に古典研究に力を注いだようである。田藩文庫に所蔵される資料については、国文学研究資料館編『田藩文庫目録と研究』に資料の略目録が掲載され、とりわけ文庫形成・伝来については、田安徳川家の末裔である松方冬子氏によって詳しく述べられている。入木道伝書とは、書に関する口伝などを書きとどめたものである。「能書の家」によってその多くが編まれたと目され、家記として有職故実的な要素が強い。内容は様々で、書式や心得などを記した理論書と色紙形や散らし書きなどの雛形(見本帳や手控え)とに大きく分類される。森尹祥(一七四〇~九八)の著した『入木道伝書目録』には、世尊寺家・持明院家に伝来したとされる入木道伝書(書論)の書目が百八十点近くも記載されているが、その多くが所在不明とされてきた。しかし、新井榮蔵氏や鈴木淳氏の研究成果によって、田安徳川家にまとまって伝来していることが明らかとされる。これらは江戸時代中期以降に書写された資料で、当該目録に記載される書目と概ね一致するため、当時の伝授資料の内容が詳らかとなろう。田安徳川家(田藩文庫)には一千点あまりの資料が伝来するが、そのうち入木道伝書は二百点近くに及ぶ。薬師寺に伝来する資料約二百六十点(入木道伝書だけでなく、歌書類も含み混む)との連関が期待されよう。田安徳川家旧蔵の約二百点の入木道伝書は、世尊寺家五十点・持明院家百十七点・その他三十九点に大別される。『田藩文庫目録と研究』に於いて、資料の略書誌は掲載されるが、入木道伝書は書名だけで内容が不明なものも少なくない。そこで、本稿では世尊家の伝書として伝わる五十点を取り上げ、資料の解題と一部影印を掲載する。持明院家、およびその他に分類される資料については別稿に譲りたい。書誌情報も一部重複するが、本稿末尾に一覧の形で再掲した。同内容で書名の異なる資料も多いことから不完全なら、「日本古典籍総合目録データベース」などを参照して、可能な限り伝本の所在状況や研究状況なども反映した。
沖縄の踊り (3) : 古典舞踊「高平良万歳」 : 舞踊譜の体系化をめざして
金城, 光子 Kinjo, Mitsuko
舞踊の記録,表記はむずかしい多くの課題を含んでいるようである。これまで,老人踊り「かぎやで風」と女踊り「諸屯」の2つの作品の踊り像を描き,踊りの展開がある程度わかるように図示してきた。今回は,同じく男踊り「高平良万歳」の舞踊の踊り像を描写したものを図示することにしたい。この踊りに関する解説および,分析検討は本紀要『沖縄の踊りの表現特質に関する研究[3]~古典舞踊「高平良万歳」(男踊り)について』に記したので本稿では割愛することにした。研究の方法は,(1) 8ミリ,16ミリ,35ミリフィルムに踊りの全形を収録したのち,(2) 1~10コマ毎の踊り像をプロフィールプロジェクターで拡大し,舞踊の全体像を描いた。(3) 作品の総コマ数をかぞえ,踊り動作のまとまりに区切りをつけてコマ数を記し時間を概算した。(4) 図を踊り順にならべ,図の下にコマ数を数字で記入したのち約3cmの高さに像を縮少した。(5) 踊り順序にならベた図に動作や一連の踊りの区切りがわかるように番号を付した。この踊り番号は,踊りのコマ数と時間の表に書いた番号と同一である。(6) (5)と対応するようにコマ数と時間,歌詞を示す表を作成。(7) (5)と(6)と対応させつつ"踊り方"の概説を記した。(8) 踊り手は,琉球舞踊家の島袋光裕。(9) 撮影は昭和50~51年まで,那覇市民会館大ホールで行なった。
「婚怪草紙絵巻」の風刺に関する一考察
別役, 恭子
浮田一蕙の「婚怪草紙絵巻」は、皇女和宮の徳川家茂への降嫁に対する風刺絵だとされてきた。しかし、一蕙の作品群を調べると、一蕙が信州に滞在した嘉永五年十月から翌六年二月にかけて、「狐の嫁入り」を主題とした掛幅や六曲一双の屏風を既に制作しており、「婚怪草紙絵巻」もその延長線上で描かれたと思われる。即ち、一蕙が江戸に滞在した嘉永六年三月から安政元年七月の間で、それは和宮降嫁の議が内々論議された安政五年秋から冬にかけてより、四年有余遡るのである。 江戸中、後期は擬人化の風潮が顕著に現れた時期であった。そして、妖怪奇異に対する好奇心が版本の普及とともに高揚した時期でもあった。想像力の逞しい画家や作家たちが、幻想、奇想の世界を創り出していた背景を考えると、「婚怪草紙絵巻」が生まれる土壌は、風刺を抜きにして充分整っていたのである。一蕙が古典絵巻から吸収した知識と、当時の社会に培われていた、洒落や、遊戯や、パロディーの精神が結びつき「婚怪草紙絵巻」は生まれたのである。
エジプト・アラビア語のWh疑問文の語順と語順変化 : コプト語影響説の再検討
Nishio, Tetsuo
エジプト・アラビア語(カイロ方言)はWh 疑問文の語順に関して古典アラビア語や現代標準アラビア語,さらに他の諸方言にはみられない特徴を持っている。エジプト・アラビア語以外のアラビア語では,Wh 疑問文の疑問詞は文頭の位置に移動するのが普通だが,エジプト・アラビア語においては,本来の平叙文の後部の位置にとどまるWh 疑問文が多用される。このような疑問文をコプト語の影響とみなす説が提唱されたが,いまだにその妥当性に関して結論は出ていない。本稿では,エジプト・アラビア語とコプト語の基本語順や話題化・焦点化などの一般的な語順をめぐる統語規則との関連で,各言語のWh 疑問詞に関して生起環境や統語規則をシステムとして比較し,コプト語影響説の是非を検討する。Wh 疑問文の語順変化におけるコプト語の影響は独占的なものではなく,エジプト・アラビア語の基本語順がVSO からSVO へ変化する中で,話題化や焦点化という統語規則の面で新たな統語構造が必要になってきた時に,コプト語の統語規則が当該の言語変化を促進させたことを明らかにし,エジプト・アラビア語に起った通時的な統語変化の仮説的段階を再構する。
武家の妖怪退治譚 ――中近世における土蜘蛛退治説話の変容――
本多, 康子 HONDA, Yasuko
源頼光とその家来である四天王が土蜘蛛を退治する説話は、様々な文芸作品として享受され展開していった。土蜘蛛は、古くは記紀神話において朝廷に服属しない一地方勢力としてその存在が語られていたが、中世になり、お伽草子の武家物というジャンルの中で新たに妖怪退治譚として再構築された。この中世における物語文脈の転換を契機として、妖怪としての土蜘蛛退治の「語り」は、テクストの枠を超えて絵画や芸能へと裾野を広げて展開したのである。本稿では、特に中近世にかけての土蜘蛛退治譚の変遷と、それを題材に制作された絵画作品がどのように受容されたかを考察する。清和源氏を出自とする源頼光とその家来である四天王らの妖怪退治譚が、軍記物語に付随する伝承として生成されやがて独立した物語として発展した背景には、中近世にかけて軍記物語の古典化と周辺説話の再編成がなされたことが密接に関連する。とりわけそれらの最たる受容者であった「武家の棟梁」将軍家周辺による「語り」の管理と継承が及ぼした影響について着目し、「武家による妖怪退治譚」に仮託された政治性を読み解きたい。
特殊文庫関係資料の編成記述に関する試論―大学図書館所蔵アーカイブズへのISAD(G)適用―
石井, 悠香
本稿は、一橋大学社会科学古典資料センターの所蔵する「特殊文庫関係資料」という資料群について整理を行い、その実践にもとづきISAD(G)を適用した編成記述を試みるものである。特殊文庫関係資料とは、本学保有の一大コレクションであるメンガー文庫やギールケ文庫の成立にまつわる小規模資料群である。過去に整理された経緯があるが整理方針等は不明瞭であり、残存する資料群は原秩序の部分的崩壊や出所の混在といった特徴を有していた。これらの資料特性に即してISAD(G)を柔軟に適用し、実用面を重視した編成記述のあり方を検証した。実用面の重視とは、資料理解にかかる利便性と正確性の向上を意味する。結果として、構造分析を経て階層性に部分的秩序を反映させ、出所の別を構造上区分することができた。またレベル別記述によりコンテクストを明示し、秩序が希薄な資料群の全容および資料相互の関係性を明らかにできた。つまり、階層構造の人為的な付与が情報の伝達性を高め(利便性の向上)、コンテクスト情報の付与が資料理解の深化を促した(正確性の向上)といえる。最後に、一橋大学附属図書館のアーカイブズ管理に関する背景事情の一部に言及することで、上記資料特性の生じた要因を探り、ISAD(G)記述式の有効性について再考した。
公家物として見る『玉水物語』
井黒, 佳穂子
日本の古典文学に登場する狐のイメージには、中国の影響を受けているものが多く、特に人と狐の婚姻譚は、六朝志怪小説や、唐代伝奇小説『任氏伝』などが知られている。日本では九世紀に成立した仏教説話集『日本霊異記』上巻第二をはじめ、いわゆる「狐女房譚」の系譜として、以降の説話集や御伽草子、謡曲、説経節、歌舞伎などに受け継がれていった。 狐が登場する御伽草子には『木幡狐』、『玉藻草紙』、『狐の草紙』などがあり、いずれも美女に化けた狐が人間と結ばれ、正体が露見しそうになって逃げるという構造は共通する。『玉水物語』も同じく異類物と見なされているが、女房となって姫君に仕えるものの結ばれることはなく、姫君の入内によって恋破れると、最後は姫君に正体を打ち明けて、人間社会から去っており、上述の作品群とは展開を異にする。 一方で、『玉水物語』には、主人公たちが和歌を贈答したり、紅葉合が行われたり、主君のもとを去る時に長歌を添えて文を残すなど、王朝物語的な雰囲気が色濃く見られることから、従来、異類物に分類されてきた『玉水物語』の、公家物的性質に注目し、中世王朝物語や他の公家物とも比較しながら、『玉水物語』の特色について考察していきたい。
日本古典文学作品本文データベースの開発とデータ記述文法について
安永, 尚志 YASUNAGA, Hisashi
日本古典文学作品の校訂本による本文データベースを作成している。本文データベースは全文(フルテキスト)をデータベースとして定義するものである。全文には校訂に伴う各種情報が付加される。また、作品はそれ自体を記述する本文情報に加え、多くの属性情報を持ち、かつ作品特有の構造を持つ。文学研究には、本文とそれに関わる種々の情報が同時に参照出来るデータベースが必要である。作品本文の全文を単にコンピュータに蓄積しただけではあまり役立たない。全文と各種付属情報の総合的なデータベースを校訂本文データベースと言う。即ち、校訂本文データベースでは、データベースを構成する各種実体の記述とそれらの関連が表現できなければならない。研究者が必要とする多様な活用に応え得るデータモデルが必要である。また、システムは実現可能でなければならない。一方、日本語処理可能なパソコン等の普及により、国文学者自らがデータを作成する環境が整い始め、専門領域の本文データ作成が進められてきている。既に相当の蓄積がなされてきている。しかしながら、おおむねシステム、文字コード、外字処理、データの形式や構造等に関しての仕様が研究者個人に依存し,蓄積した資源の流通を意識していない。従って、データ入力の共通基盤の確立と適切な標準化が必要である。これをデータ記述文法または言語と呼んでいる。さらに、データを流通するためには異なったシステム間での通信規則(プロトコル)が必要である。国文学研究資料館はこの様な標準化の一端を担う機関であるので、ここでの本文データベースはデータ流通を前提としたデータベースでなければならない。また、本文データベースは国文学研究を推進するための国文学研究支援システムの中核を成すものと位置づけている(1)~(3)。本稿では国文学研究資料館における本文データベースの概要を述べ、データ記述文法について解説する。
The Pursuit of Interdisciplinarities: A Critique of Cultural Studies
Kobayashi, Masaomi 小林, 正臣
本稿は、これまで人文科学において広範に実践されてきた「文化的研究(Cultural Studies)」の在り方について検証している。自然科学における実証と異なり、人文科学における論証は、なるほど厳密な客観性を要求されない場合が往々にしてある。したがって、ある社会における文化と別の社会における文化に、あるいは一つの社会における複数の文化の相違に個別性と連続性を見出しつつ、それらの問題を文化の問題として論じることには、それなりの学問的価値はあるだろう。しかし、Bill Readingsが指摘するように、個々の集団間の差異性と連続性の問題を「文化」という観点から総括してしまうことには議論の余地がある。なぜなら、それは否定的な意味における還元主義的な論法となる危険性があるからである。一方、社会科学においても還元主義的な論法は存在する。たとえば、新古典派経済学は、社会における人間の活動を利益の追求または最大化という観点のみから説明する傾向がある。かくして本稿は、人文科学(例えば文学)と社会科学(例えば経済学)の学際性を図る際には、それら学際的研究の個々が「特殊(specific)」であるべきであり、学際性を総括的な概念としてではなく、永続的に追求されるべき概念として捉えることを提唱している。
国文学研究資料館蔵田安徳川家旧蔵『手習口伝』について
金子, 馨 KANEKO, Kaoru
国文学研究資料館田藩文庫に所蔵される『世尊寺殿口伝手習』(一五 ― 七一六)を翻刻・紹介する。本書の外題には「世尊寺殿口傳」と記されるが、内容は『手習口伝』の増補版である。享和元年(一八〇一)に橋本経亮が書写した『手習口伝』(一五 ― 七一八)も伝来しており、その内容と比較すると、『世尊寺殿口伝』は『手習口伝』に「潅頂七箇条」などを増補している様子が伺える。冒頭に記される内容により高野大師(空海)による「魚養口伝」なるものが藤原教長の目を経て世尊寺家に伝来し、世尊寺十六代・世尊寺行高が書写した入木道伝書と思しい。朝野魚養の口伝か否かは定かではないが、資料を一瞥すると、藤原教長の口伝『才葉抄』に含まれる項目が散見される。いずれにしても、世尊寺流が断絶する頃の伝授の様子が垣間見られる資料であり、世尊寺家や持明院家の伝授内容の享受の様相を考察する上で看過できない資料である。「日本古典籍総合目録データベース」を一瞥するかぎり、田藩文庫以外には所蔵が確認できず、現状において貴重な資料といえる。これまで当該資料に関する言及、もしくは研究報告されたものはないため、今後の書論研究に資すると考え、ここに田安徳川家旧蔵本の全文を翻刻・紹介したい。『手習口伝』(一五 ― 七一八)等との異同も示す。
<共同研究報告>「日記」及び「日記文学」概念をめぐる覚書
鈴木, 貞美
「日記」および「日記文学」の概念について、専門家諸姉氏の参考に供するために若干の考察を試みる。第一に、今日のわれわれの考える「日記」の概念は、前近代の中国語には見られず、今日の中国で用いられている「日記」は、二〇世紀に日本の教科書類からひろがったものとされている。中国古代においては、皇帝に差し出す上奏文に対して、いわば私人が、日々、記し、また文章を収集編集する作業がすべて「日記」である。すなわち、そのなかで、ジャンルの区別はなかった。日本古代にも、この用法が伝わっていた可能性は否定できない。業務の記録や備忘録の類とはちがう、われわれが今日、「日記」と考える内面の記録をかねた形態は、日本の二〇世紀前期に入って、イギリスの社会運動家、ウィリアム・モリスの「生活の芸術化、芸術の生活化」というスローガンのもとに、庶民や児童に日記を進めることが行われ、学校教育にも取り入れられて盛んになったものと考えてよい。 また、「私小説」「心境小説」論議が盛んになったことを背景に、古典のカテゴリーとして「日記文学」という言葉を初めて用いたのは、池田亀鑑「自照文学の歴史的展開」(『国文教育』一九二六年一一月号)、書名として使用されたのは、池田亀鑑『宮廷女流日記文学』(一九二八)であろう。それらで「日記文学」の特徴として「作者の心境の漂白」があげられていることが、すでに明らかにされている。
折口信夫のフィールド・ワーク : 「古典」と「生活の古典」を結ぶもの
上野, 誠 Ueno, Makoto
古典学統合データベース
芭蕉俳論における物
李, 栄九
日本の古典詩歌では、伝統的に「心」と「詞」を最も基本的な要素としていた。 ところが芭蕉の教えとして記載されている蕉門の俳論には、まことの感動は「もの」との一体一如の境地で生じるという思考が非常に強く打ち出されている。即ち、芭蕉は芸道の心得の上では、戦陣の詩歌の道を歩みながらも、芸術的感動の起生する根源を詩人の主情や創造性においているというよりは、むしろ「もの」の側においていると解釈できるのである。 芭蕉によれば、句作は私意による構成的、技巧的なものではなく、「松の事は松に習い」、「物の見えたる光」によって、おのずと「成る」ものであった。 物は自得の本性をもつ。珍物新詞を求めやすい私意の彼方に、自己本来性と同時に自然の理法に従って存在する、即ち、自己固有の本来性と、天地自然の理法とのかかわりという両義性をもっている。 「もの」は飛花落葉として、常に変化の途上にある。そしてその変化は造化の原理に基づいている。転変の途上において「時として」、瞬間的に捉え、言葉で表わすのが俳諧芸術のまことである。故に「乾坤の変は風雅の種」である。 「もの」は対象化する機能をもつ主観=私意では捉えられない。「もの」の本相を観入する直感的方法によって、顕わになる。 以上、蕉門の俳論書に断片的にみられる芭蕉の「もの」についての思考を、芸術論的な太場から解明を試みたのである。
菱川師宣絵づくし考
鈴木, 淳 SUZUKI, Jun
江戸時代前期、元禄期頃までの「絵本」の代表的存在である、いわゆる「師宣絵本」は、いかなる中身をもって世に現れたのか。もっとも、師宣絵本は「絵本」の語を書名に冠しておらず、その代わりに多く「絵づくし」の語を用いていた。すなわち、板元の鱗形屋三左衛門が、延宝期後半以降、出版した師宣絵本は、二二点ほど数えることができるが、そのうち「絵づくし」という接尾辞を伴った師宣絵本が、延宝八年五月の『大和侍農絵づくし』以下、計一〇点ほどある。それらの師宣絵本の序文や刊語では、「絵づくし」を「絵本づくし」と言い替えている。「絵づくし」も、「絵本づくし」も、絵の手本を集めたもの、すなわち「絵手本」という意味である。鱗形屋が「絵づくし」を最初に題名に付けたのは、『大和侍農絵づくし』『大和絵づくし』『大和武者絵』(むしや絵づくし)の三点である。このうち『大和武者絵』(むしや絵づくし)の闇計なる人物の序文には、師宣は大和絵の風俗について、土佐、狩野、長谷川家の筆意に基づきながら、自らの画技によって工夫を加えて一流を極め、浮世絵師の名を得たとある。つまり、鱗形屋は、師宣の工夫が加わった、大和絵の「絵手本」の普及を目論んだのである。師宣は『大和絵づくし』において、謡曲、『伊勢物語』『源氏物語』『平家物語』に取材した古典風の絵や、絵巻に拠っていたと推定される絵を集めているが、とくに謡曲関連の絵に、師宣の工夫が認められる。
日本古典資料調査記録データベース
日本古典文学大系本文データベース
古典の未来学 : Projecting Classicism
捨身する古典性
荒木, 浩
<エッセイ>古典の未来
李, 愛淑
賀茂季鷹と古典の「知」
古典籍を標本する
山本, 和明 Yamamoto, Kazuaki
古典対照語い表 さ~そ
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
古典対照語い表 お
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
古典対照語い表 か~こ
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
南インド古典音楽におけるリズム的身体
Terada, Yoshitaka
「老が恋」 蕪村の句と古典
芳賀, 徹
古典対照語い表 は~ほ
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
古典対照語い表 や~を
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
古典対照語い表 な~の
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
古典対照語い表 た~と
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
古典対照語い表 統計表
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
古典対照語い表 ま~も
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
アイヌの遺伝的起源
尾本, 惠市
本論文は、北海道のアイヌ集団の起源に関する人類学的研究の現況を、とくに最近の分子人類学の発展という見地から検討するもので、次の3章から成る。 (一)古典的人種分類への疑問、(二)日本人起源論、(三)アイヌの遺伝的起源。まず、第一章で筆者は、人種という概念を現代生物学の見地より検討し、それがもはや科学的に有効ではなく、人種分類は無意味であることを示す。第二章では、明治時代以降の様々な日本人起源論を概観し、埴原一雄の「二重構造説」が現在の出発点としてもっとも適当であることを確認する。筆者は、便宜上この仮説を次の二部分に分けて検証しようとしている。第一の部分は、後期旧石器時代および縄紋時代の集団(仮に原日本人と呼ばれる)と、弥生時代以後の渡来系の集団との二重構造が存在するという点、また、第二の部分は、原日本人が東南アジア起源であるという点についてのものである。筆者の行った分子人類学的研究の結果では、第一の仮説は支持されるが、第二の仮説は支持できない。また、アイヌと琉球人との類縁性が遺伝学的に示唆された。第三章で筆者は、混血の問題を考慮しても、アイヌと東南アジアの集団との間の類縁性が低いという事実に基づき、アイヌの起源に関する一つの作業仮説を提起している。それは、アイヌ集団が上洞人を含む東北アジアの後期旧石器時代人の集団に由来するというものである。また、分子人類学の手法は起源や系統の研究には有効であるが、個人や集団の形態や生活を復元するために、人骨資料がないときには先史考古学の資料を用いる学際的な研究が必要であると述べられている。
8人の女たち 古典ネワール語の抒情詩
北田, 信
所蔵機関との連携による日本古典籍デジタル画像データベース
表現主義と気韻生動 : 北清事変から大正末年に至る橋本関雪の軌跡と京都支那学の周辺
稲賀, 繁美
20世紀前半の日本の近代美術史は、同時代の世界美術史の枠組みのなかで再考される必要がある。この課題に対処するうえで、橋本関雪(1883~1945)の事例は見過ごすことができない。関雪は明治末年から大正時代にかけ、文部省美術展覧会、ついで帝国美術展覧会で続けざまに最高賞を獲得したが、その画題は中国古典から題材を取りつつも、日本画の技法を駆使しており、さらに、清朝皇帝に仕えた郎世寧の画風を取り込むばかりか、洋行に前後して、同時代の西欧の最新流行にも目配せしていた。加えて筆者の仮説によれば、関雪は旧石器時代に遡る原初の美術やペルシア細密画をも自分の画業に取り込もうとしたことが推測される。こうした視点は先行研究からは見落とされてきた。 また橋本関雪は、辛亥革命から第一次世界大戦終了の時期を跨いで、従来日本では軽視されてきた明末清初の文人・画人を日本で再評価する機運にも働きかけ、新南画の隆盛に先鞭を着けるとともに、東洋画の美学的優位を主張することから、最新の表現主義の潮流に棹さしつつも、独自の東洋主義を唱道した。本稿は、こうした関雪の東洋画復権を目指す取り組みを、同時代の思想潮流のなか、とりわけ京都支那学の発展との関係において問い直す。 日露戦争から両大戦間期に至る関雪の画業と旺盛な執筆活動を再検討することから、本稿は中・日・欧の活発な交渉のなかに当時の画壇の一潮流を位置づけ直し、ひとり関雪のみならず、当時の東洋画再興の機運を世界史的な視野で見直すことを目的とする。なお本稿は昨年度、兵庫県立美術館で開催された大規模な回顧展での記念講演会、および昨年暮れのベルリン自由大学およびダーレム博物館での招聘講演に基づくものであることを付記する。
近代日本における<修養>概念の成立
王, 成
本稿は漱石文学の読者層を解明するために、当時流行していた<修養>思想をめぐる研究の一環である。先行の漱石研究では、<修養>を無視したために、多くの問題が解明されていないのではなかろうかという疑問から始まって、近代における<修養>という言葉がいつ、どのように現れたか、<修養>という概念がいかに解釈されたか、<修養>をめぐる近代日本の言説空間がどのように形成されたか、という課題について、解明しようとしたものである。 本稿では、明治から大正にかけては、教養という言葉より<修養>という言葉のほうがよく使われていたことを明らかにした。中村正直の『西国立志編』(Self-Help)から始まって、自分自身を修練する「自修」的な教育という理念が浸透していった。<修養>は、翻訳語として現れる以前には、漢語の熟語としてはあまり使われていなかった。したがって、<修養>は、古典的な儒教道徳の意味を担った言葉ではなく、近代的な用語として誕生したのである。 伝統的な道徳が崩壊し、新しい道徳の建設のために、個人を中心とした<修養)が、伝統と近代、東洋と西洋とが衝突する時代に、広まっていった。東西の学問を身につけた知識人が、<修養>を近代的な新しい倫理の理念として取り入れたのである。 <修養>の流行に伴って、修養運動が広まり、ベストセラーになった修養書が修養理念を流行させ、定着させた。本稿ではさらに、<修養>の時代に、<修養>提唱者として活躍した人物やその著作を分析し、また修養団体の活動のひろがりの実態を調査することによって、<修養>の広範な広がりを確認した。
日本古代『論語義疏』受容史初探
髙田, 宗平 Takada, Sohei
日本古代の『論語』注釈書の受容について、日本史学では『論語集解』のそれに関しては研究が見られるものの、『論語義疏』については等閑に付されてきた。このことに鑑み、『論語義疏』を引用する日本古代典籍の性格、成立時期、撰者周辺の人的関係を追究すること、古代の蔵書目録から『論語義疏』を捜索すること、古代の古記録から『論語義疏』受容の事跡を渉猟すること、等から、日本古代の『論語義疏』受容の諸相とその変遷を検討した。『論語義疏』は、天平一〇年(七三八)頃には既に、日本に伝来しており、奈良・平安時代を通じて、親王・公卿・中下級貴族・官人・釈家に受容され、浸透していた。八~九世紀では「古記」・「釈」・「讃」の撰者である明法官人によって律令解釈に、一〇世紀末~一一世紀初頭に於いては皇胤である具平親王が『止観輔行伝弘決』所引外典の講究のために、更に、一一世紀前半では明法博士惟宗允亮が朝儀・吏務の先例を明らかにするために、右大臣藤原実資が有職故実の理解のために、それぞれ『論語義疏』を利用していた。また、釈家では、九世紀で空海、一〇世紀で法相宗興福寺の中算が『論語義疏』を利用していたが、一一世紀後半に至ると、仏典を始め多様な日本古典籍に『論語義疏』が利用された。そして、一二世紀前半では、左大臣藤原頼長が幾多の漢籍を講読したが、その一つとして『論語義疏』を講読していた。就中、具平親王の周辺や藤原頼長の周辺に、文才に長けた公卿並びに中下級の貴族や官人である文人・学者が集まり、両者はともにそれぞれの時期の論壇の中心となって、漢籍・漢学の講究・談義が行われた。そこに於いて、講読されていたものの一つが『論語義疏』である。
18世紀ヨーロッパ古典派音楽における演奏の装飾
大宮, 眞琴
古典ユカテクマヤ語の逆受動についての一考察
Yasugi, Yoshiho
ベトナムの習慣と信仰を古典文学に探る
グエン, ティ オワイン
特別講演 日本古典文学の翻訳について
Keene, Donald KEENE, Donald
古典琉球語の音声合成
高良, 富夫 大石, 節 Takara, Tomio Ooishi, Takashi
品種分化をめぐって : 古典園芸植物のドメスティケーション
仁田坂, 英二
从《碧岩录》看禅对日本古典园林的直接影响
許, 金生
<エッセイ>日文研から古典籍の世界を旅する
李, 杰玲
【講義9】近代本の残りかた
2023年度 古典籍講習会
古典対照語い表 (トビラ)、あ~え
宮島, 達夫 MIYAJIMA, TATSUO
【講義1】はじめての古典籍 付)書誌用語概説
神作, 研一
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
機関
発行年
分野
アイテムタイプ
機関
発行年
分野
アイテムタイプ