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岩崎, 保道 Iwasaki, Yasumichi
本稿は、琉球大学における教員業績評価の改善の検討結果との比較検討を次の展開により行うものである。第一に、本学における教員業績評価の取り組みを紹介する。第二に、国立大学に対する教員業績評価に関するアンケート調査報告を行う。第三に、教員業績評価に関する訪問調査結果を報告する。第四に、アンケート調査結果と本学との比較検討を行う。第五に、本学の教員業績評価の改善方策を示す。
金城, かおり Kinjo, Kaori
本研究では、琉球大学で勉学・研究した元留学生及び現在在籍中の留学生を対象に実施したアンケート調査の結果を基に、大学における留学生の学習環境や支援活動に関する現状と問題点を明らかにすることを目的としている。アンケートでは、本学での研究や留学生活に対する満足度、留学中の問題点や相談相手、教職員の対応や大学による留学生支援についての満足度、さらに留学の効果等について調査・分析し、琉球大学における留学生支援体制の今後の課題について考察する。
尾崎, 喜光
当研究室の任務と,これまでおこなってきた敬語行動関係の調査をまず紹介する。その後で,これまでの敬語行動調査の展開として最近おこなった「学校の中の敬語行動調査」について,調査の方法・観点・データの処理方法を概説し,面接調査の文字化のサンプルとアンケート調査の集計結果の一部を示し,そこからわかることを指摘する。
伊藤, 雅光 ITŌ, Masamitsu
このアンケート調査は1991年現在における海外のテキスト・アーカイヴの管理・運営状況を明らかにするとともに,その問題点を抽出して,今後のテキスト・アーカイヴ開設の可能性を討議する際の資料を提供する目的で行われた。主な問題点としては次の諸点が浮び上がってきた。
山田, 恭子 盛山, 泰秀 鹿内, 健志 廣瀬, 等
本稿では,高校生が進路を選択する際に,誰に相談しているのかを明らかにし,その結果と沖縄県,琉球大学の現状を踏まえて実施した入試広報イベントの報告を行なう。まず,沖縄県内の高校生に実施したアンケート調査により,主な相談相手は保護者であることが明らかになった。さらに高等学校へ聞き取り調査を実施し,イベントの内容を検討した。これらの結果を踏まえて,保護者・高等学校教職員向けの入試広報イベントを全学部と学生部協力のもと実施した。実施後には参加者のアンケート,参加した高等学校の教員からの聞き取りをし,課題を明らかにした。その課題に対応して次年度以降も同様の入試広報イベントを実施する予定である。
神田, 雅貴 Kanda, Masaki
(目的)子どもの小学校入学を控える保護者を対象とした家庭教育講座の実践を、参加者のアンケートなどから、その成果と課題を明らかにし、今後の講座開催方法を考察する。(調査方法)6校で実施された「親の学習」の参加者にアンケートを実施し、156人から回答を得た。さらに、筆者及び生涯学習課職員が講座に立ち会い、参与観察を行った。(調査結果と考察)アンケートの結果から、学習目標である「小学校入学半年前という時期をふまえ、保護者が行うべきしつけや関わりについて学ぶこと」については、効果が認められた。さらに、約半数の参加者が小学校入学後の心配や不安を感じており、具体的には、子ども同士、もしくは保護者同士の人間関係であった。そのことをふまえ、人間関係構築を支援できるような講座形態・内容を実施する必要性が示唆された。
島村, 直己 SHIMAMURA, Naomi
本稿は,児童の漢字学習の仕方に関して行ったアンケート調査の報告である。児童が漢字を使用する(読んだり書いたりする)機会そのものが,漢字を学習する(または学習し直す)重要な機会でもあるという考えから,児童の無自覚的な漢字の学習行動を対象としたところに特色がある。本稿の構成は,次の通りである。
Shibata, Miki 柴田, 美紀
日本全土の約0.6%にすぎない沖縄県に在日米軍基地の75%が集中している。本研究では、米軍基地の教育的利用の可能性について沖縄県の英語教員にアンケート調査とインタビューを行った。アンケート調査に参加したのは、県内の中学校、高等学校、大学で英語を担当する日本人教員210名、うち22名にインタビューをした。本研究は文部科学省の科学研究費の助成を受けて行われた研究の一部で、実施したアンケートには13項目あったが、ここではアイデンティティーに関わる7項目の分析結果を考察する。アンケート結果は、日本人英語教員が持つ複数のアイデンティティーが基地の教育的利用の可能性に対し複雑に関与していることを示唆している。生徒の英語力上達を目指す英語教員としてその可能性を否定しない一方で、「教員」という公的な役割と沖縄社会を構成する県民として英語教育の目的であっても米軍基地に公に働きかることや自らが交流を働きかけることに消極的であり、基地はやはり政治的・社会的な問題であり教育とは切り離すべきであるという態度が明らかになった。また、英語教員のインタビュー回答から、県内にある米軍基地と沖縄社会は、フェンスという物理的な隔たりがあるだけでなく、沖縄県民にはその存在は心理的にも遠く、基地の教育的利用の可能性は公には皆無に近いと考えられる。
下地, 敏洋 Shimoji, Toshihiro
本稿は、平成22年度教員免許更新講習において、著者が担当した「教育の最新事情」を受識した沖縄県の教職員に対してアンケート調査を実施し、その結果分析に基づき、教職員の高齢者に対する理解及び高齢期に対する意識の特徴を検討することを目的とする。
福本, 晃造 小林, 理気 宮国, 泰史 杉尾, 幸司
幼児(5歳児)を対象とした幼稚園での科学実験教室を実施し,授業前後でのアンケートを取ることで科学実験教室前後での幼児の意識や行動の変化について調査を行った。調査の結果,授業前に「電気」や「宝石の作り方」などまだ幼児が具体的なイメージを持っていないことがらについて質問した場合,幼児は他者と同じ回答を選ぶ傾向が強く,一つの選択解に集中する傾向があることが示された。一方で、具体的なイメージを持つことができた授業後には,他者の回答よりも自分が授業で取得した具体的イメージに基づいて回答する幼児が増え,選択解は授業前アンケートより分散する傾向が見られた。この結果は幼児期において様々な「体験」をすることが,幼児自身が自分の意見を述べることに有益な影響を与えている可能性を示す。
中山, 睦子 丹野, 清彦 Nakayama, Mutsuko Tannno, Kiyohiko
本稿の目的は,基礎的・汎用的能力のアンケートを通して,沖縄の公立中学校のキャリア教育の課題を検討することである。アンケートの調査は,宮古島市,那覇市,沖縄市の3地区,公立中学校で行った。3地区それぞれ規模や地域の特色の違いもあるが,共通するプラスの傾向と課題が浮き彫りとなった。プラスの傾向として人間関係形成・社会形成能力が挙げられる。一方,ストレスマネジメントや忍耐力と言った自己理解・自己管理能力は低い傾向を示し課題であると言える。那覇市の1校は,6月と12月の2回実施することで変容の分析を試みたが,さほど変化は見られなかった。それは何を意味するのか。教育的な意図の必要性とPDCAサイクルで実践するキャリア教育の重要性を論じた。
本村, 真 Motomura, Makoto
沖縄県内の児童養護施設における被虐待児童へのケア技術の実態に関する県内の直接処遇職員全員を対象にしたアンケート調査及び、同職員を対象にした研修会、そしてそれら研修会実施後の研修内容に関するアンケート調査を実施した。これらの分析から、被虐待児童へのケア技術として基礎となる職員自身が冷静さを保つ技術や、コミュニケーション技術等に関して、沖縄県内の現状及び課題を明らかにしていく。そして、その課題を克服し、今後更に被虐待児童へのケアを向上させるために有効であると考えられる理論や具体的ケア技術を特定していく。\nこれらを分析していく上で、本研究ではトラウマ記憶論理を中心に据えた。被虐待児童及び職員自身のトラウマ記憶が日常的なケアに及ぼす悪影響を軽減し、信頼関係の形成と問題行動への効果的な援助を行うために必要な知識・技術としてどのようなものが必要なのかを考えていく。
緒方, 茂樹 Ogata, Shigeki
本研究では、宮古圏域における公立学校を対象とし、通常の学級に在籍すると思われる特別な支援を必要とする子どもや特殊学級の実態、あるいは教員の抱えている困難や悩み、支援ニーズを把握することを目的とした悉皆調査を実施した。また調査結果とあわせて、地域ニーズを踏まえた今後の特別支援教育における養護学校のセンター的役割についてもまた考察を加えた。アンケートの回収については宮古養護学校との共同研究として進めたことから、全体で7割を上回る高い回収率を得ることができた。調査の結果、特別な支援が必要と思われる子どもが学級にいると回答した学級担任は、小学校では約26.83%、中学校では25.00%、幼稚園では5.56%、全体では24.41%となっていた。またその人数は対象人数5445人中66人で、その割合は1.21%であった。一方、養護学校に期待する機能として「情報提供機能」が最も多く、次いで「教育相談機能」、「コンサルテーション機能」となっていた。今回のアンケートで得られた結果は、今後宮古養護学校が地域のニーズを踏まえた特別支援教育センター校としての役割をさらに充実させるための基礎的資料となるものと考えている。
比嘉, 俊 Higa, Takashi
本研究は,持続社会に向けた市民育成のために外来生物を教材化し,その実践を生徒アンケートから考察した報告である。外来生物を教材化するにあたって,外来魚と在来魚の混合飼育,地域フィールドにおける外来生物の確認調査を行った。これらの調査結果をまとめ,外来生物に関する教材を作成し,試行授業を行った。授業後の生徒のアンケートから,生徒は外来生物の知識が身についたこと,外来生物の授業を肯定的に評価していることが確認できた。また,外来生物への対応策として生徒は,個人でできることと社会でやることの両面から対応策を提案していた。対応策についてはよく行われいる殺処分を良しとせず,外来生物の立場になって考え,生き物の命を大切にする生徒コメントもみられた。外来生物を通して市民として今の環境をどのように保全するかについての話し合いを生徒は行っていた。外来生物を教材とした理科授業実践はまだ少なく,今後の実践の蓄積が期待される。
名護, 麻美 タン, セリーナ 當間, 千夏 東矢, 光代
この事例報告では、2021年3月に実施した世界展開力強化事業のオンライン型短期研修プログラム(「太平洋島嶼地域特定課題プログラム」)の概要を紹介するとともに、プログラムの自己点検・評価をふまえた質保証を伴う教育効果を分析し、効果的なオンライン型研修プログラムを構築するための取り組みの整理を試みる。教育効果に関する分析は、BEVI(Beliefs, Events, and Values Intentory)によるアセスメントと学生への事後アンケート調査を用いた。分析結果から、海外連携大学の学生、日本人学生ともに社会的開放性が元々高い参加者の集団で、研修後はさらに環境への関心や異文化理解に通ずる国際志向性が向上したということがわかった。またアンケートの質的回答からも本プログラムに対する参加者の満足度が高かったことが伺える。本研修の取り組みが今後オンライン型研修プログラムを実施する際に参考となりえる。
嘉数, 朝子 上地, 亜矢子 新城, 直美 永山, 加奈子 Kakazu, Tomoko Ueti, Ayako Sinjyo, Naomi Nagayama, Kanako
那覇市立Y幼稚園で行われた子育て支援晦業、未就園児の親子登園を対象として、アンケートや参与観察および参加者へのインタビューなどを行い、保護者のニーズを明らかにし、沖縄県の公立幼稚園における子育て支援のあり方を考察した。子育てをする際に必要な支援についてのアンケート調査からは、母親のニーズは子どものための場、親のための場、相談・情報、金銭の4つに分類された。未就園児親子登園についての8ヶ月におよぶ参与観察とインタビューの結果から、Y園の「ゆるやかな集団で制約が少なく自由」な特性が明らかになった。幼稚園における子育て支援の4課題;(1)教諭の専門性、(2)物理的環境整備, (3)行政との協力体制、(4)子育て支援の効果(+-の両))が検封された。
藤原, 孝章
開催時にとった毎回の参加者アンケートを,2010年から2014年までの5 年間,354人分の文章記述を対象に分析した。分析の視点は,参加者の所属,参加回数,ワークショップについての肯定的,否定的ないし改善意見,獲得された学び,学校や授業への転移の可能性である。最後に,評価の視点や転移の可能性をみる項目を入れた新しいアンケートの提案を行なった。
村末, 勇介 宮国, 泰史 丹野, 清彦 杉尾, 幸司
沖縄県の小学校教師を対象とするアンケートによる意識調査を実施し,教員生活に関する意識の実態を探った。調査の結果,学校外における「相談の場」の有無により,職場環境及び意欲,業務負担感・ストレス感,求める支援形態において,また「教職経験年数」の違いにより,児童・生徒指導上の悩み,情緒不安定性において,統計的に有意な差がみられた。また,教職年数4~6年での情緒的支援を求める割合が高く,11~20年では情緒不安定性がピークとなるなど,特定のグループにおいて,特徴的な傾向が把握された。実効性のある教員研修プログラムの具体的策定のためには,こうした諸条件を踏まえる必要性が明らかになった。
安藤, 由美 Ando, Yoshimi
本稿では沖縄の都市家族を対象に、家族規範意識の構造と要因についての分析を行う。まず、沖縄の家族意識への接近方法について検討した後、家族意識のアンケート調査結果の集計分析を行い、これを川崎市ならびに沖縄県北中城村を事例とした先行研究と比較する。つづいて、家族意識の構造と要因を多変量解析により析出する。結論として、父系直系制家族規範意識は、同居・扶養および位牌継承の側面にみられることが明らかにされる。
西原, 鈴子 NISHIHARA, Suzuko
文はその論理的命題内容のほかに,「言外」の意味を多く含んでいる。それらの中から話者の価値判断を選び,モダリティーの概念の中でそれを把握し,慣用的含意として語の意味素性,法演算子,および表現意図として抽出,分類することを試みた。さらにそれらの諸要因が,異言語間伝達にどの程度耐えるかを探る目的の一環として,日→英翻訳の可能性についてアンケート調査を行なった。本論はその報告である。
吉永, 安俊 酒井, 一人 與名嶺, 真徳 Yoshinaga, Anshun SAkai, Kazuhito Yonamine, Shintoku
1. 沖縄の3箇所の下水浄化センターの排水は, 重金属等の有害物質の含有量の観点では, 潅漑用水として十分利用可能な状況にある。しかし, ウイルスなどの病原体の調査が行われておらず, 潅漑利用にあたっては十分な調査が必要である。2. 処理水の潅漑使用に対する意識は年齢, 性, 地域, 職業別に異なる。たとえば, 高齢者より若年者の方が, また, 男性より女性が処理水利用には厳しい意識をもっている。職業別では食品販売業が最も寛容で, 飲食業関係者が最も厳しい。また, 水資源の乏しい地域ほど処理水使用には比較的肯定的である。3. 農業者は使用方法を問わなければ, 80%以上が, 処理水の潅漑利用に肯定的であり, 水源水質をそれほど問題にしていない。しかし, 消費者同様, 女性が男性より処理水利用には厳しい意識がある。4. 処理水を潅漑利用することに対する否定的な感情は, 処理水は汚いものという先入観によるものが大きい。なお, 本調査は沖縄開発庁農林水産部土地改良課の「農村環境保全調査報告書・再利用水の農業利用可能性に関する調査」の一環として行われたものであり, アンケート調査は沖縄県農林水産部が担当した。関係者には感謝の意を表する。
望月, 道浩 Mochizuki, Michihiro
2009年度から2011年度にかけて、琉球大学の教職科目(「教育課程」科目)を履修する学生に対し、各自の小学校・中学校・高等学校時代を振り返ってもらいながら学校図書館の利活用経験に関するアンケート調査を実施した。調査対象者は390名(回答者数262名)である。学生の学校図書館の授業での利活用経験の実態は、「図書館の利用の仕方」、「本の並び方(分類)」、「本の探し方(目録)」、「百科事典などの使い方(索引)」については、概ね学習経験があるものの、「レポートの書き方」、「引用の仕方」については、8割以上学習経験がないと回答した。教職課程を履修している学生にとって、高等学校段階までの学校図書館利活用経験がない場合、教員として最低限必要と思われる図書館機能への理解度についても否定的な回答をしていることが明らかとなった。
山元, 淑乃 金城, 尚美 Yamamoto, Yoshino Kinjo, Naomi
本研究は、ハワイ在住の沖縄県系人に焦点を当て、日本語学習意欲と学習目的、留学に対する意識、沖縄文化に対する関心度を調査することにより、沖縄県系人にとっての日本語学習ニーズ、継承言語または外国語としての日本語学習の位置づけ、沖縄文化に対する興味と留学希望との係わりを明らかにし、沖縄県系人の沖縄留学促進のための課題を探った。アンケート調査により、世代の推移に伴い日本語運用能力の低下がみられる反面、日本語学習や沖縄留学に対する意欲は若い世代の方が高くなる傾向があるという結果が得られるとともに、今後の沖縄留学促進に向けた課題が浮き彫りになった。
山野, 善正 平松, 修一 玉城, 一 酒井, 映子 YAMANO, Yoshimasa HIRAMATU, Shuichi TAMAKI, Hajime SAKAI, Eiko
苦味、渋味食品の健康への影響について、女子大生に対し実施したアンケート調査の中で、ゴーヤについてはBMIやその他の健康指標に良い結果を与えている可能性があることが示唆された。味覚センサーで測定したゴーヤの部位の味は明確に異なった。また、品種、系統によっても各種の味は異なり、それぞれの調理適性に対し有用な示唆が得られた。本研究の一部は、平成23年度南方資源利用技術研究会研究助成金により実施した。
中村, 真也 森, 麻里子 宜保, 清一 Nakamura, Shinya Mori, Mariko Gibo, Seiichi
糸満市字与座を対象に農村公園整備にむけての住民の意識を把握するためにアンケート調査を実施し, 以下の結果を得た。与座地区では, 湧水の「与座ガー」および「与座馬場」は地域資源として高く評価されている。「与座ガー」は親水空間として, 「与座馬場」は健康空間および自然と親しむ場としての整備が期待されており, これらの整備は, 利用しやすいように散策道も併せ計画されることが望まれる。与座区では村づくりに対する住民の参画意欲が高いので, 農村公園のような施設の整備後の維持・管理に期待が持てる。
宜保, 清一 佐々倉, 玲於 中村, 真也 Gibo, Seiichi Sasakura, Reo Nakamura, Shinya
整備事業の計画・実施に伴う波及効果により, 地域住民や市町村職員の意識の高揚などを含めた地域づくりが期待できる。現状の住民参加は行政主導の傾向が強く, 地域住民の形式的な参加に留まっているが, 市町村職員は住民参加や地域住民の主体的な参加の必要性を認識している。整備事業に伴う波及効果, 住民参加の必要性, 整備事業における市町村職員の役割および重要性についての職員の認識には差がある。今後, 整備事業を計画・実施していく上で, 市町村職員は, 自身が持つ役割の重要性を自覚し, 整備事業への取り組み姿勢に優劣が生じないように意識を高めていく必要がある。最後に, この研究を進めるに当たり, ヒアリング調査, アンケート調査に協力して頂いた市町村職員, 調査票作成に助言を下さった琉球大学生涯学習教育研究センターの大膳司教授および金城志保氏をはじめとする農学部農村農地整備及び防災学研究室の皆様に謝意を表する。
葦原, 恭子 Ashihara, Kyoko
琉球大学では,独自に導入したURGCC というカリキュラムの学習教育目標の達成を目指し,外国人留学生が対象の生のニュース番組を題材とした聴解や口頭発表などの教室活動を実施する授業が提供されている。本稿は,このような授業の教室活動の一環として実施された「ニュース発表」を考察対象とする。まず,先行研究とURGCC から見た「ニュース発表」について述べ,次いで,活動に参加した学習者に対するアンケート調査の結果を分析した。その結果,本活動は,特に「自律性」「国際性」「コミュニケーション・スキル」を高める可能性があることが明らかとなった。
吉田, 浩之 Yoshida, Hiroyuki
児童生徒の生命・身体の安全を脅かす重大ないじめ事件が発生している。いじめは、緊急の教育課題であると同時に、社会問題化している。社会から注目される事件が発生する度にいじめ対策が強く求められ、文部科学省や自治体では対策が講じられている。本論では、大津市のいじめ事件を契機として動きがみられた文部科学省と自治体によるいじめ対策を取り上げるとともに、毎年文部科学省が実施するいじめ件数調査が実態を反映していない問題点を指摘しながら、今後のいじめの把握と解消にむけた方向性を示した。また、学校現場におけるいじめの把握にむけた課題を探るために、教師に対して著者自作のアンケート調査を行った。その結果、中学校に比べて小学校の教員が、いじめ件数の公表をすることによって教育活動に影響があると感じていることが示唆された。
Shibata, Miki 柴田, 美紀
本研究は、プロセス・ライティングによる英作文の授業で日本人英語学習者の英作文に対する意識がどのように変化するのかを調査した。プロセス・ライティングでは、最終的なドラフトに至るまでの過程を重視し、客観的に自分のドラフトを評価し推敲していく。本研究では、2年次の英作文の授業を履修した大学生11人を対象にアンケートを実施し、分析した。結果は、プロセス・ライティングの指導を通し作文に関わるプロセス及びステップを理解することはできたが、客観的に自分のドラフトを推敲していくことにはかなりの困難が見られた。また、学習者は、英作文を推敲するため英作文の教員に具体的な指示を求めていることもわかった。この結果は、日本人学生がこれまで受けてきた最終原稿を評価の対象とする英作文指導とプロセス・ライティングとの間にギャップがあることを示唆している。アンケートを回答した学習者は、これまで中学校・高校の英語の授業では作文においても文法的な正確さが重視され、自分の意見を英語で表現する機会はほとんどなかった。つまり、プロセス・ライティングで必要とされるクリティカル・シンキング(批判的思考)が教育現場において強調されることがなく、「自分のドラフトを客観的に見る」とはどういうことかに対する理解の欠如が、プロセス・ライティングが日本の英作文指導ではうまく機能しない理由として考えられる。
新田, 保秀 仲間, 正浩 沖田, 憲生 Arata, Yasuhide Nakama, Masahiro
本学部における小学校教員養成課程をとりまく情報教育環境を知る目的で、小学課程学生を対象にアンケート調査を行った。その結果、学生はコンピュータに対する関心は非常に高く、教育、趣味等の広い分野において、それを活用したいと思っているが、実際の情報関連科目の履修状況はきわめて低いことが明らかになった。そのギャップを埋め合わせ情報教育の推進を計るためには、教育学部において小学課程の学生を対象に、コンピュータの初歩的利用法、CAIソフトの利用法及び作成、マルチメディアの教育への活用等、学生の要求に沿うような、あるいは興味をそそる様な、魅力ある情報関連科目のクラスを開設する必要があろう。
波名城, 翔 田中, 将太
本稿では,市町村社会福祉協議会(以下,社協)が行うフードバンク等における社協の機能や役割への示唆を得ることを目的に,沖縄県内の社協を対象に①アンケート調査,②本島と離島への実施調査を行った。回答があった35 社協(回答率は85.4%)のうち,24 社協がフードバンク活動を実施し,人口規模が小さい社協では未実施であった。実施社協の活動は生活困窮者への個別支援が主目的で,一般的なフードバンク団体が掲げる食品ロス改善とは異なるほか,人手や保管場所の不足が共通課題だった。社協のフードバンクは,財源や食料集め,提供など多くの段階で住民や企業,ボランティアなどを巻き込んだ地域支援の推進,支援機関や支援者と連携した見守り体制づくりなど個別支援の強化という機能が期待できるが,人材や管理について課題があるため,「受け入れ」「仕分け」「分配」における調整の役割を担い,地域の関係機関と連携することで細やかな支援につながる可能性があると考えられた。
岡本, 沙紀 落合, 哉人 OKAMOTO, Saki OCHIAI, Kanato
絵文字は,1999年ドコモ「iモード」サービス開始以降日本で普及し,GメールやiPhoneが日本参入しUnicodeに登録されたことから世界中に広まった。以来,絵文字は単なる感情や挿絵を付加する記号の枠を超え,語用論的な研究の対象になっている。しかしながら,これまでの絵文字の用法に関する調査は,小規模なものや,自然言語処理的な手法のものが多かった。本研究では絵文字に馴染み深いと思われる15~40歳を対象に,1680個の絵文字の用法について,「体・用・相のうちどれを表すのに使うことができるか」を複数選択可のアンケートで調査した。その結果,顔の絵文字は体言性が弱く相言性が突出して強いこと,交通手段を用いる絵文字では用言性が顕著に高いこと,また食べ物と動物は共通して強い体言性と弱い相言性が見られたが食べ物の方が用言性が強いことなど,絵文字の意味によって特徴ある分布が見られた。
深澤, 真 Fukazawa, Makoto
本研究は, 2020年に小学校で導入される教科としての英語(以下小学校英語)に向け,評価に対する教員の意識が外国語活動に比べどのように変化するかを調査し,小学校英語教育の一助とすることを目的としている。この目標のもと国公立の小学校12校の教員を対象に,外国語活軌,および小学校英語における9つの評価項目の重要度や活用する評価方法に関するアンケート調査を4件法で行った。調査結果の記述統計を検討するともに,外国語活動における評価の意識と小学校英語に対する評価の意識の変化を見るため平均値の比較も統計的に行った。その結果,小学校英語では,外国語活動に比べて,読む能力,書く能力,文法の知識の重要度が高くなる傾向にあることがわかった。また,活用する評価方法に関しては,筆記テストや小テストなど読む能力や書く能力を測る評価方法や,話す能力を測るパフォーマンステストなどの活用を考えていることもわかった。これらの結果を基に,小学校英語を評価していく上での教育的示唆を行う。
金, 順任 KIM, Soonim
本稿は日韓の社会人を対象としたアンケート調査を用い,日韓の第三者敬語運用のメカニズムの一端を実証的に明らかにすることを目的としている。分析の結果,聞き手が同等か目下の場合,日本語では第三者敬語はあまり使われないが,韓国語では第三者を高める割合が高く,絶対敬語を基調としていること,その一方で,親族に対する敬語使用においては相対敬語的な一面があることが明らかになった。さらに,日韓に共通してみられる動向として,最上位者の前で上位者に対し尊敬語を用いる傾向が強く,第三者も聞き手も両方高めてしまう新しい敬語法が使われており,このような傾向は,男性よりは女性,40代・50代よりは20代・30代で顕著であった。第三者敬語と聞き手敬語の相関関係については,日本語のほうが,聞き手と第三者を同時に高める「第三者敬語の聞き手敬語化」が顕著であることが明らかになった。
堀江, インカピロム・プリヤ一
従来、タイ人の言語行動を特徴づける言葉として「マイペンライ」を挙げる人は多かったが、それは、一般的に「気にしない」「構わない」等と解釈されてきた。この解釈に沿ってタイ人の「マイペンライ」に接するとき、不快感を覚えたり、怒ったりすることがしばしばあることは、多少なりともタイ人と接したことのある日本人なら知っていることであろう。その原因は、日タイの人々の間で、fマイペンライ」についての理解や解釈に相違があるのではないだろうか。以上のような疑問を出発点として、1985-88年にタイにおいて収集した「マイペンライ」の実例について、バンコク在住のタイ人にインタビューを行い、その結果は、国立国語研究所報告lll「日本語とタイ語の対照研究Ⅱ『マイペンライ』-タイ人の言語行動を特徴づける言葉とその文化的背景についての考察 その1-」(堀江、1995)において発表した。その後、タイ人に対するインタビューのデータを補う意味で、同様の実例につき、タイ在住のタイ人にもアンケートを、さらに、同様の実例につき、タイに滞在中の日本人にインタビューとアンケートを実施した。その結果の一部については「平成9年度国立国語研究所公開研究発表会テーマ:言語の対照研究」の予稿集を参照いただきたい。今回の発表は、それらの結果を理解するために必要な日タイの対人意識についての補強調査の一部の紹介である。
大田, 伊久雄 鎌倉, 真澄 Ota, Ikuo Kamakura, Masumi
我が国において森林認証制度の普及はあまり進んでいないが,その原因として川下側では認証制度の認知度が低位であること,川上側では認証製品への価格プレミアムがないために認証取得のメリットが感じられないことが考えられる。そこで本研究では,消費者を対象としたアンケートと認証木材製品の販売実験により,価格プレミアムの存在可能性を検証した。アンケートはインターネットを用いて行い,20代から60代までの432人から回答を得た。その結果,森林認証制度を知らなかった人は全体の8割を超えたが,制度の解説をした後に認証製品に対する上乗せ価格の許容限度を尋ねたところ,5%までが24.1%,10%までが13.4%など合計で44.9%の人が上乗せ額を許容すると回答した。また,インターネットショップにおいてヒノキまな板の認証製品と非認証製品を同時に販売する実験を行ったところ,認証製品価格を10%高くしたときは10.1%,5%では28.0%の購入者が認証製品を選んだ。アンケート結果と販売実験結果は直接的に相関するものではないが,販売実験の結果からは価格プレミアムの存在が実証された。
鈴木, 卓治 Suzuki, Takuji
本稿では,2012年夏に国立歴史民俗博物館(歴博)が開催した企画展示「楽器は語る」のために開発したマルチメディアコンテンツについて,展示に組込む形で提供した5種類のコンテンツの内容と展示との関連を交えて解説する。また,同時に実施した,来館者が持参したスマートフォンやタブレット端末等のWi-Fi機能を備えた携帯端末向けに情報コンテンツを配信する実験について,来館者アンケートとコンテンツへのアクセスログから,実験に参加した来館者の傾向を読み取ることを試みたので合わせて報告する。来館者へのアンケート調査からは,若い女性の携帯端末への関心がとくに高いこと,Wi-Fiの設定がうまくできない利用者が想像以上に多いこと,いったんうまくWi-Fiが設定できた利用者は支障なくコンテンツにアクセスできること,がわかった。また,WWWアクセスログの分析は,コンテンツが来館者に理解されたかどうかの評価よりも,たとえば,重要なコンテンツが優先してアクセスされるように利用者インターフェイスをうまく設計できたか,の評価に有効であることがわかった。来館者が持参した情報端末を展示情報サービス端末として利用する技術は,とくに人員面や資金面の体力に劣る中小規模の博物館において有望である。今後の課題として,音声ガイドや動画ガイドなど,ボタンを押してコンテンツを呼び出すような簡便なものについて,Webコンテンツの自動生成ツールの開発と提供が挙げられる。
中山, 恵利子 NAKAYAMA, Eriko
1997年,1998年に厚生省(当時〉がカタカナ語の適正化を図るための通達を出したにもかかわらず,2000年に導入された介護保険制度の用語にはカタカナ語が目立つ。そこで,実際の現場で高齢者に対してどの程度カタカナ語が使われ,高齢者がどの程度理解しているのかを,高齢者と介護サービス提供者双方へのアンケート調査ならびに聞き取り調査により調べた。その結果,次のようなことがわかった。(1)介護現場では,カタカナ語のほかにカタカナ略語,カタカナ語の辞書的説明,生活場面に即した言い換え語などさまざまな言葉が併用されている。(2)高齢者に対する介護サービス提供者のカタカナ語の使用には配慮が見られるものの,高齢者が理解していないのにカタカナ語が使われている可能性も高い。(3)厚生省が通達した言い換え語は介護現場ではあまり使われていない。(4)カタカナ語に拒否反応を示す高齢者は少なくない。
俵, 匠見 TAWARA, Takumi
現代短歌は、字余りでもリズムの乱れを感じにくい場合がある。「名前のみ読み上げられる祝電のしゅうぎいんぎいんさんぎいんぎいん 松村正直」の下の句は8・8だが、リズムに乗って読むことができる。このような字余りの現状や特徴を捉えるため、現代短歌のアンソロジー歌集に収録された約2000首を分析した。また、全国の歌人にアンケートを取り、字余りの感覚を調査した。結果、初句は字余りになりやすいが結句はなりにくい、字余りの場合は二重母音[ai]が句末に現れやすいなど、いくつか顕著な傾向が見られた。これらの現象を説明するためには、言語学の切り口が必要だと考えた。本論文は、現代短歌の字余りを分析することで、日本語のリズムを考察するものである。
金城, 克哉 副島, 健作 Kinjo, Katsuya Soejima, Kensaku
平成15年度前期のまとめの活動として初級レベルの日本語クラスでプロジェクトワークを行った。中学校を訪問し, 留学生が自国について紹介するという活動である。本稿ではその過程について述べ, その後の留学生へのアンケート調査の結果をまとめ, 地域との交流をとおしたプロジェクトワークの試みの教育的効果や問題点を検討した。調査の結果, 留学生は今回のプロジェクトワークを高く評価していることがわかった。とくに, 教室で学んだ日本語を応用したり, 発表の技能を身に付けたりすることができたという言語技能が向上したという達成感が得られ, 日本の中学生について知り, また自国を紹介することで, 異文化理解が深まったと学習者が感じていることがわかった。一方で, 1) グループ活動として適切なテーマ設定だったか, 2) プロジェクトワークを行う時期として適切だったか, 3) 発表の技能の指導が十分だったか, といった問題点も明らかになった。
金沢, 裕之 KANAZAWA, Hiroyuki
動詞の否定の連用中止法は,一般には,「~(せ)ず,…」の形が正しく,助動詞「ない」を使った「~(し)なく,…」の形は規範的でないとされている。しかし近年,一部の用例にではあるが,この形式が認められ,それらの用例を観察してみると,先行する動詞句,あるいは「動詞+ない」全体が状態的な意味を表す場合に多く用いられていることがわかった。大学生に対するアンケート調査でも,この観察の妥当性が概ね確認された。この現象を通時的変化の流れから考えると,否定の助動詞における「ず」から「ない」への移行が最終的な段階を迎えようとしていることの予兆として捉えられる可能性がある。
金, 彦志 方, 貴姫 韓, 智怜 韓, 昌完 Kim, Eon-Ji Bang, Gui-Hee Han, Ji-Young Han, Chang-Wan
障害学生のための文化芸術教育が特殊学校において様々な形で実施されているが、障害学生のための具体的かつ長期的な支援策が設けられていないのが現状である。これにより学校現場での文化芸術教育活性化に困難があると言える。本研究では、障害学生の文化芸術に関する先行研究の考察と特殊学校における障害学生文化芸術教育の実態把握を通じて、今後の学校教育課程における障害学生文化芸術支援の方向に対する政策案を提示した。特殊学校文化芸術教育の実態調査では、韓国の特殊学校153校を対象に実施しており、音楽教科の場合、118校(77.1%)の担当教師181人が回答し、美術教科の場合、98校(64.1%)の担当教師154人が回答している。アンケート調査の結果をもとに、芸術教科担当教師の専門性の確保、芸術教科プログラムの多様性の確保、文化芸術教育環境の改善と専門人材のネットワーク構築など、特殊学校で適用可能なサポートの方向を提示した。
宮内, 久光 由井, 義通
本研究は,沖縄県内のコールセンターで働く女性の就業状況を明らかにすることを目的としている.研究方法としては,228 人のインフォーマントから回収したアンケート票を集計して,定量的な考察を行うと同時に,聞き取りで得た彼女たちの語りから定性的に就業の状況を紹介することで実態に迫るアプローチを採用している.本研究で明らかにしようとしている就業状況とは,コールセンターに就業するまでの経路,コールセンターへの通勤状況,コールセンターでの雇用形態,コールセンターでの勤務状況,そして,勤務目的と職場評価の6 点である。これらの就業状況について,アンケート集計から全体の結果を紹介するとともに,女性を世帯タイプや居住地,雇用形態の違いにより特性分類したうえで,特性分類別に比較検討した。最後に,コールセンターで働く女性が仕事と生活をどのように両立させているのかを,聞き取りから紹介する。
山口, 喜七郎 新城, 和治 Yamaguchi, Kishichiro Shinjo, Kazuharu
沖縄県下の小学校,中学校および高等学校の理科担当教員を対象にして,NHKテレビ学校放送理科番組の利用状況と利用についての意識ないし評価および今後の利用意志についてアンケート調査を行った。その結果を報告する。\n今後理科番組を利用したいとする意志は全般的につよいが,小学校では積極的に利用したいとするものと,適当に利用したいとするものが半々であるのに対し,中学校および高等学校では適当に利用したいとするものが多く,上級学校・上級学年ほど番組の内容と生徒の実態との隔りのため利用に困難さが加わってくるようである。また中学校では番組を分断したり部分的視聴を行うなど制御的な利用を考えている傾向がつよいが,これはテレビ番組利用学習と理科の探究学習の間に介在する問題点を意識しての結果であると思われる。
篠崎, 晃一 小林, 隆 SHINOZAKI, Koichi KOBAYASHI, Takashi
本稿では,言語行動の地域差・世代差を把握するために,全都道府県を対象に実施したアンケート調査の中から,買物場面における挨拶行動について考察する。買物の流れに沿った一連の挨拶行動を捉えるために「店に入るときの挨拶」「客を迎えるときの挨拶」「レジでの声掛け」「細かいお金が無いときの断り」「店を出るときの挨拶」「客を送るときの挨拶」の6場面を設定し,(1)挨拶自体をするか否か,(2)するとしたら何と言うか,(3)その言語形式のもつ機能はどうか,といった観点に着目して分析を行った。その結果,高年層・若年層で異なった傾向が認められた。また,従来他の言語分野で認められてきた地域差のパタンが確認されると同時に,都道府県ごとの細かな差異も存在することが明らかになった。
Delbarre, Franck デルバール, フランク
本論文では三つの学生群(1年生)を対象としたフランス語教育上の長期的実験の最後の段階について述べられています。この実験はフランス語における結果状態表現に(être+過去分詞)に対する暗示的教え方と明示的な教え方による結果の比較を目的としており、それに合わせてフランス語教育対策の改善を促すものです。2010年に発行された著者の論文では日本語の文章を参照してフランス語で動作または結果状態を表す動詞の形態の中から正しいものを選ぶ形のアンケートを通して、明示的な教育を受けたフランス語学習者のほうが暗示的な教育を受けた学習者より日本語に対応したフランス語の正しい動詞の形態を当てることに成功したということが明らかになりました。ですが、長期的にはその明示的な教え方の影響が続いているかどうか解明するためには、最初の段階のアンケートが行われた一か月間以上後にあらためてそれらのアンケートに類似した日本語の文章を載せた日仏訳の問題を同じ学習者に受けさせました。今回の日仏訳の形で行われたのは自ら結果状態を表すフランス語の動詞形態が正しく作成できるかどうか確かめるためなのです。この形でも、明示的な教育を受けた学習者群による成功率のほうがはるかに高いという事実が明らかになりました。しかし、その結果が学習環境によって変わるかどうか確かめるためにはほかの大学で行う必要があるでしょう。
山口, 喜七郎 新城, 和治 吉田, 一晴 屋良, 朝夫 長浜, 克重 Yamaguchi, Kishichiro Shinjo, Kazuharu Yoshida, Kazuharu Yara, Asao Nagahama, Katsushige
那覇市の市街地にある4校と中頭地区の同じく市街地内の1校の計5つの中学校の男女それぞれ約600人にアンケート形式で調査した。調査項目は現在の理科に対するすき・きらいの度合,すき・きらいの理由,分野別の好み,および,小学校時代の理科のすき・きらいについての四項目である。\nすき・きらいの実態は高学年程理科のすきな生徒は減り,女子は男子に比べすきな生徒は少いといった学年差や男女差がある。\nすき・きらいの理由についてはすきな理由には実験・観察のたのしきと理科の内容のおもしろさをあげ,きらいな理由には授業のわかりにくさと内容のむつかしさをあげている。すきな分野は第2分野で第1分野の2~3倍の生徒が選んでいる。\n現在の理科へのすき・きらいにどういった要因がより強く作用するのかを連関係数を用いて考察した。その結果,過去の小学校時代の影響よりも現在の学習の諸条件がより強く作用するということである。\n以上のことに基づいて,理科ぎらいの生徒に理科をすきにさせ,理科のすきな生徒をより一層すきにさせるような指導上のいくつかの留意点をあげてみた。
副島, 健作 Soejima, Kensaku
シテアルとシテイルとの使い分けについては従来、意図性が関与していると考えられ、日本語教育においてもそのように説明されてきた。しかし、その多くは、動詞の自他という語彙的側面とシテアル、シテイルという文法的側面を混同した結果導出されたものであり、実情を反映しているとは言えない。そこで本稿は、沖縄県内大学に在籍している日本語母語話者にたいしてシテアルの自然さと他動性にかんするアンケート調査を行い、シテイルとの使い分けと使用条件について考察した。その結果、シテアルが実現しやすいのは他動性のもっとも高いプロトタイプ的他動詞であることがあきらかになった。また、それ以外の動詞の場合でも以前に成立した運動の影響が主体に残っていると認識される状況が設定されれば、シテアルが可能であることがわかった。これらの結果から、シテアルとシテイルの違いも、シテアルの対象指向的な特性から説明できることを確認した。
深澤, 真
新型コロナウイルスの感染拡大により、2020 年度前期から琉球大学における大学英語の授業は、急遽オンラインでとなった。本研究では、大学英語のオンライン授業におけるスピーキング活動とオンラインテストについて学生がどのような意識を持っているかを明らかにすることを目的としている。オンライン授業とオンラインテストを実施した2020〜2021 年度の大学英語2 クラスの学生を対象にアンケート調査を行った。その結果、学生はオンライン授業でのスピーキング活動を概ねやりやすいと考えているが対面での活動の方が少しやりやすいこと、実施したオンラインテストは受けやすく、リスニング、リーディング、ライティング、語彙の力を測る妥当なテストと考えているが、信頼性をやや不安視していることなどが明らかになった。本研究で明らかとなったことをもとに、オンライン授業におけるスピーキング活動や評価についての教育的示唆についても検討する。
田中, 将太
本研究は,「住民参加型在宅福祉サービス全国連絡会(以下,住参型全国連絡会)」が実施したアンケート調査のデータから,コロナ過が住民主体による生活支援活動団体の運営に与えた影響について考察した。 コロナ禍において訪問活動や居場所活動,移動支援等の生活支援領域で活動する住民主体の活動団体は,活動継続や再開に向けた感染症対策費用の捻出や拠点の確保,資金や物資の調達,活動再開や中止の判断や活動に対する地域の理解,利用者や活動者の意欲低下などの運営課題に直面しており,その多様な運営主体別にみたとき,運営資源へのアクセス及び支援関係に特徴がみられた。 2025 年を目途に地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの構築が図られるなかで,コロナ禍で顕在化した運営主体別にみる運営資源へのアクセスや支援関係の特徴を捉えた行政による生活支援体制整備と合わせ,社会福祉協議会やネットワーク組織等の中間支援機能の発揮による運営資源のプラットフォーム構築とアクセス支援の拡充が重要である。
新本, 光孝 砂川, 季昭 Aramoto, Mitsunori Sunakawa, Sueaki
この研究は, 亜熱帯的自然景観をほぼ完全に保有する西表島をとりあげ, 森林レクリェーション利用者の動向を把握するためにおこなったものである。調査の結果を要約するとつぎのとおりである。1.入域者の分析1)西表島における過去3ケ年間(昭和48年, 同49年, 同50年)の入域者は漸次増加の傾向にある。2)西表島における森林レクリェーション利用のタイプは, 春および夏を中心とする二季型であることが認められる。3)西表島(西部地区)の夏季における森林レクリェーション利用者の類型は, 県外の利用者が宿泊型であるに対し, 県内の利用者は日帰り型であることが明らかとなった。2.アンケート調査の分析1)吸引圏 吸引圏は, 北は北海道から南は沖縄までほぼ全国的におよんでいる。2)交通構造 交通手段は, 本土・那覇間, 那覇・石垣間ともに航空機よりも船舶を利用しているものが多い。3)利用者の年代および職業 利用者は若い層が多く, 10代と20代で全体の約90%を占めている。職業は学生・生徒がもっとも多い。4)行動の規模 利用者の構成は, 友人グループ(2∿4人)とつれだってくるものが多い。滞在期間は2∿4泊を中心とする宿泊型が大きな比重を占めている。5)利用上の性格 森林レクリェーション利用上の性格は, 風景鑑賞と自然探勝が中心課題である。
長嶺, 聖子 Nagamine, Seiko
韓国語と日本語は語順がほぼ同じで、文法も類似しており、中高年層の韓国語学習者も少なくない。中高年層の多くが好きな映画やドラマの内容を韓国語で知りたいと望んでいるようだが、筆者が教えている大多数の大学生も会話主体の韓国語の学習を強く希望している。ところで、韓国語には、格式体表現と非格式体表現があり、映画やドラマなどでは、後者の非格式体表現、つまり会話体の打ち解けた言い方である「パンマル」体が非常に多く使われている。しかし、最近日本の一部の著書において、この韓国語の「パンマル」と日本語の「ためロ」がまるで同一であるかのように扱われていることがよくある。本稿では、この安易な同一視から生じる誤解や混乱を避けるため、まず韓国語における「パンマル」の概念を明確にし、次に日本語の「ためロ」に関する一般的概念を、筆者が実施したアンケート調査を基に明らかにして、その基本的な違いを比較する。その上で、「パンマル」を含めた待遇表現の指導方法を提示する。
笹澤, 吉明 小林, 稔 姜, 東植 Sasazawa, Yosiaki Kobayashi, Minoru Kang, Dongshik
R 大学の公開講座として行われた、2011年度から2015年度の5年に亘る小学生を対象としたビーチサッカー教室事業について、スポーツ経営学における、エリア・サービス、プログラム・サービス、クラブ・サービスの3つの観点から、事業内容を検討した。沖縄県の中部西に位置する西原きらきらビーチにてビーチサッカー教室は行われ、5年間の延べ400名の児童が参加した。砂浜で裸足にて行うビーチサッカーは、土踏まずの形成や体力向上に結び付き、児童の発育発達にとって大きな可能性のある教材であると考察された。事前事後のアンケート調査の結果からも、海やビーチで遊ぶ動機づけや、海やビーチのことを学びたい意欲や、ビーチスポーツ参加への動機づけや、ビーチサッカーの楽しさが増加するなどの心理面が向上した。ビーチクリーンを行うことで、スポーツの安全教育や、自然保護を養う効果も期待される。しかしながら、内陸での本事業の開催の難しさや、水難事故などの安全面のリスクなどの課題も考察された。概ね、本事業の成功が総括され、学校教育における裸足サッカーの教材化などが提言された。
森山, 克子 高吉, 裕士 Moriyama, Katsuko Takayoshi, Yuji
学校給食においては、食中毒を防止し、安全かつ安心で美味しい学校給食を提供することが最も重要であり、その調理業務を担う調理員の貢献は大きい。平成20年、学校給食法が改正され、食中毒防止策など衛生管理の基準を規定し徹底させつつ、学校給食の主な目的を従来の「栄養改善」から「食育」に転換された。学校給食における食育の推進には、栄養教諭等の資質向上は無論、調理業務を行う調理員の食育に対する職業意識の在り方が今後求められると推察するが、調理員にとって最大の使命は、安全な給食を提供することである。そこで、本研究では、「食育」を推進するにあたり、ますは、調理員の職業意識等の中でも衛生管理に関する意識の実態を明らかにする必要があると考え、沖縄県内の学校給食施設に勤める学校給食調理員438名に衛生管理意識に関するアンケート調査を実施した。その結果、387名の回収があった。調理員の衛生管理意識は雇用形態や経験年数などで有意差がなく、調理員一人一人が高い衛生管理意識を持っていた。平成8年O157事件以降、調理員の衛生管理意識は調査者全員が変わったと回答している。その理由としては衛生管理体制の確立や講習会が主にあげられていた。また、経験年数13年以上の栄養士に対してO157食中毒事件以降調理員の衛生管理意識の変化について「良くなった」「やや良くなった」と答えたのは100%であったことからO157食中毒事件以降調理員の衛生管理意識の変化は、客観的にも検証できたと考える。
比嘉, 善一 Higa, Zenichi
コンピュータの最も基本的な操作であるキーボード操作をスムーズに習得させる目的で、キー入力学習用コースウエアをFCAIを用いて作成し\nた。それを中学生を対象に試行し、学習経過時間、所要時間、反応時間、正打率について分析した。またアンケートの結果から、「もっと学習し\nたい」、「楽しかった」、「途中でやめたいと思わなかった」などの回答が多く、生徒の興味や学習意欲については良い結果が得られた。
竹田, 晃子 鑓水, 兼貴 TAKEDA, Koko YARIMIZU, Kanetaka
痛みを表す言語表現のうち動詞ウズクの使用実態について,約18万人を対象に行ったアンケート調査「慢性痛とその言語表現に関する全国調査」をもとに,地域差を中心に世代差・用法差を明らかにし,その背景を考察する。ウズクは,医療現場で患者の病態把握に用いられる質問票でよく用いられる動詞で,共通語と考えられている。しかし,調査結果の分析から,実際には西日本で主に用いられるという地域差と,50~60代で用いられるという世代差があることが明らかになった。用法差については,全国的に部位等によって使用率に違いがあることが明らかになった。この違いは,地域差や世代差と連動する形で現れる。「歯」「切り傷」では東日本を含む全国で用いられるのに対して,「頭」「関節」では西日本に限定され,「腰」「胃/腹」では愛媛県とその周辺地域へと分布域が狭まっている。痛みの性質からみて,「歯」の痛みは,「頭」「関節」「腰」「胃/腹」の順に遠くなっていくと考えられる。そして,歯からの「痛みの連続性」の順に,ウズクの使用率は減少し,分布域も狭くなる。この背景には,ウズクが細かい意味の違いでほかの語と使い分けられている(いた)ことと,身体感覚を表す「気づかない方言」であること,共通語化があると考えられる。身体感覚は個人的な感覚であるため方言が使われやすく,私的場面での使用に偏り,結果的に方言であることが気づかれにくい。関東地方では,もともと使われていたウズクの用法が狭まったか,あるいは,西日本の方言ウズクをごく一部の用法(「歯」「切り傷」)に限定して取り入れたか,双方の可能性が考えられる。
葦原, 恭子
琉球大学では,1998年から2021年にかけて世界42カ国・128の協定大学から1,204名の留学生を受け入れてきた。この間に,留学生の受け皿は,留学生センターからグローバル教育支援機構の国際教育センターに移行した。2019年度には,交換留学生69名が来沖し,2020年度には交換留学志願者が80名以上と過去最高となった。しかし,その後,2019年末から全世界に広がったコロナ禍の影響が顕著となったことにより,留学志願を取り消し・延期する志願者が相次ぎ,2021年度前学期には,実際に登録した交換留学生数は37名に減少した。さらに 2020年度および2021年度には,対面授業からオンライン授業に切り替えることを余儀なくされた。本稿は,コロナ禍において,オンライン授業として実施された, 留学生対象の日本語科目の一つである「アカデミック日本語C1S」という授業を取り上げ,実践報告するものである。当該授業後に実施されたアンケート調査においては,受講生から日本語学習に対する積極的かつ肯定的なコメントが得られた。このことから,オンライン授業であったとはいえ,当該授業を実施したことには意義があったことが明らかとなった。
森山, 克子 Moriyama, Katsuko
学校給食から沖縄の食文化継承をめざすことを目的として中学校生徒における家庭の食環境を明らかにする質問紙調査を行った。対象者は、N市のK中学校の中学生1・2年生男女262名にアンケートを依頼し237名の回答を得た。回収率は90.5%であった。本報では食環境を家族構成、主な食事の担い手、食事の担い手の年代、食事の担い手の就業状況、仏壇の有無、近隣に祖母在住の有無等を調査した。これらの調査の結果、次のことが明らかになった。1)核家族が79%、拡大家族が21%で同居する人数は平均49人であった。この数値はN市の1世帯あたりの人員2.51人に比べ著しく多かった。2)同居者の構成は、母親が91.5%、姉弟が88.9%、父親73.4%、祖母が18.8%の順であった。ほとんどが母親や姉弟と同居であったが4人に1人は父親不在であった。3)主な食事の担い手は母のみが71.3%、祖母のみが9.3%、父と母が6.3%であった。4)生徒と同居で食事を担っているのは、母親が94.0%、祖母が75%、父親が13.8%であり、ほとんどの中学校生徒の食生活は母親と祖母により担われていた。5)食事の担い手の年代は、30代が37%、40代が29%、50代が29%であった。6)食事の担い手で有職者は74.7%、無職が24.9%人、終日勤務が45.6%、パート勤務が22.8%であった。7)仏壇の有無は、仏壇がある生徒は62%、ないと答えた生徒は38%であった。8)祖母との関係は同居が18.6%で、非同居が81.4%であった。「非同居で近隣にいる」が42.2%で、60.8%の生徒が祖母と同居または、近隣在住であった。
宮国, 泰史 福本, 晃造 杉尾, 幸司 前野, 昌弘 伊禮, 三之 古川, 雅英 Miyaguni, Yasushi Fukumoto, Kozo Sugio, Koji Maeno, Masahiro Irei, Mitsuyuki Furukawa, Masahide
近年では、従来の学校教育において中心的な指導法として行われてきた「一斉学習」に加え、「個別学習」や「協働学習」など、さまざまな授業形態の活用が求められている。このような授業形態の一つである「反転授業」では、授業時間外にデジタル教材等により知識習得を済ませる必要があるため、家庭等で情報通信技術(ICT)を活用した学習を行う必要がある。このような学習形態を支えるためにはe ラーニングプラットフォームの学習管理システム(LMS: Learning Management System)が必要である。「Moodle(ムードル)」は世界中で利用されている代表的なLMS の一つであり、日本においても、全国の大学等、多数の高等教育機関などで利用され、多くの教育実践事例が報告されている。一方で、初等中等教育における、Moodle の導入・活用事例についての報告は少なく、特に小中学校で活用する場合にどのような課題が生じるかの知見は不足している。本稿では、琉球大学が2018 年度に運用を開始したMoodle 型プラットフォームe − Learning システム、「琉大ハカセ塾Moodle」の2017 年度の運用状況と受講生へのアンケート調査の結果をもとに、小中学校段階の児童・生徒に対してe − Learningシステムを構築する際の課題について議論する。
森山, 克子 金城, 千秋 高吉, 裕士 Moriyama, Katsuko Kinjyo, Chiaki Takayoshi, Yuji
平成22年、子供たちが、「食育」から「海洋」を学ぶことができる食育情報教材Q-食マスターを開発した。その効果を検討するために、平成23年11月~3月、沖縄県那覇市立城東小学校の特別支援教室で授業を行った。児童や教諭のアンケートから、本教材は、児童の海洋に関する理解、興味、関心を高めることが可能であるとわかった。また、本教材は、家庭科、道徳、学級活動、給食指導と幅広い教科等で、「食育」から「海洋」を学習する食育情報教材としての期待ができることもわかった。
山田, 広幸
私が担当する自然系科目「大気の科学」は、新型コロナウイルス感染症流行に伴い授業が遠隔化された2020年度から2年連続でプロフェッサー・オブ・ザ・イヤーに選出されました。授業で解説する内容と到達目標を大幅に修正したわけではないので、遠隔授業のやり方を工夫したことが学生評価の向上につながったのではないかと考えております。本稿では、対面授業で感じていた課題と、遠隔授業への転換時に行った私なりの工夫と、授業評価アンケートから見えてくる学生の捉え方について述べたいと思います。
金澤, 裕之 KANAZAWA, Hiroyuki
本稿は,現在まさに大学生活のただ中にいる学生たちの一部が,「〔大学生活を〕充実して(または,させて)過ごす」という表現において,「充実に過ごす」という形式を採用しつつあるらしいことを,アンケートの結果より指摘するものである。そしてこの形式が,単なる思い違いや誤用ではないかもしれないという可能性について少しく考察するとともに,この現象に関しては,日本語学習者である留学生たちの状況が参考になるかもしれないという点についても言及してみる。
古謝, 瑞幸 Koja, Zuiko
1.宜野座村における農業情報メディアの普及とそれに対する農民の態度についてアンケート調査を行なった。2.全村の農家640戸にアンケートを配布して回答を依頼したが, 回収率は約65%にとどまった。それでこの調査は65%, 即ち415戸を対象とする。3.調査の結果はすべて1965年9月1日現在とする。4.テレビジョンをもっている農家は415戸の中59.3%である。テレビジョンによる農業教育番組を希望する者が415人の中, 73.5%もいる。5.ラジオをもっている農家は415戸の中, 86.5%をしめている。6.ラジオの話の内容がわかりやすいとする者は415人の中, 52%で, その他はむずかしいとか, わからない人たちである。7.ラジオの話を農業に応用したことのある人は415人中, 45%をしめている。8.新聞を購読している農家は415人中, 約64%をしめている。9.新聞の農業記事の内容がわかりやすいとする者は415人中45%である。10.新聞記事としては普通の農民の成功物語よりも, 科学的な新技術の紹介を好む人の数が少し多い。11.宜野座村におけるラジオと新聞の比率は1.7 : 1でラジオが多い。12.琉球政府農業改良課発行の月刊普及誌農家の友は6か年以上の発行歴をもつが, それを見たことのある人は415人の中, 47%しかいない。13.農家の友は約10戸に1部の割当で, 毎月読んでいる人は415人の中わずか3%である。14.農家の友の記事がわかりやすいとする人は415人の中52%で, 半分以上の人がよく読解していることになる。しかし, この比率は新聞の同じ項目よりも16%低い。15.農家の友の発行部数をふやすことを望む人は415人の約42%に達している。多くの人に読んでもらうために現発行部数を拡張することが望ましい。16.琉球大学農学部発行の月刊普及誌農家便りは9か年余の発行歴をもつが, それを見たことのある人は415人の中28%しかいない。17.農家便りは農家戸数約20戸に対して1部の割であるが, 毎月それを読んでいる人は415人の中約2%にすぎない。年に2∿3回読むのが約21%で, 最も多いグループである。18.農家の友も農家便りも自宅で読む人の数が多い。それに次ぐのが公民館である。19.農家便りの内容がわかりやすいとする人は415人の中約22%である。その他はむずかしいとかわからないとする人たちである。20.農家便りを農業や生活面に応用したことのある人は415人中, 約22%である。これは農家の友より約14%低い。21.農家便りの現行発行部数をふやすことを望む人は415人中, 約25%である。みたことのある人が極少であることと, リーダー育成の見地からもっとふやすことが望ましい。22.購読されている農業雑誌の中, 最も多いのは家の光で415人の25%をしめている。養鶏や園芸などの専門雑誌は1%程度で非常に少ない。23.農業の相談相手としていちばん好まれているのはラジオで, 415人中約30%の人がそれを選んでいる。次は新聞, テレビジョンの順である。農業雑誌でいちばん好まれているのは家の光で, 全体の4位で, テレビジョンに次ぐ。
岩崎, 拓也 市江, 愛 井上, 雄太
本発表では、LINEなどのチャットアプリ(以下、チャット)内で使用される符号にたいする印象について検討する。チャットにおいて、句点「。」は文末を示すマーカーとしてだけではなく、なんらかの感情や態度を示している可能性がある。これらを明らかにするために、句点あり、感嘆符あり、符号なしのメッセージにたいして、読み手がどのように感じているのかをクラウドソーシングを使用した自由記述アンケートを300件程度実施し、符号印象評価テキストデータベースを作成した。このデータベースにたいしてテキストマイニングを行い、符号の有無や種類による印象を可視化し、各特徴を明らかにする。
川満, 芳信 與儀, 喜代政 濱上, 昭人 野瀬, 昭博 比嘉, 正和 Kawamitsu, Yoshinobu Yogi, Kiyomasa Hamagami, Akito Nose, Akihiro Higa, Masakazu
本研究では、N67-10、ボゴール、ジュピー、ペローラ、N86、クリームの6品種の果実を用いて部位別の各化学成分を分析した。また、下部においてはブロメライン活性などを測定した。品種N67-10の8月から12月までの各種成分の季節的変化を調査した。さらに、各貯蔵温度下における未熟果及び適熟果の各化学成分の経時変化を調査した。結果を要約すると以下のようになる。1.ボゴール、N86は糖含量が高く、ボゴールは全糖中ショ糖の比率が高かった(約70%)。ジュピー、ペローラは糖及び有機酸含量が低く、クリームは両方とも高かった(図1、2、4)。2.ブロメライソ活性はペローラで有意に高く、N67-10で有意に低かった(図5)。3.食味アンケートの結果、舌の痛みとブロメライン活性との関係は一致せず、むしろ有機酸含量と傾向が類似していた(図6)。4.糖含量は夏実から冬実にかけて殆ど変化はなく、一方、有機酸含量については冬実において夏実の約3.6倍も増加した(図7、8)。5.ブロメライン活性は8月果で低く、秋及び冬実で高い傾向を示した(図12)。6.未熟果においては、糖・有機酸は4℃保存で上昇し25℃保存では減少した。15℃保存では糖は減少し有機酸は上昇した(図15、16)。7.適熟果においては、4℃保存は糖は上昇し有機酸は変化ぜす、15℃保存では糖及び有機酸が上昇し、25℃保存は糖・有機酸ともに減少した(図18、19)。8.未熟果は4℃保存で、適熟果は4℃保存及び15℃保存でリンゴ酸の増加率が顕著であった(図16、19)。
吉田, 浩之 来田, 宣幸 Yoshida, Hiroyuki Kida, Noriyuki
本研究では、中学生を対象にして、部活動において生徒が存在感を認識している内容と不安に感じている内容から、生徒に必要な援助ニーズが示唆される資料を教師が得ることができる尺度を作成することを目的とした。研究1では、中学生306名を対象に項目を収集し、8つの質問項目を抽出した。因子分析の結果、2つの因子を抽出し、それらを下位尺度とする「部活動存在感・不安感尺度」を作成した。研究2では、中学生840名が本尺度とQ-Uアンケート(河村、1999c)および学習意欲尺度(河村、1999b)に回答し、本尺度の妥当性がみとめられた。
本村, 真 Motomura, Makoto
本稿では、児童養護施設のケアワーカーに対する効果的な研修会を実施するための方法に関して、何を研修で伝えていくかという内容の側面ではなく、いかにその内容を伝えていくかという姿勢に焦点を絞って述べている。今回、考察の対象となった沖縄県内児童養護施設の職員に対する6回の継続研修会の講義内容及び各研修会の終了時点に実施されたアンケート結果の分析により、本研修における講師の参加者に対する基本姿勢の中心であるソリューション・フォーカスト・アプローチ的姿勢が、今回の研修会の効果へ大きな影響を与えたということを示す。
笹澤, 吉明 喜屋武, 玲菜 姜, 東植 小林, 稔
沖縄県女子サッカー選手の競技力向上に向けて,全国強豪校とのスポーツキャリア・競技環境・心理的競技能力の三点の相違を明らかにすることを目的とする。対象は沖縄県予選大会の過去5年間に上位成績を収めた6校130名及び,全日本高等学校女子サッカー選手権大会の過去5年間に上位成績を収めた5校195名である。オンラインによるアンケート調査を行い,スポーツキャリア,競技環境,心理的競技能力(DIPCA.3)のデータを収集した。その結果,スポーツキャリアにおいては,沖縄は61%が高校からサッカーを開始しているのに対し,全国は97.5%が小学校からサッカーを開始し,中高と継続していた。競技環境は,沖縄は94%が土のグラウンドで練習を行っているのに対し,全国は43%が芝で練習を行っており,リーグ戦の試合数も沖縄は年間5~10試合が66.1%に対し,全国は10~15試合が32.1%,15~20試合以上が40.1%と公式戦も含め年間の試合数に大きな差がみられた。心理的競技力は,DIPCA.3の総合得点,競技意欲,自信については全国が沖縄より高得点を示したが,リラックス能力を含む精神の安定においては全国よりも沖縄が高得点だった。沖縄県女子サッカー選手の競技力向上には,小学校から継続できるサッカークラブの普及,芝のグラウンドでの練習環境の整備,競技意欲,自信などの心理的競技力の向上が示唆される。
Goya, Hideki
社会変化に呼応しその育成すべき人材像が変容する中, 2015年12月の答申において中央教育審議会は, 次世代\nの学習観を養うことのできる教員養成の重要性を示した。つまり教員養成課程を通じて能動的かつ協働的に解のない課題解決に取り組める教師の育成が大学教育では求められている。本研究では, これからの初等中等教育に必要な英語教員養成課程の質的再整備を目的とし, アンケート調査を用いて現行のプログラムを検証した。参加者は教育実習を終えた英語の教員免許取得希望者(n = 32)で, 教員養成課程内外での活動を振り返ってもらった。分析の結果, 実習後の教職希望者数に変化はみられないが, 教職への適正があると答えた学生の割合は実習前の42.42%から実習後では33.33%と低下していた。KJ 法を用いた質的分析の結果, 教職課程内外の体験的学習は教授スキルや授業実践を向上させ, 教育実習時の緊張を和らげていることが分かった。一方で対象とする生徒の多様性や実際の教育現場の理解は十分とはいえず, 教職への自信低下を示していた。この結果を鑑み本研究では,アクティブ・ラーニングの手法の一つであるサービスラーニングを導入し, 実際の学校や地域における自主的活動へ積極的に参加し, より豊かな社会的交流を通じて実際の生徒の多様性や実情に触れ, 更なる生徒理解や教職理解, 自己効力感の向上を促す必要性が示唆された。
福武, 亨 FUKUTAKE, Tooru
本稿では、愛知医科大学の事例を中心に実務的な立場から私立医科大学の現状と課題を把握し、今後の私立医科大学における大学アーカイブズの展望を示すため,アンケート調査と取材を行い他大学との比較を通して考察を試みる。私立医科大学アーカイブズは,機関アーカイブズと収集アーカイブズの側面から課題がある。機関アーカイブズにおける課題は、アーカイブズが法人文書の廃棄、移管について関わっている大学が少ないことである。そこには大学アーカイブズ側と文書を流入させる側の課題がある。大学アーカイブズ側の課題は、大学アーカイブズが法人文書の評価選別を行う際の課題であり,大学内の特定の個人や集団に由来した偏りのある判断を避け,学内外に説得的であることが重要である。文書を流入させる側の課題は,各部署による大学アーカイブズへの移管がうまくいかず廃棄されるという課題であり、大学アーカイブズは、各部署に出向いて現物をみる、現況等を聞くといった各部署とのやりとりが重要である。次に、収集アーカイブズにおける課題は、所蔵点数が少ないことである。愛知医科大学アーカイブズの事例に加え、聖路加国際大学の事例では,学生への広報を取り上げ,金沢医科大学の事例では,所蔵点数の多さを裏付ける出版物、写真等の自動的収集について取り上げる。今後の展望として医科大学においてはカルテ等も大学アーカイブズの収集対象になりえることも触れる。
城間, 盛市 下地, 敏洋 Shiroma, Seiichi Shimoji, Toshihiro
琉球大学では,2007年度入学生から新たなカリキュラムで教員養成が図られた。また,教育職員免許法および同法施行規則改正(2019年4月1日)の施行に伴い,履修内容を充実した教職課程が開始された。本稿の目的は,2007年の導入から2019年の新教職課程導入までの13年間に,大学の教員養成が当初の意図した計画通り実施されたのか,また学生の質が十分保障されたのか,について検証することである。 「教職指導」は,教師の適性,教師の役割や使命感,悩み,実際の現場の観察など多様な内容を網羅した講義内容で,学生自身が教職に対する意識が大きく変化したことが把握でき,教職に真剣に向き合う姿勢が成就されているように考えられる。特に,学校現場での一日体験は,受講生からの評価も高いものがある。 「学校教育実践研究I」は,学習指導案の作成,模擬授業,模擬授業後の授業研究会が主な内容であり,授業評価アンケートで「模擬授業を全員に課したことは良かった」は4.48(最高は5.00),「教育実習における授業実践につながる内容であった」4.72,「授業全体を通して,意欲的に取り組める授業内容であった」4.61で,総合的にも高い評価を得たことが考えられる。 従って,1年次で実施する「教職指導」と3年次「学校教育実践研究Ⅰ」は,4年次の「学校教育実践研究Ⅱ」に繋がる重要な位置づけと捉えることができる。今後,資質の高い教員養成の取り組みが求められている「学校教育実践研究Ⅱ」の授業及び授業後の授業評価アンケートを考察することで,本来の目的を達成する授業構築になっているか検証したい。
近藤, 功行 Kondo, Noriyuki
本研究では,これまでの与論島を中心とした琉球文化圏における筆者のフィールドワークを発展させて,現在用語構築を模索して概観する。本用語は長寿科学研究における新たな用語として提言したいものである。筆者は琉球文化圏における長寿科学研究をとおして,社会・文化的要因の解明に努めてきた。そのプロセスや現在携わる医療福祉教育を通して,今後のわが国の長寿科学研究には「長寿」や「死生観」「QOL」といった概念を統合した形での『適寿』の必要性を感じた。そこで,これまでの筆者の研究結果や学生へのアンケートから『適寿』について考察し,今後の長寿科学研究を見据える材料として提示してみる。
大角, 玉樹 Osumi, Tamaki
1.はじめに 平成24年度沖縄県「産学人材育成ネットワーク形成促進事業において、沖縄県の自立的経済発展及び地域活性化のために必要とされる人材像ならびに新たな産学官連携の在り方が調査検討された。その結果、1.イノベーションを担う人材が不可欠であること、2.そのためには、起業家精神を有する人材の早期育成が必要であり、3.この実現のために、産学官が連携したネットワーク構築と沖縄の地域特性を踏まえたイノベーション・エコシステムの形成の有用性が確認された。起業家育成教育が効果的であることも関係者から指摘されているものの、長期に渡り、起業家教育は会社を設立するための実務教育であると勘違いされ、本来、起業家精神を醸成し、起業家的なものの見方や考え方と行動特性、すなわち、マインド・セットとスキル・セットを習得するための教育であることが忘れられているようである。筆者が座長を務める同事業検討委員会では、他大学の先進的な起業家育成教育ならびにビジネス・プランコンテストの視察、県内ベンチャー企業が実施しているシリコンバレー派遣プログラムの視察、県内教育機関の取組状況に関する調査と意見交換が行われ、何よりも、県内教育機関には、正規のカリキュラムの中に、ベンチャー育成や起業家育成の講座が提供されていない点が指摘された。この状況を打破し、時代や社会が求めている起業家及び起業家精神に溢れる人材の育成を加速するために、まずは県内大学と高等専門学校が連携した実践的なベンチャー講座が開設できないかという提案がなされた。この提案を受けて、琉球大学が過去5年にわたって実施してきた「沖縄学生アイデア・コンテスト」と、平成24年度に実施したビジネス・トライアルコンテストの内容を再検討し、平成25年度より、琉球大学の共通科目として、「ベンチャー起業入門」と「ベンチャー起業実践jが開設されるに至った。本稿では、ベンチャー講座開設の契機となった沖縄学生ビジネス・アイデア・コンテストとビジネス・トライアルコンテストの概要を紹介し、学生アンケートの分析を参考に、今後の改善点と課題について議論している。
福本, 晃造 佐藤, 洋俊 大塩, 愛子
高専の教養化学において、探究型実験に生成AIを活用した。生成AI利用について簡単なレクチャーを行った後、学生はiPadとブラウザのチャット機能を通して生成AIに質問を入力し、実験遂行のためのヒントを得た上で実験を行った。その通りに実験がうまくいかない場合は生成AIを再活用したり自分たちで調べた内容を試したりして、目標を達成した。実験後に学生が初期に作成した質問と生成AIの回答、最終の質問と回答を提出してもらい、学生の活用スキルの変化とそれに合わせたAIの回答の変化を観察した。アンケートを実施し、生成AIからの回答と自分たちの試行錯誤を比較して評価してもらい、化学実験における生成AIの有用性とその限界、注意点などを探った。
ケリ, 綾子 Kelly, Ayako
日本語を習得する上で,日本を理解し学習意欲を向上させるために,日本事情のテーマとしてふさわしいものは何か,そしてどのようにして授業を進めていくのが効果的なのかを,アンケート結果をもとに考察しカリキュラムを構成し実践した。その結果,特に実習,体験学習,見学を通して学ぶことに留学生は意義を見い出していることがわかった。また留学生の発表する活動については,教室外での学習を促すことになり,自ら取り組み理解を深めることができた様子がうかがえた。つまり,日本事情のカリキュラムの組み立てや内容を考えるにあたっては,情報を与えるに留まらず,能動的な活動を取り入れる必要性があると言える。さらに異文化を理解し,受け入れ,また自国文化との相違点や共通点などを考え,意見を述べることが出来るようなテーマを選ぶ必要があると考えられる。
新崎, 綾子 廣瀬, 等 Arasaki, Ayako Hirose, Hitoshi
小学校2年生から6年生までの343名を対象に質問紙法でソーシャルスキルと学校適応感,およびその関連について,発達的変化を検討した。質問紙は,学校現場で教員が手軽に使用できることを念頭におき,学校適応感の測定には「学校楽しぃーと」(鹿児島県立総合教育センター),ソーシャルスキルの測定には「行動をふりかえるアンケート」(佐賀県教育センター)を使用した。分析では,まず各尺度についての因子分析を行い,その因子をもとに小学校2年生から6年生までの児童のソーシャルスキルと学級適応感の発達的な変化,およびその関連性を明らかにした。分析の結果,ソーシャルスキルと学校適応感において各因子により発達的変化が異なるという結果が示された。また,ソーシャルスキルと学校適応感との関連については,学年が上がるにつれてその関連は強くなっていくことが示された。
大角, 玉樹 Osumi, Tamaki
観光産業科学部では、早期キャリア教育の一環としての東京派遣プログラム、かりゆし人財育成基金を活用したハワイ研修、シンガポール研修、および国内研修等、数多くの充実した研修プログラムを実施している。しかしながら、就労しながら学んでいる社会人学生にとっては、研修期間が長すぎることがネックとなっており、比較的短期間で設計された社会人学生向けの研修プログラムの開催を望む声が多く出されていた。産業経営学科は夜間主コースを提供しており、社会人学生も多く学んでいることから、これまで社会人特別経費を活用して、ITやサービス分野の第一線で活躍する講師陣を招聘した産学官連携講座や特別セミナーを実施してきた。しかしながら、夜間の時間帯や土曜日を利用した講義運営が難しいことと、県外ないしは海外での特別研修を希望する声が強いことを受け、本年度は試行として、北海道での研修を実施することとなった。北海道も沖縄同様、観光に力を入れており、産業振興のための産学官連携も数多くみられ、社会人学生が政策の調査、比較検討を行う場として適した環境にある。周知のとおり、沖縄県民は北の地の雪に憧れ、北海道民は冬に南国沖縄の暖かさを夢見ると言われている。いわばお互いが憧れの地の一つでもある。また、北海道は、「食と観光」に関連する政策にも力を入れており、沖縄との連携による新製品開発、販路拡大や物流経路の拡大などの可能性も広がっている。観光と経営を学んでいる学生にとっては、今後の政策を身近に考える格好の教材ともいえるロケーションである。本稿では、今回の研修の目的、内容、及び現地での活動と参加者のアンケートを整理し、政策課題でもある交流産業創出と産学連携によるイノベーションを促進するための社会人学生研修プログラム・デザインに向けた課題と方向性を議論している。
原勢, 二郎 Harase, Jirou
琉球大学短期交換プログラムは2001年発足し、学生交流協定を結んだ海外の大学の学生約20名を受入れ、単位互換制度の下に1年間英語による授業と、日本語教育を行う。本プログラムが提供する科目はすべて選択科目であるが、本プログラムの特徴である英語による授業科目は各学期4単位以上履修することを義務づけている。本プログラムに対する二期生の満足度は一期生のそれと比較してかなり向上した。二期生の満足度が向上した項目は一期生へのアンケート結果に基づいて対策を取った項目であった。残された主な課題は英語による授業科目の数を増やし質の向上を図ることである。しかしこれを直ちに実現するのは困難なので、学生が希望する課題について指導教官のもとで勉学・研究することを英語による授業科目とみなして単位を与えることで、単位取得の目的だけで希望しない英語による授業科目を履修することがないようにした。
国立国語研究所 The National Institute for Japanese Language
平野, 宏子 HIRANO, Hiroko
1節では,本研究が国立国語研究所共同研究プロジェクト「日本語教育のためのコーパスを利用したオンライン日本語アクセント辞書の開発」の一部であり,web辞書構築の土台となる韻律教育の効果を,紙媒体を使って検証してきたものであることを述べた。2節では,音声の特徴と,学習者の日本語らしい音声習得へのニーズの高さについて述べた。3節では,日本と中国で学習者の日本語音声に対する関心は高くても,音声教育が体系的に行われていないこと,従来の教科書には単音や語のアクセント型の記述はあっても,連語のアクセントや文のイントネーションの記述は少ないこと,しかし最近は韻律の重要性の認識が高まり,韻律学習を目的とした教材の出版が顕著に増えているが,現在のカリキュラムや教材の中で音声教育が自然に導入されることが理想的であることを述べた。4節では,中国語話者の日本語発話の韻律的特徴について述べた。中国語話者のピッチパターンでは,文節ごとの急峻なピッチの上下変動がみられ,音響的な意味のまとまりの形成を阻害すること,日本語にはないアクセント型が出現しやすいことを述べた。5節では,従来の音声教育の問題点を踏まえ,web辞書OJAD開発に関わる教育効果を検証するために,開発と並行して行ってきた紙媒体での音声教育の実践方法について述べた。6節では,音声教育実践の効果についてアンケート調査をもとに分析を行った。ゼロ初級からの音声教育は従来のカリキュラムを変更することなく行え,韻律視覚化教材使用によって教師と学習者間で音声に関して様々な気づきと対話が生まれ,教師は基準をもとに自信を持って指導することができるようになり,学習者は音声学習を負担に感じるよりむしろ面白いと答えた。7節では,教材のweb化,OJADの開発について紹介した。
古謝, 瑞幸 Koja, Zuiko
1.この研究は琉球の4-Hクラブの低調に影響を及ぼしている重要な教育的因子と社会的因子を究明することが主な目的である。2.この研究は主として43 人の全琉球の代表的な現および元4-Hクラブ員を対象として行なわれたアンケートの結果にもとづいている。3.この研究の調査期間は1966年7月から 1968年6月までである。4.次の9事項が重要な教育的因子として究明された。1)4-Hクラブのプログラムがプロジュクトに偏重して単調である。プロジェクトは4-H活動の中心ではあるが, プログラムは次代を担う公民育成の見地から総合的な幅の広いものにすべきである。そのためには, 補助活動, 一般活動を加えてバランスのとれたプログラムを樹立する必要がある。2)プロジェクトが農業の生産関係に偏重している。プロジェクトの目的は生産ではなく, 課題を解決する科学的態度の訓練である。プロジェクトの数や種類は各メンバーの興味と必要に応じ, さらに家庭や地域社会の実情に適合したものを選択することが望ましいが, それの選択の機会を豊富に与える必要がある。3)4-Hクラブに加入する年令が一般的に高い。43人の調査対象の中, 50%以上が20才過ぎてから加入している。学習効果とクラブへの定着性の観点から, 中学校を卒業した時点で, 勧誘に努力すべきである。4)4-Hクラブの年令的範囲が広い。そのために新入者が歩調を合わすのに困難をきたし, 中退するケースがある。その改善策として15才から20才までを普通の4-Hクラブ員とし, 21才から25才までを青年農業クラブ員として別々に組織すると効果的である。5)女子の4-Hクラブ員が非常に少ない。普通, クラブ員総数の20%以下である。琉球における家族主義農業と家庭および社会生活における女性の果す役割の重要性から女子クラブ員の増加は積極的に推進される必要がある。6)4-H普及員の制度がない。4-Hクラブの育成は農業改良事業, 生活改善事業と並行した普及事業の三大分野の一つである。現在それは農業改良普及員と生活改善普及員によって分担されているが, 専任の4-H普及員を設置することが望ましい。7)4-Hクラブの教材, 特にプロジェクト本の欠乏のために, プロジェクト活動に支障をきたしている。プロジェクト本は必要な分野からできるだけ多くの種類を設け, プロジェクトの過程に応じて希望者が何時でも得られるように準備しておく必要がある。
清水, 享 SHIMIZU, Toru
本報告は巍山地区における碑文調査の概要である。巍山地区の調査を実施するまでの経緯、生態史研究における碑文資料の有効性と拓本採取・写真撮影・抄録などの調査方法について簡述する。調査地域である巍山地域の地理的歴史的概況と調査日程、補充調査の経過について触れ、調査で収集した主要な碑文をその特徴なども含めて簡単に報告する。また拓本採取・写真撮影・抄録など調査を実施上のさまざまな問題点を整理し、今後の調査の効率化を目指したい。あわせて現地の碑文の保存に関する問題点にも言及し、碑文調査の緊急性を報告する。
牛窪, 潔 平良, 柾史 兼本, 円 大城, 郁寛
Ikehara, Atsuko Shayesteh, Yoko 池原, 敦子 シャイヤステ, 榮子
現在,アメリカ合衆国では,社会の移民の人口増加に伴い,学校教育における多文化教育の必要性が問われている。音楽教育においても,音楽を通しての異文化理解と国際理解の実践が提案されている。児童の異文化音楽に対する興味や関心は,多文化音楽教育を実践するにあたって重要な影響をあたえる。同様に,異文化音楽の指導方法を研究するのも必要である。当報告は,アメリカ合衆国の小学校第2学年の児童40名を2つのグループに分け,沖縄伝統音楽を教材とした多文化音楽授業を行い,そのなかで2種類の指導方法,1.受け身的鑑賞指導のみ 2.鑑賞に加えて,エイサー太鼓のダンス指導を取り入れた体験学習,を比べ,児童の異文化音楽における興味と指導方法に対する態度をアンケートによって採取したものである。結果は,2つの指導効果に有意差は見られなかったものの,両グループ共に異文化音楽に対する興味や関心を示した。受け身的鑑賞指導と体験学習については,継続的な指導のもとに,体験学習の指導効果が期待できると考えられる。
北村, 啓子 KITAMURA, Keiko
計算機による国文学研究支援の中でもパーソナル環境の支援として,研究材料を研究者の手元に配布することに取り組んだ。配布媒体としてはCD-ROMを選び,配布材料としては,(1)目録型データ(2)フルテキストデータ(3)マルチメディアデータの3種類に分けて,順次取り組んで行くことにした。(1)目録型データでは,高速インデックスサーチと高速表示を目的としてデ-タ構造を設計し,マイクロ資料目録データベースの評価版を作成した。また,試用者によるアンケートを実施し,その分析によると良好な結果が得られた。特に,ツールとしてはもちろんアイデアプロセッサ的な真の意味での研究システムとしての要素もあるという喜ばしい結果も得られた。(2)フルテキストデータでは,高速文字列検索のためにデータ構造を設計し,日本古典文學大系の中から6作品を選んでテスト版を作成した。またこの検索システムには,日本語固有の縦書き文化に合わせた縦表示機能を開発し組み込んでいる。(3)マルチメディアデータでは,4種類の実際の応用例について考察したのでその紹介を行う。
橋本, 雄太
国立歴史民俗博物館共同研究「中世文書の様式と機能および国際比較と活用の研究」(2016~2018年)の成果公開の一環として,中世文書資料のオンライン展示システム『日本の中世文書WEB』(以下,『中世文書WEB』)を開発した。『中世文書WEB』は文書画像の拡大・縮小表示に対応する画像ビューワーに加えて,読み上げ音声の再生とアニメーションによる翻字の強調表示機能を備えている。さらに利用者の情報交換を可能にするフォーラム機能を実装した。2020年1月8日のシステム公開後,1週間の評価期間中に5,000人を超える人々がWebサイトを訪問するなど,本システムを通じて中世の古文書に対して多数の人々が関心を寄せていることが明らかになりつつある。システムの利用者に対して実施したアンケートでは,音声読み上げとアニメーションを組み合わせたインターフェイスが,資料内容の理解に大きく寄与することが分かった。IIIF(International Image Interoperability Framework)をベースにした本システムは高い拡張性を備えており,機関横断型の古文書展示プラットフォームや,任意のWebサイトに組み込み可能な音声読み上げ対応のIIIFビューワーとして発展する可能性を備えている。
佐久間, 正夫 廣瀬, 等 Sakuma, Masao Hirose, Hitoshi
村上, 忠喜 Murakami, Tadayoshi
日本民俗学の資料である伝承そのものは,資料として批判することが困難である。それというのも,伝承資料自体の持つ性格と,伝承を取り出す際の調査者の意図や,調査者と伝承保持者との人間関係など,さまざまな因子に影響を受けるからである。フィールドワークを土台とする学問でありながら,資料論や調査論の深化が阻まれていたことは不幸であり,その改善に向けての具体策を模索していくべきである。伝承資料を批判することは,伝承資料の取り扱い方と,それを得る調査の現場を検証することに他ならない。本稿では,まず,「調査地被害考」を手がかりとして,その考え方の背景にある民俗調査観を批判し,その調査観に基づく調査を「黒子調査」と規定する。そして,「黒子調査」の功罪を,伝承資料の今後の民俗調査・研究にいかに活かすかについて,以下の2点を提言した。 ①伝承を(歴史)事実ではなく解釈とする見方を徹底することで,これまで集められた膨大な資料ストックを再検討し,伝承の成立やプロセスの意味を考察し,現在につながる生活文化の再構成を目指す。 ②調査地や被調査者と積極的に関与していくフィールドワークとそれに基づく事業を進める過程で,発生する地域からの様々なリアクションを分析対象に取り込むことにより,フィールドワークの方法論的蓄積と伝承資料批判についての用意を図る。
吉田, 安規良 中尾, 達馬 齊藤, 由紀子 福本, 晃造 吉岡, 由恵 比嘉, 源和 高田, 勝 翁長, 朝 山本, 暁 中村, 智映 田名, 俊仁 Yoshida, Akira Nakao, Tatsuma Saito, Yukiko Fukumoto, Kozo Yoshioka, Yoshie Higa, Genwa Takada, Masaru Onaga, Hajime Yamamoto, Akira Nakamura, Tomoaki Dana, Toshihito
本研究の目的は,2008年度から2015年度までの授業評価アンケートを用いながら,琉球大学教育学部理科教育講座が提供する「沖縄こどもの国における校外学習を用いた生活科科目」についての実践報告を行い,今後の生活科に関する科目のあり方について議論することであった。受講生324名は,総じて「小学校教諭を目指す大学生にとって沖縄こどもの国での校外学習を取り入れた生活科の教師教育実践は有意義である」と評価していた。また,自由記述の内容分析からは,沖縄こどもの国での体験(たとえば,ヘビが生きたネズミを捕食する様子の観察)を通して,受講生たちはこれらを直接教材にできるかどうかだけではなく,「教師の学びとしての重要性」や「自然との関わりを児童にどのように学ばせるのか」についても考えを巡らせているようで、あった。今後は,小学校第3学年以上で学ぶ理科の授業とのつながりを意識した授業内容や天候に依存しない授業内容を検討する必要がある。
吉田, 安規良 柄木, 良友 富永, 篤 YOSHIDA, Akira KARAKI, Yoshitomo TOMINAGA, Atsushi
平成22年度に引き続き、平成23年度も琉球大学教育学部附属中学校は「体験!琉球大学 -大学の先生方による講義を受けてみよう-」と題した特別講義を、総合的な学習の時間の一環として全学年の生徒を対象に実施した。「中学校で学んでいることが、将来どのように発展し社会や生活と関わるのか、また大学における研究の深さ、面白さを体験させる」という附属中学校側の意図を踏まえて、筆者らはそれぞれの専門性に裏打ちされた特別講義を3つ提供した。そのうちの2つは自然科学(物理学・生物学)の専門的な内容に関する講義であり、残りの1つは教師教育(理科教育学)に関するものである。今回の3つの実践は、「科学や学問の世界への興味、関心を高める」と「総合キャリア教育」という観点で成果が見られ、特に事後アンケートの結果から参加した生徒達の興味を喚起できたと評価できる。しかし、内容が理解できたかどうかという点では、全員が肯定的な評価をしたものから、評価が二分されたものまで様々であった。
朝日, 祥之 ASAHI, Yoshiyuki
本稿では,独創・発展型共同研究プロジェクト「接触方言学による『言語変容類型論』の構築」で企画・実施された調査研究の成果を紹介した。最初に,研究目的と実施された調査の設計を述べた。その後,研究期間中に実施された様々な調査のうち,北海道札幌市と釧路市で実施された実時間調査と愛知県岡崎市で実施された敬語と敬語意識調査で取り扱われた「道教え」場面調査の調査結果,ならびに国内4地点における空間参照枠に関する調査結果を取り上げた。また「言語変容類型論」構築の試案を提示し,その提示の方法,試案の有用性,反省点,今後の当該分野に関する展望を行った。
田島, 孝治 TAJIMA, Koji
街路の看板や張り紙に書かれた文字・言語が作り出す景観は言語景観と呼ばれ,言語学分野だけでなく,地理学,社会学など社会科学の諸分野で調査・研究が行われてきた。本稿では,著者が開発した調査用のツールを紹介すると共に,動作検証を目的として行った,神奈川県鎌倉市における「稲村ガ崎」の表記調査結果を報告する。開発したツールはスマートフォン用の調査ツールと,パソコン上で動作するデータ確認用のツールに分かれている。調査の道具としてスマートフォンを使うことで,調査結果の整理を簡単に行えるようになった。一方,ソフトウェアの処理結果は専用フォーマットになる部分を可能な限り少なくすることで,データの共有と再利用が容易になるように設計した。動作検証のための調査は約2時間行い,収集したデータは従来型の調査と比べ遜色ない結果を得られた。また,調査結果の分類作業が大幅に短縮されたためツールの有用性も確認することができた。
田中, ゆかり TANAKA, Yukari
文化庁国語課による『国語に関する世論調査』の平成7年度調査から平成10年度調査までの4回の調査結果に基づく報告を行う。報告は,各年度ごとの調査項目において被調査者属性が説明力を持たない/弱い項目を抽出することが中心である。被調査者属性が説明力を持たない/弱い項目とは,地域的・社会的属性などの「被調査者属性による偏りのない項日」ということになる。日本全国16歳以上の男女を対象とした無作為抽出による大規模な調査において,どのような項目が,「偏りを持たない」つまり,「衆目の一致する」項日に該当したか,ということを知ることは,今後の「共通語」あるいは「共通語」的認識を知る上で有効であると考える。典型的な「偏りを持たない」項目は,従来的な言語規範意識に関わる項目,従来「誤用/誤認識」「新形/新認識」とされてきたもののうちすでに「共通語」的位置にある項目,回答数が非常に少ないために偏りが抽出されない項目であることが分かった。また,項目と被調査者属性との関わりだけでなく,項目間における説明力を持たない項目の抽出も行った。
竹田, 晃子 三井, はるみ TAKEDA, Koko MITSUI, Harumi
国立国語研究所における「全国方言文法の対比的研究」に関わる調査資料群のうち,調査I・調査IIIという未発表の調査資料について,調査の概要をまとめ,具体的な言語分析を行った。調査I・調査IIIは,統一的な方法で方言文法の全国調査を行うことによって,方言および標準語の文法研究に必要な基礎的資料を得ることを目的とし,1966-1973(昭和41-48)年度に地方研究員53名・所員4名によって行われ,全国94地点の整理票が現存する。具体的なデータとして原因・理由表現を取り上げ,データ分析を試みることによって資料の特徴を明らかにした。3節では,異なり語数の比較や形式の重複数から,『方言文法全国地図』が対象としなかった意味・用法を含む幅広い形式が報告された可能性があることを指摘し,意味・用法については主節の文のタイプ,推量形への接続の可否,終助詞的用法の観点から回答結果を概観した。4節では,調査時期の異なる他の調査資料との比較によって,ハンテ類の衰退とサカイ類の語形変化を指摘した。「対比的研究」の調査結果は興味深く,現代では得がたい資料である。今後,この調査報告の活用が期待される。
清水, 享 SHIMIZU, Toru
本報告は中国雲南省紅河州、文山州における碑文調査の概要である。生態環境史研究における碑文調査の有効性と雲南省南部の紅河州と文山州の調査を実施するまでの経緯を簡述する。調査地域の紅河州、文山州の地理的歴史的概況に触れ、調査日程と調査した碑文について、その概要を含め簡単に報告する。また、生態史に関わる碑文の現状を碑文の立地と保存情況および碑文と村落との関わりについて封山護林碑、水利碑、民約碑に分けて概観し、村落内における碑文の価値、文物としての碑文の保護について論じる。
岡﨑, 滋樹
本稿は、「畜産」と「台湾」という視点から、戦前農林省による資源調査活動の実態に迫り、政策との関わりによって調査の性格が如何に変わっていたのかを明らかにした。これまでの満鉄や興亜院を中心とした資源調査に関する研究では、調査方法そのものについて詳細な検討が進められてきたが、その調査がいかに政策と関わっていたのかという部分は検討の余地が残されていた。したがって、本稿では、まず調査を左右する政策立案の実態を検討し、その政策が調査に対して如何なる影響を与えていたのか、調査報告が如何に政策に左右されていたのかという、当時指摘されていた「政治的」な調査活動の側面に注目した。 農林省が1934年5月に台湾で行った馬事調査は、台湾馬政計画の実施を見据えたものであり、実際の調査の主目的は、農林省から台湾総督府へ政策協力を依頼することにあった。政策を立案するために台湾の状況を視察することは副次的なもので、本調査で最も重視されたのは台湾総督府が如何に帝国馬政計画に参画してくれるのか、その意思確認であった。調査を担当した農林省佐々田技師による報告書は、既定の政策方針に合うように現地の様子が記されており、条件付きで今後の見通しを期待するような、巧みな文書構成が目立った。 また、本報告書は政策決議を問う調査会で参考資料として配布されるが、農林省の官僚をはじめとして、他の政府委員たちも全く関心を示すことなく、誰一人としてその報告書について発言する者はいなかった。まさに形式的に立案資料を残しただけで、それを参考にして政策を構想していくというものではなかったのである。 かかる政府内の動きは、戦前日本の政策立案過程の一端を示しており、官庁職員の行動規則と伝統的な作業方法は、政策立案と調査活動に重大な影響を及ぼしていた。調査活動を見る場合は、特に「政治的」な側面に注意する必要があり、資源獲得を見据えた対外調査なのか、あるいは政策協力を求める役人の出張であったのかは区別しなければならない。台湾馬事調査は、まさに既定の政策方針に左右され、資源調査という名目で実は政策協力を求めるための出張であったという、官庁職員の業務実態を示す典型例であった。
安里, 剛 下地, 敏洋 Asato, Tsuyoshi Shimoji, Toshihiro
米盛, 徳市 新里, 里春 中里, 治男 Yonemori, Tokuichi Shinzato, Rishun Nakazato, Haruo
本調査研究は、第1報を踏まえて3年次実習生の実習の意識を4年次との比較でもって特徴を明らかにすることとした。対象は平成2年10月に附属学校で教育実習2を終了した本学部3年次学生である。調査は平成2年12月の事後指導の時限に参加者全員に実施した。調査に協力した学生は、小学校課程男子17名、女子59名、中学校課程男子11名、女子15名であった。調査用紙は第1報と同一のものを用いた。質問項目は第1報を参照。調査は学生に調査目的を述べ、了解を得た上で無記名で実施した。
千田, 嘉博 Senda, Yoshihiro
中世城館の調査はようやく近年,文献史学,歴史地理学,考古学など,さまざまな方法からおこなわれるようになった。こうした中でも,城館遺跡の概要をすばやく,簡易に把握する方法として縄張り調査は広く進められている。縄張り調査とは地表面観察によって,城館の堀・土塁・虎口などの防御遺構を把握することを主眼とする調査をいう。そしてその成果は「縄張り図」にまとめられる。このような縄張り調査は,長らく在野の愛好家によって支えられてきたため,調査の基準が不統一である。そこで本稿では,縄張り調査の意義と方法を具体的に検討した。その結果,縄張り調査は測量調査や発掘調査がおこなわれる前の,仮説的な作業としてすべきであることを示した。縄張り調査と測量・発掘調査はそれぞれ段階の違う,補い合う調査だと位置づけられる。つぎに,基準となり得る縄張り調査の方法を提示した。ここでは正確な地形図をベースに作図すること,簡易測量器や歩測などで測距を必ずすること,遺構理解のポイントになる虎口などを詳細に観察することを述べた。また成果図面の浄書など作業は,考古学の手法に従ってすべきことを述べた。そして縄張り図を地域史解明の史料として活用する方法として,織豊系城郭の虎口を中心にした編年を事例に,考え方と作成のプロセスを示した。これからの縄張り研究は,城館研究を推進するさまざまな他の研究方法との協業を,一層推進しなくてはならない。その中で縄張り調査は,城館の防御性から中世社会を解明するという視点を,より鮮明にして研究を深化させるべきである。それがはじまりつつある,総合的な城館研究の中で,縄張り研究が果たすべき役割である。それぞれの研究分野から,異なる城館像を出し合い,討議することで,多様な面をもつ中世城館は,はじめてその姿を現わすであろう。
宮島, 達夫 MIYAJIMA, Tatsuo
国立国語研究所は創立当初から統計的な語彙調査をめざし,新聞・雑誌・教科書・テレビ放送など各種の資料について大規模な調査を行ってきた。それは統計的処理の面で先進的なものだったが,最近の英語圏の調査にくらべると代表性・規模などで問題がある。一方,大量の現代語用例にもとづく記述も国立国語研究所が開拓したものであり,現在開発中の1億語コーパスは,語彙調査と実証的記述の伝統を発展させるものとして期待できる。
齊藤, 由紀子 富永, 篤 杉尾, 幸司 Saito, Yukiko Tominaga, Atsushi Sugio, Koji
中尾, 七重 坂本, 稔 今村, 峯雄 永井, 規男 西島, 眞理子 モリス, マーティン 丸山, 俊明 Nakao, Nanae Sakamoto, Minoru Imamura, Mineo Nagai, Norio Nishijima, Mariko Morris, Martin Maruyama, Toshiaki
放射性炭素年代測定を用いた住まいの建築年代調査において,庶民住居である民家と上層住宅の¹⁴C年代調査法の比較研究を行った。民家3棟と住宅4棟の事例報告を行い,年代調査の目的と,¹⁴C年代調査に適した部材選択の条件について検討した。¹⁴C年代調査は,民家では建築年代に30年程度の幅を持っていても民家研究に有効である。一方住宅では,由緒につながる建築年の是非を明らかにすることが要求される。このように,民家と住宅では目的や意義が違うため,要求される年代の性質が異なることが分かった。そして目的に沿った部材選択をすることで,民家に対しても,住宅に対しても効果的な結果の得られることが判明した。民家の辺材や皮付きの用材や,芯持ちで年輪幅の大きい用材は¹⁴C年代調査に適しており,古材や前身建物の再利用材を見分けて部材選択を行うことが重要である。住宅の年輪幅の狭い四方柾の用材は¹⁴C年代調査に不適であり,小屋材など辺材や皮付きの用材を選択するのが良い。また数寄屋で用いられる面皮や白太の部材は¹⁴C年代調査に適している。このように,民家と住宅で,調査目的に対応した部材選択や年代考察の方法を明らかにした。
吉田, 安規良 和氣, 則江 武田, 昌則 田中, 洋 下地, 敏洋 西山, 千絵 横井, 理人 Yosihda, Akira Wake, Norie Takeda, Masanori Tanaka, Hiroshi Shimoji, Toshihiro Nishiyama, Chie Yokoi, Masato
「チームとしての学校」には,専門スタッフと協力,連携,協働しながら複雑化,多様化,困難化している学校をとりまく課題に最前線で立ち向かう中核的人材たる教員が必要となる。教職大学院での中核的人材の育成の在り方を検討するために,琉球大学の教職大学院の授業科目「学校安全管理」の中で,法科大学院及び医学部保健学科の教員による特別授業を2回実施した。特別授業は,受講者(3人)が専門家から学びたいことに担当者が答える形で構成した。学期末に実施した授業評価アンケートの結果から,受講者は方法,内容両面で肯定的に評価し,「学校安全管理」の授業に総合的に満足していた。「事前の準備がきちんとできている」という状況の重要性を受講者が再確認できたこと,「受講者に知らないことがありすぎる」ことを授業担当者が把握できたことが成果として挙げられる。教員は学習指導や生徒指導の専門家として,それ以外についてはその分野の専門家を頼ることが中核的人材に必要であり,専門スタッフ側も学校教育に特化した高度で専門的知識や経験を有した上で,学校文化についての深い理解が不可欠である。こうした必要な資質・能力の育成には,専門的な学びの質や量,経験,立場が異なる者が交わる合同授業の実施が考えられる。
松林, 公蔵 奥宮, 清人 石根, 昌幸 鈴木, 健太郎 酒井, 茂樹 石森, 綾子 臼田, 加代子 MATSUBAYASHI, Kozo OKUMIYA, Kiyohito ISHINE, Masayuki SUZUKI, Kentaro SAKAI, Shigeki ISHIMORI, Ayako USUDA, Kayo
2004年2月の一次調査で、ラハナム村在住高齢者の包括的機能評価を含む医学調査を行い、高血糖や貧血を有する高齢者の頻度が高いことを報告した。今回の調査では、ソンコン郡の中心部のパクソン住民に対し、同様の調査を行い、疾患、生活機能と環境の違いについて、ラハナム住民と比較分析を行うとともに、ラハナムとパクソンの高血糖に対し、経口ブドウ糖負荷テストによる、糖尿病の正確な疫学調査を施行し、インスリン分泌能と反応性の分析や経済調査との関連から、発症原因について考察した。糖尿病その他の疾患に関する、住民と現地医療従事者への情報提供を実施した。高血糖の有無による、合併症の発症や死亡に対する予後を今後追跡していく必要がある。
西村, 慎太郎 NISHIMURA, Shintaro
本稿は記録史料群の整理・調査方法のうち、段階的整理に則って行われる概要調査あるいは現状記録の方法を振り返り、現在的な課題の中でどのような考え方や方法に基づくべきかを提示するものである。但し、ここでは文書館・博物館・図書館などの資料保存機関に収蔵されている記録史料群ではなく、個人住宅などの民間に所在する資料を対象としたい。最初に概要調査と現状記録の理念について、研究蓄積を振り返り民間所在資料を扱う場合のスタンスについて私見を述べる。次に概要調査と現状記録についての実際の方法について検証する。概要調査にしろ、現状記録にしろ、1980年代に提起されて以降見直されていないため、方法の検証が必要であるものと思われる。次に民間所在資料で求められる概要調査と現状記録の考え方と方法についての筆者の考えを述べ、デジタルカメラを多用する方法を提起する。また、実験段階ではあるがiPadを用いた方法も提起する。
中野, 洋
語彙についての統計的法則がある。本発表では、国立国語研究所が行った9つの語彙調査を用いて、異なる内容の調査対象間にも共通に存在する語彙とその使用率の関係について述べる。使用率の大きい語彙は、そのほとんどが他の調査にもよく用いられる。共通度の分布図によっても「高頻度語彙」と名付けてよい語彙の存在が確認できた。しかし、その中にもその調査対象の特徴語彙とも言える語彙も含まれている。一方、使用率の小さい語彙にも他の調査に用いられる語彙が存在する。これらの語彙は、具体的な内容をともなうものであり、語彙教育の対象となる重要な語彙といえる。使用率と語彙の関係の解明は、言語教育や辞書作成における語彙の選択法の開発に貢献する。
野山, 広 NOYAMA, Hiroshi
本稿では,独創・発展型共同研究プロジェクト「定住外国人の日本語習得と言語生活の実態に関する学際的研究」で企画・実施された縦断調査研究の成果を紹介した。最初に,研究目的と実施された調査の設計(方法・姿勢等)について述べた。その後,研究期間中に実施されたさまざまな調査のうち,秋田県A市で実施された調査結果と群馬県B町で実施された調査結果を取り上げた。また「話し合いの場(多人数会話の場面)」作りの試案を提示し,その提供の方法,試案の有用性,反省点を示した。最後に,今後の当該分野に関する課題の提示や展望を行った。
藤原, 幸男 津田, 正之 平田, 幹夫 蔵根, 美智子 久高, 友明 Fujiwara, Yukio Tsuda, Masayuki Hirata, Mikio Kurane, Michiko Kudaka, Tomoaki
池口, 明子
本稿では、2005 年度におこなった村落世帯悉皆調査について、その研究視点と方法、今後の課題を述べた。近年、自然環境の利用の変化を分析する方法として、世帯調査の重要性が増している。とくに、世帯を均一な社会単位としてではなく、年齢・性やその文化的理解の構成を捉える視点が重要視されつつある。今後の課題として、本調査をもとに多様な資源利用の実態を把握し、その世帯経済におけるその位置づけや世帯差を明らかにすること、そのうえで、2006 年度の資源利用活動調査を進めることをあげた。
津波, 高志 稲村, 務 Tsuha, Takashi Inamura, Tsutomu
民俗調査は人々の「声」の調査であり、生活の実態についての複合的な調査である。しかし、これまでのデータベースはそれぞれの声を文脈がわからない程に分解し、統合するという過程であり、「声」にとって一番重要な文脈を保存できておらず、複眼的な比較もできなかった。本稿ではICレコーダーとコンピュータソフトを使い、従来にないWeb型のデータベースの構築を提唱する。そうすることによって、民俗語彙、視覚情報、個々人の声、研究者の仮説とを有機的にリンクさせたデータベースの構築が可能になることを、奄美諸島の中の与論町における墓地にかんする調査のデータ化と大和村における人々の植物に対する認識のデータ化の事例を用いたデータベース構築を例として示す。
王, 怡人 金丸, 輝康
本稿は,中小製造企業の情報発信の実態に関する質問票調査の結果を整理したものである。中小企業は大手広告代理店を利用しないため,メディア利用状況と情報発信の実態は把握されにくい。その実態を把握するために,中小製造企業に焦点を当て,「メディアの利用状況」,「発信される情報の内容」,「消費者や取引相手(顧客)の反応」という 3 つのカテゴリーにわけて質問票調査を行った。調査結果の詳細を以下に記す。
木田, 歩 KIDA, Ayumi
人類学・民族学における学術的資料が、2000 年に上智大学から南山大学人類学博物館に寄贈された。これらは、白鳥芳郎を団長とし、1969 年から1974 年にかけて3 回おこなわれた「上智大学西北タイ歴史・文化調査団」が収集した資料である。本報告では、まず、調査団の概要について、白鳥による研究目標をもとに説明し、次に寄贈された資料を紹介する。最後に、今後の調査課題と研究の展望について提示する。
前川, 喜久雄
国立国語研究所が山形県鶴岡市で収集した共通語化調査データのうち第1~3回調査の音声項目データを用いて、方言音声共通語化過程の統計モデルを構築した。既に報告した第1回調査データと同様、第2回・第3回調査データも二項分布に基づくロジスティック回帰モデルを適用するには分散が大きすぎる(過分散状態)。そのため、ベルヌーイ分布の成功確率が種々の要因によって変動するベイズモデルを考案した。7種のモデルの性能をF値・平均予測誤差・WAICの三者で評価した結果、回帰直線の切片が話者と語彙の要因によって変動し、傾きが語彙の要因によって変動するモデルが良モデルとなった。このモデルのF値は0.95に達しており、強い説明力を有している。さらにこのモデルにおける話者の個体性情報を「性別・言語形成地域・教育歴」の情報で置換したモデルを評価したところ、第2・第3回調査データについては、良モデルとほぼ同等の性能を発揮するものの第1回調査については性能がかなり低下することが判明した。
井上, 史雄 INOUE, Fumio
国立国語研究所がこれまで半世紀以上にわたって継続した調査のうち,岡崎敬語に関して成果を報告する。調査の回答(反応文)の長さを出発点にする。3回の調査結果のグラフの線がこれまで観察されたことのないパターンを示したので,まずその位置付けについて論じる。そのあと敬語関連現象のグラフに解説を加え,相互の論理的つながりについて考える。これまで岡崎の「ていただく」や「丁寧さ」の分析を進める際に,反応文の長さが問題になった。調査次とともに長くなるが,若い人は短い。時勢とともに「ていただく」が増え,丁寧さを示す表現が増えたから,回答文が長くなったと考えられる。敬語の成人後採用と深い関係が認められる。
戸邉, 優美
本稿では,全国的に実施された民俗資料緊急調査の共通の調査票「民俗資料緊急調査票」を手掛かりとして,当時の日常的な麦食の実態を明らかにするとともに,高度経済成長期の食生活とその変化について検討する。埼玉県教育委員会は,昭和52~53(1977~78)年度に「埼玉県民俗文化財分布調査」を実施し,調査地点150カ所の調査票を作成した。この調査票の記述に基づき,戦前まで全国的に主要な麦作地帯だった埼玉県の食生活について,粒食と麺食という主食の側から分析した。調査票が対象としている大正時代から昭和初期にかけて,粒食は米に大麦を混ぜて炊いた麦飯が一般的だったが,その配合は地域により異なり,台地上や山間部など水田耕作の不向きなところでは麦が優位となっていた。また,麺食は茹で上げるウドン系と煮込むオッキリコミ系に分けることができ,主に夕食として食べられ,日常的な麺食は県中央から県北,秩父地方で顕著だった。ただし,ハレの日の食事としては全県的に食べられていた。大麦・小麦の生産,製粉の効率,麺食の日常性等の違いによって,日々の麦食に地域性が生まれていたことが分かった。こうした麦に支えられた食生活は,大麦・小麦の生産量の減少とともに,高度経済成長期に姿を消す,あるいは食卓にあがる機会を減らしていった。その一方で,ハレの食事とされてきた麺食は,外食によって手軽に食べることができるようになり,地域性のある身近な食事として浸透していった。
西内, 沙恵
多義語のプロトタイプ的意味の認定には、意味的出現の高頻度・想起の容易さ・用法上の制約の少なさ・歴史的出現の順序・習得段階など、様々な手法が提起されている。本研究では、意味の移り変わりを前提とした、再調査可能なデザインの量的調査による認定手法を提案する。調査では、多義的形容詞の実例と脱文脈化した語の類似度を調べ、その結果に基づいてプロトタイプ的意味の認定を行う。発表では、この手法の妥当性を多角的に検討する。
横山, 詔一 笹原, 宏之 エリク, ロング 谷本, 玲大 YOKOYAMA, Shoici SASAHARA, Hiroyuki ERIC, Long TANIMOTO, Sachihiro
新聞漢字調査について,豊島(1999)の論考を羅針盤としながら国内の状況を概観し,今後の調査に資する視点の設定を日指した。おもに新聞記事を電子化する際に原紙と電子化テキストの間で齟齬が生じる背景を考察し,メディア変換に伴って必然的に発生する諸問題の整理を試みた。そして,以下の提言を行った。将来,独立行政法人・国立国語研究所が新聞漢字調査を実施する場合は,調査精度と費用のバランスという観点から,大量の原紙を研究所側で電子化する作業は避けつつ,また外部から購入した電子化テキストを無批判に受け入れることもないよう,新聞社等の協力を得ながら原紙の組版に使用された文字データを分析するのが望ましいと考える。
笹原, 宏之 小沼, 悦
国立国語研究所言語体系研究部第三研究室では、1994年度に刊行された月刊雑誌を対象に、標本抽出に基づく用字・表記の大量調査と、それに対する研究を実施している。また、日本語の名詞の一角を占める固有名詞の用字・表記について、笹原は科学研究費により日本全国の地名の全数調査とスカウト式用例採集調査に基づく研究も行っている。それらの概要をまとめておく。
横山, 詔一 YOKOYAMA, Shoichi
言語変化の経年調査データから将来の言語変化を数量的に予測するモデル(横山・真田2010)について紹介した。このモデルは「臨界期記憶+調査年効果 → 共通語化」という図式にしたがって共通語化を説明・予測する。国立国語研究所が山形県鶴岡市を定点観測フィールドとして経年的に約20年間隔で過去3回実施した共通語化調査の大量データを,このモデルで解析した結果,アクセント共通語化などにおいて予測値と観測値が精度よく一致することが示された。
ザトラウスキー, ポリー SZATROWSKI, Polly
本研究は,食べ物を評価する際に用いられる「客観的表現」と「主観的表現」について考察する。そのために食べ物を評価する語句が,語句のみの場合(調査A),食べ物を評価する語句が,文脈なしの発話に置かれた場合(調査B),食べ物を評価する語句が,実際の会話で用いられた場合(調査C)のそれぞれにおいて,その語句/発話が肯定的/否定的な意味を持つかどうかの3種類の調査を行った。資料は試食会のコーパスから取った,20代の女性3人が3つのコースからなる食事を食べながら話している実際の試食会の会話を録音・録画したものである。調査Aでは語句のリスト,調査Bでは(調査Aの語句が含まれている)文脈から切り取った発話のリストをもとに,それぞれの語句や発話が肯定的か否定的かを5段階で被験者に判断してもらった。調査Cでは(調査Bの発話が入っている)試食会のビデオを見せながら,被験者にビデオの参加者が評価していると思う発話に対して,それらが肯定的か否定的かを会話の文字化資料に+,-で記してもらった。その結果,いわゆる客観的な語句であっても,個別の語句もその語句が含まれた文脈なしの発話も肯定的/否定的な意味を持つこと(調査A,B),それが試食会の会話の場合では一層顕著であること(調査C)が分かった。このように,いわゆる客観的な語句で主観的な好みが示される。そして試食会の相互作用の中での使用を分析した結果,参加者は食べ物に関する知識と過去の経験との比較に基づいて評価すると同時に自分のアイデンティティを見せ,ほかの人との意見・考えの異同を確認し合い連携し,親疎の人間関係を作ること,食べ物の評価は動的に作り上げられ,時間とともに展開し,変わっていく社会的な活動であることが確認された。「客観的表現」と「主観的表現」は,従来の意味論の研究においては語句中心か文脈なしの文で考察されてきたが,実際の様々な種類の談話の相互作用の中で考察する必要がある。本研究は,食べ物を評価する形容詞等の意味に関する研究,異文化間の理解,食べ物に関する研究にも貢献できるものである。
後藤, 雅彦 主税, 英德 仲程, 祐輝
本報告は、2023年度に実施した琉球大学考古学研究室の研究活動として、①久米島銭田貝塚周辺の調査、②久米島の蔵元跡の研究、そして大学院生の実施した③台湾調査について報告する。
速水, 融
日本における第一回の国勢調査は、大正九年のことで、主要工業国のなかでは最も遅く始まった。しかし、全国的人口統計は早くから行われ、徳川時代においてさえ、幕府は、享保六年から弘化三年の間、六年に一回、国ごと、男女別の人口調査を行っている。 明治維新以後、政府は新しい戸籍制度を確立した。早くも明治元年に、京都に新しい方式の制度を試みているが、これは、その地から、維新の指導者を輩出した長州藩において実施されていた方式を取り入れたものである。政府は、明治二年から四年にかけ、新しい戸籍調査を東京その他で試みているが、最終的に、明治五年、新戸籍制度が日本全国に実施された。しかし、この制度は、個人個人を、本籍地で登録するものであり、儒教的イデオロギーに基づくものである。 他方、杉享二のように、徳川時代の末年に蘭学を学んだ官僚は、この戸籍制度は、人口調査と全く違うものである、ということを知っていた。杉は、統計寮の長として、国勢調査の必要を政府に進言し、明治一二年に、山梨県を対象とする国勢調査型の人口調査を実施した。しかし、明治一四年の政変によって、薩長主導の政権が出来ると、杉は政府内に支持者を失い、彼の統計寮自体も廃止されてしまった。 しかし、政府は、明治一三年以降、戸籍に基づく人口統計を編纂している。統計の書式は度々変わったが、第一回の国勢調査まで、毎年刊行された。最近、それらは筆者自身によって監修編纂され、複製版で刊行され始めている。そのなかには、たとえば明治一九年の統計のように、各府県ごとに各歳別に、配偶の有無を調査した重要な統計も含まれている。
鄭, 毅
「満鉄調査研究資料」は、南満洲鉄道株式会社が、中国東北部を対象に行った長期的かつ大規模な調査の成果であり、日本植民地時代の「満洲文化遺産」として極めて重要な資料である。こうした資料が蓄積された背景として、「調査」「学術」「帝国」という三つの視座の存在を指摘することができるだろう。現在ではそのほとんどが中国の図書館と公文書館に所蔵されている。1950 年代から中国の研究者たちはその価値を認め、整理と研究に取りくみ、実りの多い成果を成し遂げた。
矢内原, 忠雄
ポナペ島視察箇所及び調査質問事項 今泉分類では1冊とかかれているが、状態はバラである。
髙橋, 美奈子 渡真利, 聖子 平良, ゆかり
本調査では,「外国人児童生徒のための JSL 対話型アセスメント DLA」(文部科学省 2014)で作成された JSL 評価参照枠<全体>をもとに,日本語指導が必要な児童生徒の状況を把握するための調査票を作成し,沖縄県内で比較的日本語支援体制が整備されている北谷町のすべての学級担任を対象に,自身の学級内の外国につながる児童生徒ならびに彼らの学級参加と日本語力を調査した。結果として,学級担任は,文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成 30 年度)」結果の 3 倍以上もの児童生徒に日本語指導等の特別な指導が必要だと認識していること,さらにそのうちの三分の一以上の児童生徒は無支援状態であることが明らかとなった。本調査により, 無支援状態の児童生徒ならびに学級担任の把握と実際の取り出し指導の差に当たる児童生徒については,DLA を実施して支援の要否や支援内容を正確に測る必要性が示唆された。
Till, Weber Katja, Weiner ティル, ヴェーバー カーチャ, ヴァイナー
ドイツは多文化の国で、様々な国籍を持つ人々が共に暮らしている。ドイツ全土では、16,9%がいわゆる移民の背景を持つ住民で、この割合がミュンヘンのような大都市では 30%を超えている。この実情は、もし今日のドイツ社会の実像をランデスクンデの立場から伝えることを目的にするのならば、日本の大学で使用されているドイツ語の教科書の中で反映されるべきではなかろうか。筆者達は、アンケートによってドイツあるいは日本において出版された、初心者用のA1レベルのドイツ語教科書のうち、最も頻繁に使用されている教科書を5冊ずつリスト・アップした^24。 これらの教科書の中で、非ドイツ人である登場人物が教科書の中で果たす役割について調査した。考察の結果、その役割は三つのカテゴリーに分類される:(1)言語構造の伝達者としての役割。学習者にドイツ語の言語的構造を伝えるが、ドイツの日常や素性は伝えない。(2)情報の伝達者としての役割。学習者にドイツでの日常生活を通じて、実用的な指針を与える。例えば、どうすれば部屋を借りることができるのか、銀行口座を聞くことができるのか。このカテゴリーの登場人物は、自分自身に関する個人的な情報をより多く提供する。(3)文化の伝達者としての役割。自分自身と自分の故郷の文化を前面に出しているものの、ドイツ人社会に統合されている。単に言語構造や事務的な情報のみならず、例えば家族生活での現代の役割分担と言った価値や考え方も伝えている。ドイツで出版された5冊の教科書では、数多くの非ドイツ人の登場人物が、上記の三つのカテゴリーすべてに言及している。特徴的なのは、架空のドイツ語コースである。最初に様々な国出身の参加者達が紹介されている。その際、,,studiod“のような比較的古い教科書では、A1レベルの初心者である彼らが、複雑で誤りのないドイツ語を話し、CDでも訛りのないドイツ語となっている。これは明らかに実情とは異なっている。これに対し、,,Schritte International"のような教科書では、実験的に訛りのあるドイツ語が使用されている。以上のことから、多くの教科書執筆者らはドイツ社会の多様性を、非ドイツ人を通じて紹介していると言えよう。この努力が、今回調査した日本の教科書では欠けている。ドイツ語圏出身でも、日本出身でもない登場人物はごく稀であり、しかもカテゴリー1の言語構造の伝達者である。その代わりに、数多くの日本人の登場人物が、教科書の中でドイツ語の母語話者に出会う。これにより、ドイツという国は同種の、長い間そこに居住したドイツ人のみが住む国という誤ったイメージが生じてくる。恐らくこれは、自分の国は同種の、しかも言語・文化的にも統一された一つの国であるという日本人の自己認識の鏡像なのであろう。日本入学生を対象としたドイツ人のステレオタイプに関する最近の研究 (Grünewald 2005, Sato-Prinz 2011) は、ドイツ語の教科書は、学生達がドイツについて実際のイメージを描き、それを通じて学生達にインターアクションや滞在の準備をさせるのに寄与する代わりに、単に古いイメージを再生産し、それを強調しているにすぎない、と警鐘を鳴らしている。
平山, 琢二 小倉, 剛 須藤, 健二 上原, 一郎 比嘉, 辰雄 向井, 宏 大泰司, 紀之 Hirayama, Takuji Ogura, Go Sudo, Kenji Uehara, Ichiro Higa, Tatsuo Mukai, Hiroshi Otaishi, NoriYuki
本調査では、沖縄県の八重山諸島にある西表島の道路交通手段が絶たれている西岸について海草の生息状況、種類およびその分布について行った。調査地は、沖側から水深が5m程度になる付近から岸側に向かって干出する所まで行った。調査は基本的に沖側から岸側に向かってトランセクト状にスノーケリングで行ったが、水深が浅く、船上から海草が確認できる場合にはマンタ法や船上から行った。今回調査した西表島西岸の海草藻場は、沖縄島の嘉陽海岸で調査した海草藻場と比較すると非常に海草の繁茂および被度が高く、広大で比較的良好な藻場であったことから、南西諸島海洋の生物多様性の面からも非常に重要なものと推察される。また、仮に八重山諸島においてジュゴンの個体群の復活がはかられた場合、ジュゴンにとって極めて豊富な餌資源を現在でも擁していると思われる。
筒井, 聡史 TSUTSUI, satoshi
本稿では、高知県立高知城歴史博物館の地域資料の保存や調査に関する4 つの活動事例を紹介し、そこから見える当館および高知県における地域資料問題の課題を検討した。高知県において、急速に進む過疎高齢化を起因とする地域社会の衰退・消滅は、その地で展開した歴史や特色ある文化の消失にも繋がりかねない。このような地域が抱える現在的課題に積極的に関わり、地域の歴史文化を活かした活動を展開していくため、当館には「地域振興・観光振興への寄与」という使命が課せられている。使命を実現すべく、当館では現在(1)地域資料の保存等に関する相談窓口の設置、(2)旧役場に伝わった行政文書の保存・調査、(3)地域の歴史を資料調査の結果も含めて1冊にまとめた記録集の作成、(4)地域住民が主体的に行う資料保存・調査への協力等、地域の歴史文化の裏付けとなる地域資料の保存・調査に重点を置いた活動に取り組んでいる。しかし、県全域の地域資料の所在確認や保存管理、調査結果の公開には、相当の時間と労力が必要であり、単館で完結できるものではない。地域資料の保存・調査を広く進めていくためには、博物館だけでなく行政や住民等の地域資料に関わる人たちが連携し、県全体の活動にしていくことが必要であろう。先人より受け継がれてきた歴史や文化、そしてそれを継承していこうとする「今」をいかに考えるか。それが地域の未来を改めて考えることに繋がるのではないだろうか。
山田, 貞雄 中山, 典子
明治初期刊行の英和辞書を資料として,漢語訳語の網羅的調査結果の電子化モデルを作成し,分析を可能にした。また,フリガナつき対訳訳語資料『英和字彙』の訳語について網羅的調査と分析をすすめた。
大城, 賢 宮里, 征吾 石川, 瑞起 小笠原, 剛士 Oshiro, Ken Miyazato, Seigo Ishikawa, Mizuki Ogasawara, Tsuyoshi
島村, 直己 SHIMAMURA, Naomi
一つ一つの語について児童・生徒の理解程度を調査するのに,児童・生徒にそれらの理解程度を評定させるテストを行うことが多い。本稿は,このようなテストの信頼性・妥当性,理解程度の段階数,1回のテストに提出する語の数を検討することを目的として行った調査の報告である。
照屋, 晴奈 田中, 敦士 Teruya, Haruna Tanaka, Atsushi
本研究は沖縄県内の特別支援学校の学校図書館の現状を、1.学校図書館としての業務、2.特別支援学校の学校図書館機能、3.学校図書館としての役割の3つの視点から明らかにすることを目的とし、宮古特別支援学校、沖縄盲学校、沖縄ろう学校の3校に対し実態調査を行った。その結果、司書教諭の配置、図書館業務は学校司書が中心であること、圧倒的な予算不足、司書教諭発令に関する基準との矛盾、学校現場の実情と負のスパイラル等が明らかとなった。本研究により、現在、全国で行われている学校図書館を対象とした調査である、文部科学省実施の「学校図書館の現状に関する調査」と、全国学校図書館協議会実施の「学校図書館調査」では明らかにすることができない学校図書館を取り巻く現状や課題が明らかとなった。
中筋, 由紀子 Nakasuji, Yukiko
本論考は,先祖祭祀をめぐるインタビュー調査において,筆者が出会った二つの異質な場における「語り」のあり方を分析することによって,調査対象となるフィールドにおける,「語り」の構造とその変容について考察するものである。筆者が出会った二つの語りの場とは,一つは,愛知県の中山間地農村におけるもの,もう一つは,東京都世田谷区におけるものである。二つの語りの場の違いは,家の先祖祭祀という同じ話題を,ムラで共有された記憶の一環として位置づけるか,個人的・私秘的な問題ととらえるか,という点にあると考えられた。筆者は,このような調査対象の語り方の違いに対応した調査技法について考察するに当たって,社会学者福武直が,農地改革後の農村で行った調査に着目した。それは,インタビューによる村落構造の調査と,標準化された質問紙による態度調査,という二つの方法の併用による調査である。福武の構造分析は,ムラの一員となることで最もよく知ることができるような,共有された知識としての村落の構造の調査,すなわち前者に立脚する。一方,それから一応は独立したものとしての,個人の利害や意見を尋ねる後者の態度調査は,農村民主化の未来を示唆するものとして位置づけられていた。福武の調査は,村落内に異質な二つの語り方が共存することに対応した,二つの調査法を併用したものであるが,筆者は,こうした語りの多層性に着目した研究として,さらに民俗学者宮本常一の『忘れられた日本人』に着目した。そこには,寄り合いを最も古い共同体の語りとして捉え,そこから語りが次第に疎外され個人化されてゆく姿が描かれている。筆者は,この変化を,二つの尺度によって捉え直すことを試みた。それは,個人の語りを個人自身の利害や意見として析出させない二つの規制の残存という尺度である。二つの規制とは,一つは共有された過去にもとづく規制,もう一つは,若者組などの横のつながりによる規制である。筆者はさらにこれを,前者は,R.ベネディクト『菊と刀』の「過去に負い目を負うもの」という概念を,後者は柳田国男『婚姻の話』の「群の與論」という概念を用いて検討した。現実のフィールドは,こうした二つの尺度によって多様に位置づけられる語りが混在する状況であり,語られる価値や規範が集団的/個人的,という違いと独立して,それを語る語り方の位相についての注意が必要と思われる。
多田, 伊織
一九九九年一二月、雲南省昆明市と香港で明治以前の日本書及び文書の調査を行った。これまであまり報告のなかった地域である。この調査では、伊澤蘭軒が校訂を加えた手抄本の「療諸病薬方六十道」(『華氏中蔵経』巻下)を雲南大学図書館善本室で、J. R. MacEwan旧蔵の伊藤仁斎『古学先生別集』稿本第一冊を香港大学平山図書館で目睹し得た。雲南大学の日本書は、旧貴州大学蔵書であり、このコレクションの分割先である西南地域の大学図書館の調査が望まれる。末尾に雲南大学図書館善本室の沈継延先生が作成された「日本書目録」の一部を掲載した。
Christy, Alan クリスティ, アラン
ゲイル・プロジェクトとは、米国陸軍大尉チャールズ・ユージン・ゲイルによって1952 年に撮影された一連の写真を通し、アメリカによる初期の沖縄占領(1945 年から1960 年)の実態についての理解を深めようとする日米共同の歴史学的な取り組みであり、今後、アメリカと日本で写真やそれに関連する資料の巡回展を開催することが予定されている。本プロジェクトでは、沖縄における米軍のプレゼンスが形成された時代について、口述歴史調査と文献資料調査という二つの調査方法で、広範囲な歴史調査も行う。本稿では、歴史的証拠としての写真の重要性について述べると同時に、アメリカで行う沖縄の歴史の教育実践において、筆者が写真資料をどのように活用しているのかについて論じる。
金城, 克哉 Kinjo, Katsuya
今回、MSMの男性が利用する出会い系掲示板の投稿文の分析調査を行った。調査ではさまざまな特徴的な言葉が見られたが、本稿では文末表現(助動詞)「です」の代替表現「す」「っす」に議論を絞る。
熊谷, 智子 木谷, 直之 KUMAGAI, Tomoko KITANI, Naoyuki
本稿では,三者間談話の一つとして2名の回答者に対する面接調査を取り上げ,そこに見られる回答者間の相互作用を分析した。調査者と回答者の間の質問-回答という基本的枠組みを持つ面接調査において,回答者間の相互作用は逸脱的行動にもなり得るが,実際には回答行動として機能していた。相互作用の種類としては,同意要求・情報確認とそれへの応答,もう一人の回答へのコメントとそれに対する応答・反応,互いの発話をふまえた回答,もう一人の回答への相づち・反応が観察された。本稿では,これらの相互作用が,回答行動のパターンに「調査者の質問に各々の回答者が個別に答える」以外の各種のサブタイプを出現させると同時に,回答者による談話行動においても回答以外のサブタイプを可能にしていたことを指摘する。
宮田, 公佳 竹内, 有理 安達, 文夫 Miyata, Kimiyoshi Takeuchi, Yuri Adachi, Fumio
今日,わが国においても観客の視点に立った博物館運営の重要性が認識されつつある。それを実現するには,観客の側からみた博物館の評価が欠かせないものとなる。これまで以上に観客について知ること,来館者の博物館体験について知ることが求められており,国立歴史民俗博物館においても,観客調査を試み始めている。本論文では,当館で実施している様々な観客調査の中から来館者の観覧行動を分析した調査を取り上げ,その結果について報告する。観覧行動の具体的な調査方法と分析方法について検討を行い,来館者の見学順路,各展示室の在室時間および在館時間,そして展示室別入室者数の時間的推移を定量的に分析することによって,博物館の建物の構造や展示室の配置が来館者の観覧行動に与える影響などを明らかにした。
上野, 善道 UWANO, Zendo
奄美徳之島浅間方言のアクセント資料の続きを提示する。今回は,上野(1983, 1985)の5~8モーラ語,および上野(1987b)の4モーラ語の2種類の語彙リストを用いて調査をした結果を掲げる。本稿で扱う調査項目は1400語あまりとなる。
照屋, 林宏 屋部, 澄孝 Teruya, Rinko Yabu, S.
1)清浄そ菜栽地帯における主として植物検診によるネコブセンチュウの被害実態について調査した.夏期の作型では調査標本が豊富にえられ年間における潜在的感染能力の幅を考慮に入れると適切な時期と考える。
菊地, 香 仲地, 宗俊 仲間, 勇栄 Kikuchi, Koh Nakachi, Souchun Nakama, Yuie
本校の目的は,都道府県で非農業部門からの新規参入者の受け入れが増加しているなかで,沖縄県においてはどの程度受け入れられているのかを市町村を対象にした調査を行うことで実証的に明らかにした。分析の結果は,市町村において実際新規参入者を受け入れているところは全体で30%程度であった。また,今後新規参入者を受け入れられるとした市町村を含めた将来的な受け入れ市町村の割合は50%であった。沖縄県ではあまり積極的に新規参入者を受け入れる環境になっていないことがわかった。しかし,新規参入希望者は増えつつあり,市町村の側は十分な受け入れ体制を作る必要と思われる。
この本は、沿岸の浅海域における音響資源量調査を行うための機器について紹介しています。市販の魚群探知機を利用した簡易型計量魚群探知システムのハードウエアーからソフトウエアーまでを網羅しており、低コストで浅海域の音響資源量調査を始めたい方に、お勧めします。
王, 怡人 金丸, 輝康
本稿は,消費者の中小製造企業に対するネット口コミ状況に関する質問票調査の結果を整理したものである。調査では,ネット口コミを「自発的情報発信」と「情報拡散」に分け,「企業への態度」,「企業や商品の利用経験」,「メディアの種類」,「ネット口コミの動機」のという 4 つの変数を用いて質問票を構築した。その結果の詳細を以下に記す。
米田, 正人 YONEDA, Masato
国立国語研究所では昭和25年度と昭和46年の2度にわたって文部省科学研究費の交付を受け,山形県鶴岡市において地域社会に於ける言語生活の実態調査を実施した。それにより,戦後四半世紀の急激な社会変化の中で方言が共通語化していく過程について,その実態や社会的な要因を明らかにした。本研究は,これらの成果を受け継ぎ,鶴岡市において約20年間隔の第3次調査を実施するとともに,言語変化を将来に向けて経年的に調査記述していくための基礎構築を目的として行われた。また,本報告は平成3年度および4年度の文部省科学研究費補助金(総合研究(A)),研究課題名「地域社会の言語生活-鶴岡市における戦後の変化-」(課題番号03301060)(研究代表者 江川清)の交付を受けて行った調査研究のうち,音声,アクセントの共通語化について一部をまとめたものであり,平成5年8月,カナダのビクトリア大学で行われたMethods Ⅷ (方言研究の方法論に関する国際会議)で口頭発表した内容に加筆訂正したものである。
小原, 雄次郎
秋田県能代山本方言の文法記述に向け,現在実施している調査票調査のうち,調査済みの項目(文タイプ,テンス・アスペクト,モダリティ,待遇,格標示)について経過報告を行う。文タイプとテンス・アスペクトでは方言固有の形態が出現するものの,体系的には共通語と同一である。モダリティ形式「ベ」は推量・確認要求・勧誘にのみ用いられ,意向には用いられない。待遇表現では,尊敬語の専用形式はないが,丁寧語では「ス」が用いられている。ただし本方言の「ス」は聞き手が目上であっても,話し手自身の行為に言及する際には用いられないため,丁寧語としての特徴を欠いている。主格標示と対格標示は基本的に無助詞になるが,対格が有生物の場合は助詞「ゴド」を用いることが多い。
山村, 規子 YAMAMURA, Noriko
本紹介は、国文学研究資料館の中庄新川家文書調査の一環であり、先の調査研究報告第三六号の鶴﨑裕雄報告、三七号の鶴﨑・小高道子・大利直美報告、本号の鶴﨑・小高報告と一連のものである。
西本, 裕輝 Nishimoto, Hiroki
全国的に少人数学級化の動きが加速している。それは学級規模が小さければ小さいほど教育効果は高まるとする仮説に基づいていると言える。しかしながら、こうした仮説を支持する研究データはほとんどない。そうしたことから本研究では校長・教員を対象とした全国調査の結果から、学級規模と教育効果の関係について検討を行った。\n分析から、学級規模が小さくなるほど教育効果は高まるという結果が得られた。これは校長調査の結果も教員調査の結果も同様である。このことから、少なくとも校長や教員の意識の上では、少人数教育の効果はあると結論づけることができる。\nただし、この結果からただちに「少人数学級化によって教育効果は高まる」「学級規模が小さいほど教育効果は高まる」と結論づけるわけにはいかない。今後行う児童生徒調査の結果も踏まえて、慎重に結論を出す必要がある。
相澤, 正夫 AIZAWA, Masao
進行中の共同研究プロジェクト「多角的アプローチによる現代日本語の動態の解明」の一環として,2010年12月に全国規模の方言意識調査を実施した。本稿では,この調査で得られたデータに基づく最新の研究成果2件について紹介する。いずれも,言語使用に関する地域類型を統計手法によって検討したものである。田中(2011a,2011b)は,調査データに「クラスター分析」を適用した結果,2つの大きな地域類型と6つの下位類型を見出した。田中・前田(2012)は,言語使用に関する個人レベルでの確率的なクラスタリングを得るため,同一の調査データに対して「潜在クラス分析」を適用した結果,「クラス1:積極的方言話者」「クラス2:共通語話者」「クラス3:消極的使い分け派」「クラス4:積極的使い分け派」「クラス5:判断逡巡派」のような5つの潜在クラスを抽出した。これにより,話者分類に基づいて地域の類型化を行うことが初めて可能となった。
仲田, 栄二 Nakada, Eiji
1.本調査は伊是名島の休耕田(耕作田も含む)の雑草群落の分類と遷移を明らかにする目的で行なった。 2.植生調査はチューリッヒ・モンペリエー学派の植物社会学的方法で行なった。 3.伊是名島のセイコノヨシ群落から10個の植生調査資料が得られた。この資料をチューリッヒ・モンペリエー学派のテーブル処理法で表操作した結果,次の植生単位が明らかになった。 ヨシクラス ヨシオーダー オギーヨシ群団 セイコノヨシ群落 典型亜群落 ホシダ亜群落 4.伊是名島の休耕田(耕作田も含む)における雑草群落の遷移系列は次のようになる。(系列省略。
中西, 麻美 NAKANISHI, Asami
焼畑農耕後の森林植生の復元力を評価することを目的とし,植生および埋土種子についての予備調査をラオス北部のウドムサイ県ラ郡において実施した。フアイペー村の焼畑耕作地の土壌中には,生残種子が確認された。フアイペー村の焼畑休閑林の特徴として,焼畑耕作後は1年目にユーパトリウムが出現すること,遷移に伴いブナ科の樹種が出現してくることが確認されていることから,今後の調査では,これらの撹乱依存種や遷移後期種に的を絞った調査を検討している。
Iida, Taku
海外渡航がきびしく制限されていた昭和20–30年代,海外フィールド調査を志す人類学者の多くが,マスメディア企業の後援を受けたエクスペディションを組織した。こうしたエクスペディションには映画カメラマンが同行することが多く,長編記録映画の興行的成功がエクスペディションの採算を合わせていた。また,新聞記者が同行することも多かった。新聞の紙面では,調査活動が速報されるほか,めずらしい写真や専門的な発見・知見が伝えられ,学術活動の広範なアウトリーチがおこなわれた。また,新聞社主催の展示会や講演会,映画会なども盛んにおこなわれた。 しかし,1963 年頃から,アカデミズムとマスメディアの連携は成り立たなくなっていく。テレビの登場と海外旅行自由化によって映画産業がふるわなくなり,エクスペディションによる収益が見こめなくなったのである。また,外貨割り当てが必要なくなり,マスメディア企業が独自取材をおこないやすくなったのも原因であろう。一部の海外調査隊はテレビと連携したが,この方式は定着しなかった。同じ頃,文部省が海外学術調査を制度的に認め,研究活動に回される資金が増えたため,研究者の側もマスメディアとの連携を重んじなくなった。昭和30年代におけるアカデミズムとマスメディアの連携は,政府による調査支援が不十分だった時代の一時的なものではあったが,人類学的調査の重要性を国民に広く知らしめる結果となった。
柳村, 裕 YANAGIMURA, Yu
岡崎敬語の「丁寧さ」のレベルについて,第3次調査の結果を加えることで明らかになった敬語の大きな変化傾向を報告する。丁寧さが3回の調査を通して数十年にわたって増加し,特に第3次調査で大幅に増加したことが分かった。1940年代前後に生まれた人たちは,3度の調査の対象になったが,半世紀経って丁寧さを増やしている。「成人後習得(late adoption)」が丁寧さでも認められた。これは実時間(real time)による。一方,3回の調査すべてで,世代差という見かけの時間(apparent time)で,中年層以上が丁寧で,若年層はぶっきらぼうという傾向が見られる。また,場面による使い分けについては,依頼関係の有無という個人間の心理的関係に左右されるようになってきたことが読み取れた。さらに,話者の社会的属性と丁寧さの関係については,どの時代においても,女性の丁寧さが高く,学歴が高いほど丁寧さが高いことが分かった。そして,これらの話者属性は丁寧さの経年変化とも密接に関わることが分かった。すなわち,丁寧さの増加を牽引するのは男性であり,また,学歴の高い話者の割合が増加する高学歴化によって,全体の丁寧さが増加したと解釈される。
小西, 円 Konishi, Madoka
本研究では、日本語学習者のための類義表現の記述方法に関する研究の一環として、上級日本語学習者が日本語の文章を読む際に文体をどのように把握しているかを探るために調査を行った。本研究は、その調査をケーススタディとして、分析を行うものである。調査には「BCCWJ図書館サブコーパス文体情報」を用いて、そこで示された指標と本研究の調査との差を分析した。その結果、文体的な指標では特に「硬度」「くだけ度」の理解に難しさが見られたが、その理解を生む過程が、学習者によって異なっていることがわかった。丁寧体・普通体の理解が学習者によって異なり、それが影響している側面があった。また、自分が知らない語や漢字語を硬く感じる、オノマトペを軟らかく感じるなどの特徴が見られた。また、「客観的で硬い」のに「くだけている」文章の文体的な理解が難しいこともわかった。
尾崎, 喜光 OZAKI, Yoshimitsu
国立国語研究所では,山形県鶴岡市において,方言の共通語化を主たる研究課題とする調査を,1950年(昭和25年),1972年(昭和47年),1991年(平成3年)と約20年間隔で多数の市民を対象に継続し,その間の共通語化の進行状況をとらえてきた。しかし,方言/共通語を用いると判定された回答者も,いつも方言/共通語を用いるわけではなく,会話の相手や場の改まりの度合いなど広い意味での「場面」の違いにより,方言と共通語を使い分けていることが予想される。そこで,第3回調査の翌年の1992年(平成4年)に,場面による使い分けの状況を見るとともに,「ふつう何と言うか」と問うことにより日常的な場面を想定させて求め続けてきた過去3回の調査結果が言語生活全体のどの側面をとらえてきたかを検証するために「場面差調査」を実施した。分析の結果,さまざまな言語要素において使い分けがなされていることが確認された。
王, 怡人 大津, 正和 地頭所, 里紗 張, 瑋容 竹村, 正明 青谷, 実知代
国内DMO の実態調査と4 つの地域に対する日本人観光者の満足度調査の結果をまとめ,日本版DMO の取り組みについて批判的に検討することが本稿の目的である。検討するに当たって,本稿はコンティンジェンシー理論と資源アプリケーション・マトリックスの分析フレームを引用した。
辻, 加代子 TSUJI, Kayoko
本稿では,愛知県岡崎市で3次にわたって行われた大規模言語調査の中心部分,敬語行動に関する面接調査の回答を対象として分析し,この地の方言敬語に起こった変化について報告する。分析するにあたって,(1)まず,回答に出現した形式を標準語形・方言伝統形・方言新形・中間形に分類し,その全体的使用状況,(2)場面ごとの使用状況,(3)場面ごとの方言敬語形の使用状況を調査した。方言新形には,ミエル・チョーダイなどを含めた。中間形には,方言形と標準語が連続した表現や,要素の形態は標準語と同一で組み合わせや承接の仕方が異なる表現を含めた。中間形は標準語を指向しつつも方言の干渉により産出したと考えられる表現であり,丁寧語と関わる表現に多く見られた。分析の結果次のことが明らかになった。 1.全場面標準語形だけを使用する話者は大幅に増大し,逆に方言伝統形使用者は激減,中間形は第2次調査で微増,第3次調査で激減している。場面別分析により,標準語形ないし方言形は場面にあわせて選ばれていることが確認された。例えば,電報局のような公共機関や東京での道聞きといった非方言場面では方言使用が避けられる傾向にある。中間形は非方言場面で多く出現する傾向にあったが,第3次調査では方言自体の使用が激減し,それに伴いほとんど使用されなくなった。 2.方言敬語形は,第1次調査時は多様な形式を残しつつも出現数は少なく,第3次調査時には伝統形(ラ)レル,新形ミエル以外ほぼ壊滅状態であった。伝統形が使われる場合内輪の方言場面で多く使われる傾向にあった。敬意の低い形式であった(ラ)レルは上位場面に使用場面を広げ,ミエルともども他の尊敬語と重ねて盛んに使われるようになり,標準語的な用法への変化をうかがわせる。 3.中間形の存在は,一部の方言話者にとって丁寧語の習熟が意外に難しいこと,標準語の敬語運用能力は均質なものではないことをうかがわせる。
鑓水, 兼貴 YARIMIZU, Kanetaka
首都圏の言語は,構成員の多様さのため非常に複雑であるとされる。しかし現代の共通語は,東京の言語を基盤としており,東京における言語変化の影響を受けている。そのため東京および周辺地域における言語動態の調査は,共通語形成過程の解明にとって不可欠である。首都圏若年層の言語の地域差を把握するための調査には,大量のデータを必要とする。そのためには授業場面での学生を対象とした調査が実施しやすい。しかし学生の回答意欲の低下や,授業時間の圧迫といった問題が考えられる。本研究では,そうした問題を解決する方法を検討し,携帯メールを用いた「リアルタイム携帯調査(RMS)システム」を開発した。RMSシステムは,首都圏若年層の言語形式の収集に適しており,大量データから,詳細な分布状況を明らかにすることが可能となる。
中渡瀬, 秀一 加藤, 文彦 大向, 一輝
言語資源データの引用情報調査に基づいて、そのデータを活用した研究文献の発見可能性について論じる。このために言語処理学会年次大会発表論文集を対象として「現代日本語書き言葉均衡コーパス」などの引用情報を調査した。本稿ではその結果と今後の課題について報告する。
山盛, 直 平田, 永二 新本, 光孝 砂川, 季昭 安里, 昌弘 Yamamori, Naoshi Hirata, Eiji Aramoto, Mitsunori Sunakawa, Sueaki Asato, Masahiro
与那演習林および西表島の熱帯農学研究施設に設定された択伐試験地ならびに西表国有林内で林分調査を行ったオキナワウラジロガシ林の森林土壌の調査を行った。土壌型の異なる場所で代表的地点を選んで試孔を掘って断面調査を行った。また, 各層位から試料を採取し, 土壌の理化学性の分析を行った。分析結果は表1および表2に示したとおりである。調査結果および文献調査から, 沖縄の森林に主として分布する赤黄色土は, 褐色森林土と比較して容積重が大きく, 透水性が悪く, 粗孔隙量が小さい特徴がみられた。また, 土壌断面にみられた堅密度は堅∿固結が多く, 堅密な土壌であることがいえる。土壌の化学性も褐色森林土に比べて劣るが, 黄色土の一般的性質がみられた。与那と西表の森林土壌のちがいは, 土性によく表れていた。これは母材のちがいによるものと考えられる。この研究をとりまとめるに当たって, 特に土壌の分析に林学科学生下地輝史君の協力を得た。記して深謝の意を表する。
山盛, 直 大山, 保表 Yamamori, Naoshi Oyama, Hohyo
リュウキュウマツ幼令林の生長パターンおよび環境の異なる箇所における生長のちがいなどを知るために本調査を実施した。試験地は琉球大学与那演習林内にあって, 風衝地および抱護樹帯内側の2箇所に調査区を設置した(表1)。調査結果は次のとおりである。1.調査区別の伸長量は, 風衝地よりも抱護樹帯内側の調査区において大きかった。2.生育シーズン中における生長パターンは, 総体的にみて生長ピークを2∿3回持っている。その中で3月のピークが最も大きく, 7月のピークがこれにつぎ, 10月のピークは最も小さい(図2)。また各月とも1cm以上の伸長量があって年中生長を経続していることがわかった。3.針葉の伸長は3月からはじまり, 最大の伸長ピークは5月で, 第2回目および第3回目の伸長ピークは, 頂芽の伸長ピークと同時期の7月および10∿11月あった。4.芽の出方を区分すると, 1型 : 冬芽のみを出すタイプ, 2型 : 秋芽を1回出すタイプ, 3型 : 秋芽を2回出すタイプの3型に分けられ, これら3タイプの中で2型の伸長が最も大きかった。本研究の現地における調査および測定には与那演習林の田場和雄技官の協力によって, また実験室における測定および資料の整理には林学料学生屋良一洋, 新垣 徹の両君の助力を得た。特記して厚くお礼申し上げる。
仲田, 栄二 Nakata, Eiji
(1)この調査は伊是名島の耕作田の雑草群落を分類する目的でおこなった。(2)植生調査はチューリッヒ・モンペリエー学派の植物社会学的方法でおこなった。(3)伊是名島の水田から14個の植生調査資料が得られた。これらの資料をチューリッヒ・モンペリエー学派のテーブル処理法で表操作した結果,次の植生単位が明らかになった。 A.イネクラス (A)タマガヤツリーイヌビエオーダー 1.イネーイヌビエ群団 (1)コウキヤガラ群集 (2)コウキヤガラ―コナギ群落 a.ツルノゲイトウ亜群落 b.ナンゴクデンジソウ亜群落 (4)コウキヤガラ群衆とツルノゲイトウ亜群落は乾田に生育し,ナンゴクデンジソウ亜群落は湿田に生育している。
丁, 美貞 JEONG, Mijeong
本稿では,国立国語研究所の経年調査研究である岡崎敬語調査データの「荷物預け」場面を用いて,第1次調査から第3次調査までの反応文を機能的要素について分析した結果について述べる。分析のために,熊谷・篠崎(2006)に基づき次のように,「荷物預け」場面の反応文をコミュニケーション機能とその下位分類の機能的要素に分類した。《きりだし》《状況説明》《効果的補強》《行動の促し》《対人配慮》《その他》の六つのコミュニケーション機能と,その下位分類として「注目喚起」「用件」「事情」「不都合」「請け合い」「預かりの依頼」「依頼の念押し」「意向の確認」「恐縮の表明」「その他」の10項目の機能的要素である。本稿ではコミュニケーション機能と機能的要素の使用例とその使用頻度及び,経年変化について高年・壮年・若年に分けて分析した。その結果,高年は壮年と若年に比べて多様な機能的要素を使用していることが明らかになった。さらに本研究で注目している対人配慮の経年変化については,《対人配慮》を表す「恐縮の表明」と《きりだし》を表す「注目喚起」の二つの機能的要素である「すみません」が,第3次調査では決まり文句のように典型的な表現に変化したこと,及び「恐縮の表明」を表す「申し訳」系の表現の増加について述べた。
王, 怡人 大津, 正和 地頭所, 里紗 張, 瑋容 竹村, 正明
本稿は2023 年にDMO を対象に実施した実態調査の結果をまとめたものである。目的は,DMO の組織特性, 観光資源の豊富さという地域特性,そして観光振興に関連する様々な取組への積極性といった3 つの変数間の関係 を明らかにすることである。なお,DMO の組織特性について本調査では,組織の種別や常勤職員数の他,意思決定 の様式など多次元的に検討した。
勝原, 良太
この報告は、勝盛典子氏(神戸市立博物館学芸員)の論文「大浪から国芳へ――美術にみる蘭書受容のかたち」(神戸市立博物館研究紀要 第十六号)をうけて書かれたものである。勝盛氏が調査されたニューホフ著『東西海陸紀行』の挿絵を再調査したところ、浮世絵師・国芳は同本から、十四作品十五個所の自作に図様を転用していることが判明した。本稿ではこれらの調査結果を図版と対比させながら一括して報告する。調査を終えてわかったことは、国芳が同本挿絵から利用する時、その部分については克明に写し取っているということである。そして同時に、自己の作品全体の中に転換・消化して、作品をオリジナルなものに高めている。その手腕は非凡の為、原拠挿絵と国芳作品を併置して見た時、両図の関係は明らかであるにもかかわらず、これらを切り離して見た時、両図の関係は気づかれにくいものとなっている。この点から考えても、国芳のアレンジの優秀さが知られる。 このように、国芳が直接舶来の銅版挿絵から自己作品に多数転用していることがわかった以上、勝盛氏も既に述べておられるが、今後は他の洋古書の調査が行われるべきであろう。
石黒, 圭
日本語教育の目的が学習者による日本語運用力の獲得にあり、日本語教育学の目的がその獲得を支援する日本語習得支援研究であると考えると、日本語教育学では、学習者が日本語という言語をどのように身につけていくのか、その習得過程を記述・分析する基礎資料、すなわち学習者コーパスの構築が必要になる。ところが、新型コロナウィルス感染症の世界的流行により、JFL 環境で学ぶ海外の学習者のもとを訪れての現地調査も、JSL 環境で学ぶ国内の留学生との対面調査も困難になってしまった。そこで、本稿では、現地調査や対面調査を行うかわりに、オンライン環境を活用して収集する作文コーパス、会話コーパス、ゼミ談話コーパスの収集法を紹介した。たとえコロナが終息したとしても、パンデミックの状況下で急速に発展したオンライン・コミュニケーションが今後衰退化することは考えにくく、むしろポストコロナ時代にあっては、オンライン・コミュニケーションにおける学習者の日本語運用のデータ蓄積が重要になる。その意味でも、本稿で示したようなオンライン環境を活用した調査法の試行錯誤と研究者間での情報共有が、日本語教育学の発展のカギとなると見込まれる。
仲田, 栄二 Nakada, Eiji
1.本調査は沖縄自動車道のり面植生の分類と遷移系列を明らかにする目的で行なった。2.植生調査はチューリッヒ・モリペリエー学派の植物社会学的方法で行なった。3.沖縄自動車道のり面植生から144点の植生調査が得られた。この資料をチューリッヒ・モンペリエー学派のテーブル処理法で表操作を行なった結果,次の植生単位が明らかになった。(本文参照)4.一次植生から二次植生への遷移は,アメリカハマグルマ群落を除き,スムーズに進行している。二次植生相互間の遷移は退行遷移のコウライシバ―チガヤ群落と偏行遷移のギンネム群落・パラグラス群落・タイワンクズ群落・タチアワユキセンダングサ群落を除き,比較的順調に置換されている。
西本, 裕輝
本稿の目的は、2020 年4月に実施した大学院生調査をとおして、大学院教育の成果、特に高度専門教育プログラムの成果を把握することである。調査項目としては、「満足度」「スキル・能力の修得度」等であったが、すべての項目において、8割を超える肯定的な回答が得られた。よって結果から、高度専門教育プログラムに限らずすべてのプログラムにおいて成果があがっていると判断できた。
相澤, 正夫 AIZAWA, Masao
進行中の共同研究プロジェクト「多角的アプローチによる現代日本語の動態の解明」の成果として,2013年10月に論文集『現代日本語の動態研究』を刊行した。本稿では,その中から「ヒモトク」という合成動詞の変異・変化を扱った1編(相澤2013)を紹介する。大規模なコーパス調査と全国規模の意識調査を複合的に活用しながら,言語変化の先端的現象の把握・分析を試みたものである。「言語動態を多角的にとらえる」とはどういうことなのか,具体的な研究事例を通してプロジェクトの狙いを示す。
平川, 守彦 富名腰, 道子 日越, 博信 大城, 政一 石嶺, 行男 平山, 琢二 赤嶺, 光 外間, 聡 Hirakawa, Morihiko Funakoshi, Michiko Higoshi, Hironobu Oshiro, Seiichi Ishimine, Yukio Hirayama, Takuji Akamine, Hikaru Hokama, Satoshi
本研究は, 放牧地空間を有効利用するために, 放牧草地生態系へ熱帯果樹を導入することによって, 肉生産と果樹生産の両立をはかることを目的としている。昨年放牧牛による食害防御法が確立されたことからその方法であるワイヤーメッシュケージ法を継続して行ない, さらに果樹の生長, 果実の生産に向けて生育状況を把握するとともに効率良く生産をおこなうため, 放牧地の種々の光条件下と地形の違いによる果樹の生育について調査, 検討を行なった。昨年からのワイヤーメッシュケージ法を継続して行ない, グアバとビワのうち枯死していないもの(グアバ96本・ビワ64本)を調査に用いた。供試家畜は, 黒毛和種の成牛4頭と子牛4頭の合計8頭を用いた。グアバ, ビワの両果樹それぞれについて相対照度を測定し, 相対照度が100%∿65%の所をH区, 相対照度が65%∿35%の所をM区, 相対照度が35%以下となる所をL区と設定し, グアバについてはさらに傾斜角度が約35度の北西斜面の傾斜地をN区と設定した。調査項目は, 放牧牛による果樹の被食率, 麻袋被害率, 果樹の葉数, 果樹の樹高で, 調査期間は6月から12月までで1ヶ月間隔で調査を行なった。ワイヤーメッシュケージを継続して行なったところ, 調査期間全体を通して両果樹とも放牧牛による被食率は0%であった。麻袋被害率についてもほとんど0%であったが調査期間中の平均被害率がグアバ区で7.7%, ビワ区で0.6%と有意な差が認められた。相対照度の調査において, グアバではH区で葉数, 樹高ともに一番高い値を示し, L区で葉数,樹高ともに有意に低い値が認められた。グアバ区では病害虫の発生もみられ生長は思わしくなかった。ビワではL区で葉数, 樹高ともに一番高い値を示した。ビワ区ではわずかではあるが生長が認められた。両果樹について台風による被害がみられた。
関沢, まゆみ
本論の目的は,民俗学の食習調査の理念の確認と,食習調査やその後の民俗資料緊急調査等の食習に関する資料から,とくに食制つまり食べ方を中心とした「食習と観念」の変化について分析を行なうことである。柳田國男は,食品,食制,食料,食具の4項目に分けて,なかでも食制研究を重視していた。民間伝承の会による「食習調査」(昭和16,17年)もこの枠組みを背景に項目立てがなされていたといえる。従来,この食習調査は大政翼賛会の委託によるものであることが強調されて,その内容の分析は十分行なわれてこなかった。その後,全国調査としては,高度経済成長期の昭和37年以降,文化財保護部(現文化庁文化財部)による民俗資料緊急調査が行なわれ,さらに,昭和50~60年代の農山漁村文化協会による『日本の食生活全集』が刊行されている。これらは,食べるものや食べることについては記述がなされており,貴重であるが,食べる意味についての分析はとくになされていない。そこで,前述の民俗学が調査し記録してきた食習に関する資料から,とくに食べ方を中心とした食習と観念の変化について検討を試みた。12月の晦日に家族そろって年神を迎える忌み籠りに際して,年取りの儀礼として白飯を食していたこと,先祖の命日や節日などには家族が精進食をとる精進日が定められていたこと,屋外で弁当を食べたり,川原で煮炊きする時には,自然界の霊的なものたちに対しても少し食べ物を分け与える「ホカイ」の習俗が伝承されてきていたこと,などを述べた。しかし,このような忌み籠りや忌み慎みの観念,自然への畏怖と共食感覚などが,現在では希薄になり喪失してきている。それは高度経済成長期の生活変化の延長線上で加速化してきているといる。しかしさまざまな儀礼食の伝承の希薄化や喪失のなかで,現在でもこのような伝承を大切にしてきている事例も一部に存在することに注目した。そして,そこから民俗伝承というのは変遷をともないながらも消滅のない運動であるということを指摘した。
高木, 浩明 TAKAGI, Hiroaki
稿者はこれまで、中世末から近世初期の学問・学芸・出版の実態と背景をより明確なものにするため、主に古活字版の総合的かつ網羅的な調査、研究を行ってきた。古活字版として刊行された作品のテキストは、一体どのような環境のもとで生み出されたのか、底本の入手、本文校訂、刊行を可能にした人的環境について、史資料を駆使して考察してきた。古活字版の研究をする上で必読の文献が川瀬一馬氏の『増補古活字版之研究』(ABAJ、一九六七年、初版、安田文庫、一九三七年)であるが、同書が刊行されて既に半世紀になる。調査を進める過程で、川瀬氏の研究の不備や遺漏を少なからず見出す(川瀬氏の研究に未載の古活字版は、すでに90種を超えた)と共に、古活字版全体の調査をやり直す作業がぜひとも必要であると実感し、近年は古活字版を所蔵する機関ごとの悉皆調査という壮大な事業に単身取り組んでいる。六四機関において調査を終えた一〇八〇点の詳細な書誌データについては、「古活字版悉皆調査目録稿(一)~(九)」としてまとめ、鈴木俊幸氏編集の『書籍文化史』、第一一集から第一九集(二〇一〇年一月~二〇一八年一月)に連載し、研究者間での情報共有を図ってきた。本稿はこれに続くもので、国文学研究資料館における国際共同研究「江戸時代初期出版と学問の綜合的研究」(研究代表者:ピーター・コーニツキー・ケンブリッジ大学アジア中東研究学部名誉教授、二〇一五年~二〇一八年)に参加して、国文学研究資料館所蔵の古活字版の悉皆調査(現在整理中の川瀬一馬文庫は除く)をさせていただくことができた。その成果の一部である。附録として、隣接の研究機関である国立国語研究所が所蔵する古活字版四点と、研医会図書館所蔵の古活字版二二点の書誌データも掲載することにした。なお、研医会図書館所蔵の古活字版の調査は、現在継続中の共同研究で176ある、広領域連携型基幹研究プロジェクト・アジアにおける「エコヘルス」研究の新展開「アジアの中の日本古典籍―医学・理学・農学書を中心として」(国文学研究資料館、研究代表者:入口敦志教授)の一環として行ったものである。調査項目は、〔請求番号〕〔体裁〕〔表紙〕〔題簽〕〔内題〕〔尾題〕〔本文〕〔匡郭〕〔版心〕〔丁数〕〔刊記〕〔印記〕〔備考〕の一三項目で、〔備考〕には、川瀬一馬氏の『増補古活字版之研究』の見解を示した。なお、書目の頭に※が付いているものは、『増補古活字版之研究』未載の古活字版である。
岡本, 雅博 Okamoto, Masahiro
本報告は、2008 年に実施したグェンベ・トンガのウシ飼養に関する現地調査の概要である。調査の結果、グェンベ・トンガがウシ飼養を受容した時期は比較的近年であること、現在では婚資はウシと現金になってきていること、ウシ飼養は牛耕に使用されるなど農耕に有用であるが、放牧地と耕地とのあいだには競合関係がみられること、ウシは基本的には個人が所有するが母系親族集団が共有する場合があることなどが明らかになった。
宮脇, 千絵 MIYAWAKI, Chie
本稿の目的は、生態史クロニクル構築に向けて雲南省の地方誌である『県誌』のデータをいかに利用するかを、ラックを事例として取り上げ提示することにある。『県誌』からラックに関する様々な情報が得られたが、記述が1980 年代後半で終わっているため、その後の現状を把握するために雲南省緑春県において現地調査を行った。本稿では、これら『県誌』と現地調査の両方から、ラック生産の発展と現状について報告する。
矢内原, 忠雄
昭和二年度講義 Dec.1927 [内外糖業調査所]記述は全頁にわたる。
野川, 美穂子 Nogawa, Mihoko
本稿は,平成20・21年度に行った紀州徳川家伝来楽器コレクション(国立歴史民俗博物館所蔵)の調査にもとづく報告である。紀州藩10代当主徳川治宝が蒐集した本コレクションの多くは雅楽器であるが,本稿では,楽箏,箏柱,箏爪を中心に述べる。国立歴史民俗博物館には,本コレクションとは別に5面の箏が所蔵され,このうち3面の調査も平成21年度に行った。これも本稿で報告する。したがって,本稿では,コレクションの箏5面([君が千歳][葉菊][武蔵野][紅雨][雲雁]),コレクションに含まれない箏3面([松風][山下水][箏(短胴)])の合計8面を対象とする。箏柱は,コレクションに含まれるもの12組,コレクションに含まれないもの1組(箏[松風]の付属品)の合計13組である。箏爪は7組の調査を行い,このうち6組がコレクションに属している。調査方法は,付属文書や目録類にもとづく伝来や由来の考察と楽器そのものの計測および観察である。楽器史研究の大きな壁の一つに伝来や由来に関する情報の少なさが上げられるが,本コレクションの場合には,楽器蒐集時に添えられた付属文書が豊富にある。加えて今回の調査では,ファイバースコープによる楽器内部の観察も行った。その結果,付属文書では知り得なかった焼印や墨書の存在が明らかになった。また,音響効果のために箏の内部に付けられるノミ目の状況,梁板を用いる内部の補強の方法なども明らかになった。調査した楽器の多くは江戸時代の製作と思われるが,一部は江戸時代をさかのぼる可能性をもつ。コレクション以外の楽器も含めると,俗箏として使われた楽器も含まれる。多くの事例を積み重ねて調査することが楽器史研究の基本であるという観点に立って,箏,箏柱,箏爪といった箏に関連する資料研究の一事例としての報告を行う。
田中, 弥生 柏野, 和佳子 角田, ゆかり 伝, 康晴 小磯, 花絵 SUMIDA, Yukari
2016 年度から「大規模日常会話コーパス」プロジェクトによるコーパス『日本語日常会話コーパス』の構築が始まった。本発表では,日常会話の収録手続きの詳細や進捗状況について報告する。本プロジェクトでは,日常場面の中で自然に生じた会話を対象とするために,性別・年代などの点からバランスを考慮して選別された調査協力者に収録機材等を2 3 ヶ月程度貸し出し,協力者に日常会話を収録してもらう方法を採用している。研究者は収録場面に介在せず一般の協力者により独力で収録してもらうため,収録手続きや手順書などを工夫する必要がある。本コーパスの規模として,調査協力者40 名程度,合計時間200 時間を目指している。これまでに,18 名の調査協力者によって約190 時間の収録が完了している(うち6 名は収録調査中)。発表では収録に使用した機材や作成した手順書などについても具体的に紹介する。
赤嶺, 太亮 緒方, 茂樹 Akamine, Taisuke Ogata, shigeki
調査1では、学校内における校内支援体制の進展及び課題を明らかにするため、沖縄県の公立学校及び特別支援学校のコーディネーターを対象に悉皆調査を行なった。その結果、「校内委員会の設置」といったいわゆる支援体制の「形式」は出来つつあるが、機能面である「質」に焦点を当てると、依然として課題が見られた。その主な背景には、コーディネーターの職務に対する環境調整が十分にされていないことが明らかになった。また、調査3においては沖縄県のスーパーバイザー的な立場にいる公立学校及び特別支援学校のコーディネー夕ーを対象に、教員間の「共通理解」に関するノウハウ、実態及び課題を明らかにするために質問紙調査及び聞き取り調査を実施した。その結果、コーディネーターは、日常勤務における工夫・改善を図りながら共通理解に取り組んでいることが明らかになった。得られた所見から、今後、特別支援教育における機能的な校内支援体制を整備していくためには、1校内支援体制の質的課題、2コーディネーターが取り組みやすい環境調整の必要性とそれを支える管理職の理解、3「子どもの変容」を中心とした全職員での共通理解のあり方、4共通理解を図る上での「場や時間の有効活用」、が重要であることを指摘した。
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